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3話 走れ…いいからちゃんと走れよズルすんじゃねぇメロス!

さてメロスは村を半ば強制的に追い出されたが、シラクスの街に行くには時間がかかる。現にここに着くまでに1日かかっていた。まぁ適当にタクシーでも呼べばいいかと考え、手を挙げて待っていたらタクシーがやって来た。

「どこまで行かれますか?」

「シラクスの街まで」

「随分と遠いですね。タクシー代はかかりますぜ」

「おうよ」

そのままメロスを乗せたタクシーは走り出した。


メロスは死んだように眠っていると運転手に起こされる。

「お客様…お客様!」

「なんじゃい」

「なんじゃいって…すみませんが私が送れるのはここまでです」

運転手は目の前の川を指さす。

その川は連日の大雨によって増水してしまっていた。これでは川を渡れないだろう。

「橋が沈んじまいましてね…タクシーでは渡れないんですよ」

「遠回りはできないのか?」

「してもいいんですがね?そうするとただでさえ高いタクシー代が高騰しますがね。何心配することはないもう半分は越しましたから歩きでも着きますよ」

運転手はそうメロスを説得する。

「そ、そうか…じゃあここまででいいや」

「毎度ありがとうございます。でお金がですね…2万円になります」

「ふむふむ」

メロスは懐を探る。そして自分はそんな金を持っていない貧乏野郎だと気づいた。

「俺金持ってないや。後でいい?」

「何で!金がないから踏み倒そうたってそうは問屋が卸しませんぜ!一体どれだけ運転したと…」

「仕方ねぇだろ急用なんだからよぉ!元々全てディオニスの…そうだ。分かったよお金は払うから後でディオニスって奴に請求しておいてくれ。信用できないなら俺にセリヌンティウスっていう友人がいるから約定を破ったらそいつを煮るなり焼くなりすればいい」

「そうですかい…利子付きでの約束ですぜ?」

運転手はきちんと言質を取ってからタクシーで戻っていった。


さてとあの王以外に運転手とも約束をしてしまったが、その為にはまずこの川を渡らねばならない。しかしメロスは増水した川を渡る方法など知るわけもない。

メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。

「ああ、鎮しずめたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、私が妹に殺されるのです」


天井で一連の流れを見ていたゼウスはこう思った。

(たまにいるんじゃよな…こうやって苦しい時にだけ神頼みして運が悪いと神のせいにするバカが…助けてなんかやるもんか…でもセリヌンティウスとかいう奴が可哀そうだなぁ…はぁ…)


神風であろうか。突然メロスの後ろから突風が吹き、メロスを吹き飛ばした。

メロスは川で溺れ、押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。

メロスは川から上がるとこう言った。

「よっしゃぁ!俺ってやっぱ神様が味方してるんだな。ついてるぜ!」と。


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