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13. 本が知性を紡ぐ

私は、兄アレクシオスに、様々な本をお願いするようになった。


最初は、神々の物語から始まったが、その本の中に出てくる単語や事柄の意味を知るために、私は別の本も読みたくなったのだ。


本を通じて、文字を知り、意味を理解し、さまざまな考え方を知る。


義母カリスタの教育・・によって、それまでは自信が無くなり、心も閉じこもり気味だった私は、本から知識を得ることで、心の殻が破られていくのを感じていた。



神々は、誰に対しても平等であること。


貴族のしきたりが、正しいものだとは限らないこと。


魔法が使えなくても、世の中には立派な人がたくさんいること。



今まで読んできたたくさんの本により、カテリーナの心の中には、自信と、好奇心と、結晶化された知性が生まれつつあった。



すると、カテリーナの中に疑問が生じた。



(これまでの、母上の考え方は、正しかったのかな・・・)



今までの私は、何もかもダメで、魔法すら使えない私は、何番目でもよいので、少しでも良い家柄の夫人に収まることが、唯一の道だと教え込まれてきた。



(果たして、本当にそうなの?)



以前に読んだ本には、平民の出で、魔法の能力も高くはなかったが、宮廷大学に進み、医療の分野で貢献した人がいたと書かれていた。



(高貴な血統の義務は果たせなくても、その方と同じように、宮廷大学に進めば、何か大切なことが学べるかも・・・

 そして、私にも、人の役に立てる何かが、見つかるかも知れない)



カテリーナの頭の中では、いくつかの気付きと共に、疑問もどんどんと膨らんでいった。


それまでのカテリーナは、火水害屋敷破壊事件以降、何事にも消極的な性格になってしまっていた。

しかし、好奇心に火が付くことで、カテリーナが本来持っていた、積極的な性格へと変わり始めていた。



「これはどうなっているの?」


「みんな、なんでこの方法でやっているの?」


「こうした方が良くないかしら?」



カテリーナは、たくさんの質問をして、周囲の人間を困らせ始めていた。

もちろん、いちいち説明が面倒くさいと思った使用人もいたのだが、今までのやり方を、何も考えずに続けていただけで、きちんと説明できない使用人も多かったからだ。


お互いに、会話をしようとしなければ、人間関係は決してよくならない。

カテリーナの方からの積極的な声掛けは、使用人たちの心の中にあった壁を、少しずつ壊し始めていた。

また、カテリーナは、魔力を持たないながらも、純粋な気持ちで、神々への祈りを毎日欠かさず行っていたため、信心深い使用人たちからは、敬虔な信徒として認められるようになっていった。


カテリーナは、本の種類をあらゆるものへと広げていき、神学、魔法学、軍事学、医学、法学、数学、言語学、歴史学、天文学などなど、その読書量はとてつもない量となっていった。


やがて、カテリーナの知識量は、現場で働く父や兄を超えるほどになっていた。


本が、カテリーナの知性を紡いでいくのだった。



小説を書くのが初めてです。

感想をいただけると、本当にありがたいです。

m(_ _)m

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