第9話 心奪われて
アルマ、やばくないか?
光を操り、戦場を支配する姿。凛とした立ち姿、まっすぐな眼差し、ブレない判断。まるで、学院に舞い降りた光の支配者。いや、これ、もはや光属性のチートだろ……!
でも、ただの強い魔法じゃない。彼女の魔法は、計算され尽くしてた。攻撃魔法の弾幕は、相手の防御の隙間を的確に突き、でも無駄なダメージは一切なし。圧倒的な力を誇示するでもなく、ただ「必要な力」だけを、冷静に、淡々と使う。
……美しい。
気がつけば、俺は――見とれていた。
戦場を収める光の主に、完全に。
そして次の瞬間、気づいた。
心臓が、バグってる。
おいおいおい、俺。どうした。
なんだ、この変なドキドキ。
マジで魔法の余波とかじゃないよな?
ふと、アルマが俺の方を見た。
「……もう、いいかしら?」
ただ一言。
いつも通りの、無機質な声。
でも、その瞬間――息が止まった。
あれ?
息の仕方、俺、忘れた……?
周囲が静まり返ってる中で、俺の胸だけがうるさい。
やばい、これ。
一目惚れってやつじゃねぇのか?
特待生のアルマに?
天才光魔法使いの、クールビューティに?
いやいやいや、待て待て落ち着け俺。
俺の立場、考えろ!!
ナイトロード家の跡取りで、訳わからん封印付き。
今や勝手に「覚醒間近」とか「伝説の再来」とか言われてる。
そんな状況で恋とか、どう考えてもバグイベントだろ。
それに――
「お坊ちゃま。」
来た。俺の監視役。
振り返ると、黒服メイド。
リリス・アークライト。
笑ってねぇのに、完全に笑ってる口元。
「……なんだよ。」
「ため息が多いですね。」
「そりゃため息も出るわ。
俺の人生、今、学院の伝説扱いなんだぞ?」
「ふふ……で、お悩みは『どちらの伝説にするか』ということで?」
「ちげぇよ!!!」
にやりともしてないのに、にやついてる感出すのやめてくれ!!
「……別に、大したことじゃねぇよ。」
「そうですか? では、さきほど戦場を光で沈めた『特待生のアルマ様』について、少し雑談でも?」
「ぶっ……!? 」
不意打ち。脳に直撃。
「な、なんでそこでアルマの話が出るんだよ!?」
「さあ、なぜでしょうね?」
微笑みつつ、カップに口を添えるリリス。
完全に俺の顔に何か見えたやつだろ!?
「……俺の顔に、なんか書いてあった?」
「いえ。ただ、さっきから『すごく真剣に見とれていた』ように見えただけです。」
「……くそっ。」
やられた。全部バレてた。
もはや反論の余地すらない。
リリスは追撃せず、ただ静かに、いつもの表情で俺を見ていた。
その沈黙が、逆に超ダメージだった。
……ああもう。
この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。
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