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魔法学院の七誤解  作者: チョコレ
第三誤解 影蠢く学院
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第5話 地下の異変

 ここ数日、誤解に誤解を重ねて、俺の学院生活は完全に壊れかけていた。

 けど今朝は――やっと静かだった。


 鳥のさえずり、風の音、パンの香り、誰も騒いでない。

 これぞ、求めていた平穏!


 ようやく、普通の朝を迎えられた。

 そう思ったその瞬間、


「きゃああああああ!!!!!」


 学院のあちこちから、悲鳴。大音量で。


「……は?なに?」


 寮の窓の向こう、廊下の奥に――

 黒いもやが、ゆらゆらと漂っていた。


 天井を這い、空気をざわつかせる不穏な気配。

 ってか、あれ絶対ロクなもんじゃねぇ。


「闇のマナ……ですね」


 隣のリリスが、いつもの紅茶を手にスッと前に出る。


「お坊ちゃま、下がってください」

「いやいや、待て、なんで俺が“関係者”みたいな立ち位置なんだよ!!」


「ナイトロード様がついに……!」

「封印が……覚醒を……!」


 はい、来た。

 毎度おなじみ「すべてナイトロード様のせい」タイム。


「違うって言ってんだろがぁぁぁ!!! 」


 誰も聞いてない。安定の無視。


 しかも地下から溢れた闇のマナが、まるで吸い寄せられるように俺のまわりに集まりだす。


 ちょ、おまっ、来るな。寄るな。包むな!

 気づけば、腕に黒い紋様が浮かび上がっていた。

 なんだこれ!?と思っていたら、眩い光が、俺の前に降り注ぐ。


「っ……!」


 光の魔法陣。広がる聖なる輝き。

 そして、聞き慣れた、冷静で凛とした声。


「まずはこの場を安定させるわ」


 現れたのは――アルマ。


 金髪碧眼の天才特待生。

 冷静で、鋭くて、たまに怖くて。

 でも、誰より綺麗で、目が離せない存在。


 彼女の光が、俺の周囲にまとわりついた闇をゆっくりと洗い流していく。

 なにこれ。神聖すぎん?


「……助かった、のか?」


 ポツリと呟いて気づく。


 いやいやいやいや!!!

 なんで俺、“ヒロイン枠”みたいに救われてんだよ!!!

 本来なら逆だろ!?


「……俺の立場、どこ行った……」


 そんな情けない俺の前に、優雅に紅茶をすするリリスの声が降ってくる。


「お坊ちゃま、大丈夫ですよ」


 ああ、はいはい。

 どうせまたなんか煽るんでしょ知ってる。


「これから、強くなればいいのです」

「それってつまり、今は弱いってことだよな!?」

「ふふ。お坊ちゃまは、まだ何も知らないだけです」

「知りたくもねぇわ!!」


 でも、その言葉の奥にあるものは、妙に重かった。


「“ナイトロードの伝説”は、まだ始まったばかりですから」


 俺の中に、何があるのか。

 学院で、何が起きてるのか。

 正直、まだ全然わかんねぇ。


 でも。

 アルマの魔法は、誰より綺麗だった。

 あの光が、俺を包んでくれた。


 だから――


「……次は、俺が護る側になってやるよ」


 誰に言うでもなく、そんなことを呟いた。


 平穏はまたしても崩壊したけど。

 それでもこの先、ただの巻き込まれ役で終わる気は――

 ねぇからな。

この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。


https://ncode.syosetu.com/n8980jo/


「続きを読みたい!」と思っていただけた際は、ぜひ【★★★★★】の評価やコメントをいただけると嬉しいです。Twitter(X)でのご感想も励みになります!皆さまからの応援が、「もっと続きを書こう!」という力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!


@chocola_carlyle

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