物語の端くれ_校長のベリーベリー特星道
@校長視点@
~正安が28歳の頃~
「う、ううう。空腹でぐるんぐるん。このままあの世界、へ、え」
あああ。この目の回り方なら、今度こそは、次こそは行けるはずなんです。ラジオの、あの中にある世界と、似た、ような世界に。で、ですがぁ、先にハイパー死しそうなほどお腹が空いているぅー。
「ええ、わたくし正安先生はもう倒れかねないほど空腹です。ていうかすでに路上でぐったり。しかしこのまま眩暈が増幅すれば、勢いで今度こそ異世界に」
「先生、なにしてるんだ?」
「お、おや?そこに、い、いるのは?」
視界がぼやけてよくは見えませんが、このコートの少年の声、教え子の悟君、ですね。く、しまった。生徒に心配をかけては、は、恥ずかしくて照れてしまいますっ。
[ぐううぅー]
「あ、腹減ってるのか。テレビ局で貰った弁当、余ってるんだけど食います?」
「う、む、おおお。なんとも美味しそうな香りがぁ!い、いや、私は、その、大丈夫ですよ。空腹によって異世界に、あああお腹空いたぁ!」
「えーっと、でも先生、早く逃げないと隕石で死ぬぞ?」
「もぐもぐむしゃむしゃ。……え、隕石ですって?」
「って、もう食ってやがる!」
おおお、長すぎる絶食のせいで幻聴が聞こえますが美味しい!うますぎるっ!こんなことならもっと早くご飯を食べておくんでしたね、ええ。あーうまっ。
「先生テレビ見てないんですか?一昨日、地球に近づいてくる巨大隕石が突然現れたんですよ」
「へ?悟君、なに言ってるんですか?そんなの突然現れるわけ」
「あれですよ。あの岩」
悟君の指差す先には空。ああ、確かに青く晴れやかな空には不釣合いな赤い点が見えますね。…………マジですかーーーーー!!?
「え、え、や、やばいじゃないですか!え、あの、避難。避難しなくちゃ危ないですよ!ほら君も!あとできればお弁当もっとください!」
「いや、そう言われてもなあ。瞑宰県ロケットセンターの有人ロケットはとっくの二日前に飛んじゃいましたし。他の世界中のロケットはほとんど昨日飛んだみたいですから。あ、弁当は山ほどありますよ、はい」
「がーん!絶体絶命!もぐもぐもぐもぐ」
し、しかし私が異世界探しをしている間にこんな事態になっていたとは!ほ、他の生徒たちは大丈夫でしょうか?というか、悟君はやけに落ち着いてますね?いつもなら率先して逃げてるはずですが。
「さ、悟君。やっぱり悪いジョーク、いやジョーキングってやつですか?現在進行形で」
「本当だってば。ふふふ、ですがね。俺には秘策があるのさ!」
「もぐもぐもぐもぐもぐ。ふぃしゃく?」
って、悟君はおもちゃの銃のようなものを持っていますね。え、なんです?まさかそのおもちゃの銃で巨大隕石を撃ち落すつもりですかーーー!?
「この銃はエクサスターガンって言いましてね。この銃なら多分、巨大隕石に一本の穴を作れます」
「むむ、無理でふっへ!ばくばくっむしゃむしゃ!」
「そうかな?先生だって異世界に行けたんでしょう?今も本気で行こうとしてたようだし。……だったら俺が隕石を退けても不思議ではないよな?」
「む。ごっくん。……君は信じてくれていたのですか?」
「さあ?先生の過去なんて見たことないから知りませんよ。でも、俺のエクサスターガンが隕石を撃ちぬく未来はすぐ見れるだろうさ!つまり先生は、俺の話を信じざるを得ない!もぐもぐもぐ」
「ああ!私の弁当!もぐもぐもぐ」
悟君の話によれば、今日のお昼ジャスト、つまりはあと数分であの隕石に押しつぶされてしまうようです。しかし私は落ち着きました。ええ、簡単な話でしたね。そう、私にはあの不思議な世界、ラジオの中の異世界に行った経験と記憶があるのですから。
「悟君、君が隕石になにをできるかはまだわかりません。ですが。……ははは、ですが私は異世界があることを知っているのです。君が失敗しても異世界に避難させてみせますよっ!そうすれば君も私の話を信じざるを得ないでしょう?」
「なら先生、隕石を打ち抜いてから見せてもらおうか!滅びろ隕石めっ!エクサバーストおおおおぉっ!!!」
[ずがあああああああぁん!!]
う、うわぁ!まさかとは思いましたが、あんなおもちゃみたいな銃から本当にもの凄い光線が!な、なんて危険で楽しそうな銃なんでしょう!私も撃ちたーい!
[ばしぃ!]
「「え」」
ど、どど、どういうことですか!?悟君の光線が突如方向転換をして隕石とは違う方向へと飛んでいきました!もしや気まぐれな光線君なのでしょうか?
「なな、なんだあの和服は!?」
「え、なにかあったんですか?」
「そ、空に浮いてる和服野郎が、お、俺のエクサバーストをずらしやがった!」
「ええ?あ、確かに何かいるような」
空からの熱風がどんどんと強くなっていて見えにくいですが、確かに、なにか空にいます。く、悟君はよくこの状況で見つけますねっ。
「あああっ!?」
「こ、今度はどうしました?」
「いや、今度は女子が、その、空を飛んで隕石にひびを」
[どがああああああぁん!!]
わ、割れたーーー!?隕石が割れたあああぁっ!ここ、これは一体どういうことなんでしょう!まさか、本当に隕石を割る女の子が居ると言うのですか!?
「「…………」あ、俺ちょっと近くで見て来る!」
さ、悟君が行ってしまいました。は、はああ。若さですかね?こりゃあ私の異世界冒険なんて凄くちっぽけな出来事ですよ。あはは、は。
「あの~。ちょっといいかな?」
「……え。あ、私ですか?」
おお、急に声をかけられたのでハートが驚きました。この女の子はなんの用でしょう?どうやら中学生くらいのようですけど。
「一昨日にこの瞑宰県から発射されたロケットが宇宙で壊れてたらしくてね~。昨日、私の知り合いがそこに立ち寄ったんだよ~。はいこれ」
「これは、石?」
「ロケットの搭乗者が持ってたんだって。その人が死ぬ間際に私の知り合いと遭遇したみたいでね~。正安先生に石を渡すよう頼んだらしいよ。名前はベリーだとか」
「ベリー!?」
「ベリーって人が私の知り合いに、その知り合いが私にお使いを押し付けたってこと。ありゃ英雄にはなれないタイプだね~」
そ、そうか。彼がロケットを、ロケットの事故で死んだのか。……傲慢な人でしたが、思えば不遇というか可哀想な人でした。
「そうですか。……彼は、ルームメイトでしてね。ええ、確かに預かりました。ありがとうございます」
「ああ、あとその石は危険だから他の人に渡さないようにね~」
「はい?どういうことですか?」
〔こういうことだよぉー!正安ぅ!〕
お、おおお!?こ、この久々に聞いた聞き覚えのある声は、ベリー!え、死んだはずでは?ていうか一体どのあたりに?
〔なにきょろきょろしてやがるてめー!正面を見ねえか!正面を!〕
「べ、ベリー?死んだと聞いたのですけど。あと見えません」
〔そうだ!正安、お前が異世界なんか行きやがったせいでよー、こっちはこのざまだぜ!おめーへの恨みで怨霊よ!もう絶対に許さないからなぁっ!〕
「え?ああー、はい。思ったよりめっちゃ元気ですね」
「さっきの石には特殊な力が秘められてるんだけど、呪いが掛かっててね~。よほど適応した体質で持たないと死がやって来るんだよ~」
はああああ。そ、そんな危険な石がこの世にあるんですね。というかこの感じだと石の力でロケットの事故が引き起こされたということですか?
「ベリー、そんな石をどうして私に?〕
〔てめーを、いや全人類をぶっ殺すために決まってんだろうが!もう俺はなぁ、俺が死ぬとわかった時点で他の全ても消えなきゃ気が済まねーのよっ!だから死ぬ間際、巨大隕石が地球に向かうように石を託した!なのにこの女、隕石を割りやがってえええぇ!〕
「あはは、ごめんね~」
あ、悟君の言っていた隕石を割った女の子ってこの子でしたか。なら、悟君はこの子には会えずに帰ってきそうですね。
「話の感じだと隕石もロケット事故もこの石が引き起こしたみたいですね。そしておそらく石はラジオの中にある異世界のもの。ですよね、ベリー?」
〔お前から奪ったラジオ、あれは確かに金になった。異世界の草一つでも持ち帰れば何百万円の値がついた。だがあんな罠を仕掛けてたとはなぁ!この外道が!〕
「私は悪くないー。それより要らないなら返してくださいよ、ラジオ。生徒にもああいった異世界へ旅できる可能性を教えたいのです」
〔壊れたよおぉっ!ロケットの爆発でさぁ!〕
「そうですか。がっくしです」
となると残った可能性は不思議な石だけですね。ですが石だけあってもなー。ベリーが売りつけたという植物となんら大差はない気がします。ああ、ですが女の子によると不思議な力があるとか。
「えっと、その石貰っても大丈夫ですか?そもそも君は何者なのです?」
「大丈夫だからどうぞ~。あ、私は近いうちにこの辺の中学校に入るから。その時によろしくね~」
あ、行ってしまいました。う~む、どうしましょうかね。悟君には異世界を見せると約束しましたし。それに約束などなくとも、私は生徒に一度現実とは思えない世界を知ってほしい。う~むむむ。
〔けっ!どうしておめーが適切な体質で俺が違うかねぇ!許さねえぞ、この正安がぁ!〕
「ああ、そうでしたね。いいでしょう。あなたのその八つ当たり的な怨念、ベリーベリーベリーブレイクしてみせましょう。あなたの得意科目で!」
〔家庭科の調理!〕
ふむふむ。この石はどうやら粉末にして食べると特殊な力が身につくようですね。ですが、うむむ、選ばれた者、つまりあの異世界に適した者でないと副作用で死を呼び寄せるんだろうなあ。あ、いたたたた。
「く、またお腹が。ううう、闇鍋対決なんてするものじゃないですね」
もう一週間は経つのにまだお腹が痛い。もうすぐ学校が始まるというのにこれではいけませんね。……ですが、異世界への道は近づいているはず。ベリーが売った図鑑はいくつか手に入れましたからね。もう少しですよ。
「とりあえず、私が最初に魔法を覚えてみましょうか」
運がよければ、覚えた魔法でこの石の性質を書き換えることができるかもしれません。今ほどお腹が痛ければ味が不味くても気になりませんし。
「とかなんとか、一時間は考えてますね。ええい、所詮は粉、一気に飲むまでです!ごくごく」
いやぁ、今日の授業での波動魔法の受けはよかった。波動を使ったワープ移動。これを鍛えていけば異世界への道も作れる気がします。
それに本によると、ある物質に一定量の波動を浴びせ続けるとなんか変化が起こるとか。あの石を変化させられる波動量がわかれば副作用を消せるかもしれません。
「邪魔するよ、正安」
「うん?あれ、皇神さん!久しぶりですね!天利さんはご一緒ではないのですか?」
「ああ。彼女は仕事が多くてね。私が使いをしているんだよ」
「そういえば悟ンジャーが大ヒットしているんでしたっけ。あれの主人公って悟君ですよね」
確か悟ンジャーブラックでしたっけ。特撮の主人公が生徒の悟君だったのを覚えてます。いやぁ、あれは驚きでしたね。劇中の名前は黒悟でしたか。
悟君がテレビ局に出入りしてるのもその手伝いなんでしょうね。
「ああいや、あれは悟ではないんだよ」
「ふふふ、そうそう。俺は正真正銘、悟とは違うのさ」
「え?君は、悟君?……ではないのですか?」
「俺の名は戦隊 黒悟!本名で活動してるんだぜ、先生」
「あー、天利には悟本人ということにしてあるのでね。今度来ても黙っておいてくれ。ばれたら私が八つ裂きにされるだろうから」
な、なにやら深い事情がありそうですね。悟君の寮代や食費のことも天利さんは知らないのでしょうか。……なんにしてもあの人は劇や撮影にはこだわりますから、八つ裂きならあるかも?
「実はベリーの幽霊が家にきてね。天利に、主人公とラスボスの対決にふさわしい石がある、と吹き込んだみたいなんだよ。で、今さ」
「ちなみにあの幽霊は天利と決めセリフ合戦して死んでた」
「へー。石ならありますけどね。んー、でも多分、触ると死んじゃうと思います。触って死ななければこんなことも出来ますけどね」
「おおっ。それが噂に聞く魔法というやつかい?いやぁ、格好いいね」
「本当にな。ごくごく」
ふふふふふ、やはり初めてみる人には受けがいいですね。黒悟さんはそれほど驚いてる様子ではなく、なにかを飲みながら聞いてますが。……え。
「さっ、黒悟さん!?それはまさか!」
「ん?ああ、そこにあった粉。これで変な能力が身につくんだろう?ちょっと貰ったぜ」
「え、えええ!ダメですよ吐き出して!それに触れてるとマジで死にますって!」
「…………ふははは。残念ながら俺には効かないなあ!こんな呪い、コートの力の前では無力だったようだ!そしてよく聞け皇神に正安!……俺は夢を具現化する力を手に入れた!」
し、死なない?いや、ベリーには時間差で死の呪いが降りかかりました。きっと、この後に巨大隕石の雨が降ったりするのでは?
しかし、黒悟さんの言う夢を具現化する力、ですか?それは本当の話なのでしょうか?もし本当なら、私の波動など目じゃないくらいの力だと思いますが。
「おお。それはそれは、当たりじゃないか」
「ええー。急展開でついていけません。黒悟さん、本当に大丈夫なのですか?」
「ああ、余裕余裕。だけどまだ大した夢は具現化できないな。ほら、ゲームでいう経験値ってやつ?あんな感じで使いまくらないと体にフィットしないっぽい」
「確かに、私も使っていくうちに出来ることは増えましたが」
しかし黒悟さんが無事だったのは、単なる偶然でしょうか?偶々、私と同じように異世界に合った体だったということ?いやはや、やはり若さって大切ですね。
「まあいいさ。先生、今回の礼に異世界の件とやらを手伝ってやるよ。でも、まずは人間らしい体を作らないと。……ぶつぶつ」
「む、話しましたね?皇神」
「いやははは。すまないね」
~正安が29歳の頃~
「え、宇宙がおかしい?」
今日は黒悟さんが正夢を見たとかでやって来ましたが、こりゃまた規模の大きい話ですね。ベーリーベリー宇宙。
「そうだ校長。俺の正夢には日本と同じような国、地球と同じような星が出てきた。だけどその世界では太陽の周りを地球が回ってるし、宇宙全体も地球を中心としていなかったんだ」
「え、ええ。普通じゃないですか、それ?」
「はい?んなわけあるかよ。宇宙から見りゃわかるぜ。地球の周りを太陽が周ってるし、そもそも宇宙全体が地球を中心としてる。……なのに観測機器とかを通すと夢の中にある宇宙が見えるらしい」
「ど、どういうことです?なぜそんなことが?」
「さあ?ま、ここと似た異世界もあるから楽じゃないって話だ。異世界旅行も奥が深いな」
ううむ、なんだかよくわかりません。ですが、黒悟さんの話が本当ならば、私の知っている知識や常識はオール〇点なのかも?既に魔法みたいな力も使えますし、もしかしたら異世界に行くまでもないのでしょうか。……ちょっと異世界までに寄り道しちゃいましょう。
「どうです皆さん。魔法、いえ、特殊能力の準備はばっちりですか?」
「「「「「おおーっ!」」」」」
なんとか数ヶ月もの期間をかけて、地球のそばに星のようなものを作ることができました。ふふふ、これも波動の物質変化のおかげです。ベリーベリー早業でしたね。
「サイズこそ月ほどもありませんが立派な星。そのうち自転くらいはできるようにして」
「おい、貴様が校長か?」
「あ、なんでしょう?って、あなたは魅異さん紹介の、東武さんでしたっけ?」
「そうだ。俺の特殊能力はものに生死を与える力。俺の力があればファンタジー世界など作るのは容易いことだ」
それはなんとも頼もしいですね。それに特殊能力も一般レベルで使えるようになって来ましたし。量産化すれば皆で魔法対決とかできるかもしれません。
「だが、俺にはこんな能力よりも魔法が必要なのだ。俺なしで特星に生物、特にモンスターを絶やさないためにはシステム作りが必要になる。校長、貴様にそれが出来るかな?」
「ええ、まあ。モンスターに関しては天利さんが色々やるそうですが」
あ、そういえば天利さん、最近小学生みたいな姿になってましたね。最初誰かと思いましたよ、本当に。なに考えてるんでしょう。
「ふん、そうか。ならば人間を減らさない手段も必要だろう?これをくれてやろう!」
「これは?」
これは、石ですね。宝石でしょうか?めっちゃ輝いていて綺麗ですけど目には悪そう。……しかしこの怪しく輝く宝石にどのような人類存続の秘訣が眠っているのでしょう?
「その石の周りは不老不死のベールに包まれる。まったくの不完全な不老不死だが、貴様ら程度の力なら死者など出ることはないだろう」
「不老不死!?うわー、なんかどんどん話の事態がインフレしすぎてません?」
「ふん、貴様も不老不死が遠いと思っているのか?俺の目には自ら遠ざかっていく奴ばかりに見えるがな。知と亡霊の影を追っているように」
「お、詩人チック。でもでも私が追うのはロマンですけどね」
「ふうん?なら不老不死をロマンとしないよう精々気をつけることだ」
~正安が30歳の頃~
ふっふっふ。さあ、ついに完成した特星に足を踏み入れるときです!この波動ワープの先に、私の目指した異世界に近い世界が広がっているはず!
「さあ、行きますよ……」
お、おおおおおっ!草原!日本では見たこともない本物の草原っ!山でもなく森でもなく人工芝でもない!これだけでもなんかもう珍しい光景ですね!
「それに草花に隠れていてもちらほら見えるモンスターの一部!……で、ですがちょっと怖ーい」
噛まれたらどうしましょう。なんか、鈍器を持ったモンスターとかも居ますしー!ちょっと、これじゃあ偵察組に会うより前に殺人事件被害者になってしまいますよ!
〔…………校長さん?そんなところにいては危ないですよ?〕
「あ、記紀弥さん。どうです特星の住み心地は?若者的な意見と幽霊的な意見を知りたいのですが」
〔……そうですね。言っては悪いですけど不便なところが多いです。現代暮らしに慣れているので、悟ンジャーの放送を見れないのは辛いですね。あとは買い物ができないのも不便ですよ。日本に戻るのが大変なので〕
ううむ、やはり生活面で不便と感じることが多いですね。あくまで星の観察のために作った星ですが、こう、本物の過ごしやすい異世界のようにしたいんですよね。
ふむう、現代と異世界の両立、ですかぁ。…………そうですね。私も、最終的にはそういうのが欲しかったのかもしれません。ええ、やりましょう!
「ベースとなる生活はあくまで現代のものがいいでしょう。つまり新しく現代エリアという居住区を作り、今ある特星と合体させてほしいのです。……できますか、黒悟さん?」
「できるわけあるかっ!夢みたいなこと抜かすなよひげ人形め」
「えー。でも神様なんでしょう?皇神から聞きましたよ」
「お前……。あのな、はっきり言っておくけどな、たとえ地球全部の信仰を集めても地球規模のことしかできねーんだからな?ましてや俺は雷之家のコートの神だからな?……それも今更だけど」
「でもでも、特星は地球より小さいしいけますって。んー、それにほら。悟ンジャーって世界進出し始めてるのでしょう?」
「はっはっは!残念だったな!世界でも人気があるのは俺じゃなくて悟ンジャーブラックなんだ!俺の信仰アップのために始めたはずなのになぁ、なんでだろうなぁ。はああっ」
あ、触れてはいけない話題でしたか。しかもなんか無理みたいです。
「ああ、でも前にこの辺を見てたときに居たあの可愛い子なら、もしかすれば」
「え?」
「神離 魅異。お前のところの生徒さんさ」
「というわけで完成したよ~」
「はっや!魅異君、ほ、本当にもうできたのですか?」
「まあね~。特星本部長は今のところ私の妹がやってるから、いい人見つけたら代えるといいよ」
たしか現代エリアの新設、それに特星エリアと海の増加で地球の十倍はある星になる予定でしたっけ。公共施設も増えましたし人手不足にならないか心配ですね。
「生活全般は勇者社で済みますね。問題などは基本的に自主解決、要請があれば特星本部職員や勇者などが向かいます。お金や言語や物の価値は、まあ、面倒なのであとで統一する方法を考えましょう」
「住民は小学生から高校生までが多くなりそうだね~。これは?」
「異世界に興味ありそうな年代を応募条件にしました。だって住居は寮が中心ですからね。一応、親御さんも適性調査に受かれば来られますよ」
「大きい学校みたいな星だね~?問題は起こるだろうけどイメージは固まってるし、いいんじゃない?あ、でも特星に限らない話なんだけど、一つ大事なことがあるんだ~」
大事なこと、ですか?なんでしょう?
「異世界みたいな星がいいならなおさらなんだけど、人は選ばなきゃダメだよ~。異世界に行く者は異世界に選ばれて行く、でなきゃあ大抵、移住者は元の世界を異世界に広めちゃうのさ。マウントポジションが大事だよ~」
「もう一つ現代社会が出来るってことですか?特星の場合だと」
「そうそう。大抵はね~。じゃあ私は行くから頑張ってね~」
ああ、消えてしまいました。なんてイリュージョンなことをするんだ、あの子は。と、とにかくです!現代人でも過ごせる異世界の星、特星は完成しました!今度こそ!あとは現状の課題を解決していけば……。
「正安、邪魔するぞ」
「あ、天利さん!実は特星が完成してですね」
「待て!私には時間がないのだ!……悪いが、悟ンジャーが完結して頼まれごとがこなせなくなった。広告出演などが多くてな。だから原住民との問題を解決する感動ストーリーは諦めろ。あと、悟に頼んでいた不老不死の効果範囲問題もな。では私は行く」
「え?……え?あ、天利さん!?」
いきなり現れていきなり帰ってしまいました。重要な問題を残して。…………特星は、ようやく完成したのです。問題、解決しなきゃですね。……がっくし。