第3話 忠誠と右腕
俺が覇魔戦へのエントリーが決まった瞬間、学院は一瞬で熱狂の渦に飲み込まれた。
「ナイトロード様の真なる力が、ついに顕現なされる時が来たぞ!!」
信奉派のゼノが、何かの儀式みたいなポーズで叫ぶ。
「よし、この混乱を正す!秩序派が正義を示す時だ!」
秩序派のユージンが謎の正義感を燃やしている。
待て。なんで俺が戦争の象徴みたいになってんだよ!?
俺の叫びは、誰にも届かない。
誤解は、俺の意志を置き去りにして膨らんでいく。
まるで炭酸の抜けた魔導コーラみたいに、止まらない。
そして奴らは、さらなる爆弾を落としてきた。
「ナイトロード様に仕える“真の側近”を決める戦いを開こう!」
「その名も、『ナイトロード様・右腕決定戦』だ!!」
――何勝手に右腕決めてんだコラァァァァ!!!
「いやいやいや!!俺の許可どこ行った!?」
だが、信奉派は既に大暴走モード。
「勝者は、ナイトロード様に最も近い存在に!」
「この世界に新たな秩序をもたらす者……それを決めるのだ!!」
やめろぉぉぉぉぉ!!
俺の知らんとこで、俺の組織作るなぁぁぁぁぁぁ!!!
「……くだらないわね。」
その時、冷たい声が背後から響いた。
振り向けば、腕を組んだアルマが立っていた。
煌めく金髪に、透き通る碧眼。
背は小さいのに、放ってる空気が完全に“最強”。
やっぱ、カッコよすぎだろ……。
「そもそも、ナイトロードが戦うのに、右腕決定戦って何よ。意味分からない。」
アルマァァァ!!
論理と美貌を兼ね備えた、俺の心の太陽!!!
「それに、“仕える”って言ってるけど、本人に了承取ったの?」
「そ、それは……っ!」
信奉派が詰まる。
「アレクシスは、“出たくない”って、はっきり言ってたじゃない。」
「ぐっ……!!」
「無理やり巻き込んで、それで忠誠とか言ってるの、どうかしてるわよ。」
そう!! それだよそれ!!!
君の冷静さが、唯一の救いだ!!!
俺は心の中で全力でガッツポーズしながら、彼女の横顔を見つめていた。
……ちょっと長く。いや、けっこう長めに。
「……なによ」
アルマがちらっと俺を見た。
「い、いや……その……やっぱすげぇなって思って……」
「……普通よ?」
「いやいやいや! この学院で“普通”って言い切れるのお前だけだからな!?もうそれ、異常だぞ!?」
「褒めてるの?それともバカにしてるの?」
頬をわずかに膨らませて、アルマは髪をふわりとかき上げる。
ああもう、やっぱ好きだわ……。
俺、たぶん一生惚れっぱなしだこれ……。
で、それを――完ッ全にお見通しの奴が一人。
「……お坊ちゃま、また惚れ直しましたの?」
振り向けば、いつの間にかリリスが紅茶を片手に優雅に立っていた。
その目元には、絶妙に意地の悪い“余裕の笑み”。
「ち、違ぇよ!?!?」
「ええ、“また”という部分は不正確でした。“常時進行中”が正しい表現ですね?」
「なんだその実況風ナレーションは!!俺の恋心に字幕つけんな!!」
「ふふ……ではこの顔も記録しておきましょう。“右腕騒動中における、片想い継続中のナイトロード様の表情”と。」
「なんでそんなのアーカイブすんだよぉぉぉ!!?」
こうして――俺はまたひとつ、
伝説と片想いと、リリスのエグい実況に巻き込まれていくのだった。
この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。
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