第2話 封印と結界
「正門が開かない!?」
「出入りできなくなったぞーっ!」
そんな叫び声が、学院中を駆け巡った。
どうやら、正門が完全に閉じっぱなしでビクともしないらしい。
……いやいや、それ、わりと本気でヤバくない?
でも俺はというと――
のんびり学食でパンもぐもぐ中。
目の前のチーズクロワッサン、超うまい。
スープも温かくて最高。
そう、俺は悪くない。断じて、悪くない。
けど案の定、周囲がザワつき始める。
「ナイトロードの封印が揺らいでいるのでは……?」
「まさか、魔王の力が学院に影響を……!?」
おいおい、飛躍しすぎ!
ていうか、なんで即俺のせいになる!?
俺、今ここでパン食ってるだけなんだが!?
そんな中、学食の扉が――
バァンッ!!!
大げさな音を立てて開く。
「ナイトロード!! これはお前の影響だな!!」
出た、風紀委員。
秩序を守るはずのその目が、完全に“犯人”を見るそれである。
「はァ!?俺、パンしか食ってねぇぞ!?」
「なら証明しろッ!」
「どうやってだよ!!」
「それを見つけるのが、お前の義務だ!!」
いや、なにその理不尽すぎる責任転嫁!?
俺、魔法研究者じゃねぇし!技術者でもないし!
つーかただの学生だし!!
ていうか本当は静かに過ごしたいだけの男だし!!!
「やはり、ナイトロードの封印が暴走して――」
「違うっつってんだろォォ!!」
もうダメだ。俺の頭が先に崩壊する。
――と、そのとき。
「お坊ちゃま」
ゾワッと背後に気配。振り返るまでもなく、リリスだ。
「この騒動、誰かの意図的な仕掛けかもしれませんわ」
「マジで言ってんの……?」
やめて、そういう陰謀っぽいのマジで胃にくるから。
「封印が話題になっている今このタイミングで、門が封じられる……都合が良すぎます」
「つまり、誰かが裏で細工したってことか……?」
「ええ、自然発生の可能性は低いかと」
はぁぁぁ!?
じゃあ俺、巻き込まれてるだけでなく、使われてるのかよ!?
勘弁してくれよもう!!
……そして、なぜかしばらくして騒ぎは“自然に”収束。
原因不明のまま。なのに――
「魔王の力、ついに覚醒か!?」
「ナイトロードの影響で空間に歪みが……!」
「封印が不安定になっているに違いない……!!」
はい来た。新たな誤解ラッシュ。
結局、また俺のせいになってんじゃねーか!!!
……俺がパン食ってただけの話が、
いつの間にか「世界の危機」にされてんだけど!?
……誰か助けてくれ。本当に……
この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。
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