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変な星でツッコミ生活!?  作者: 神離人
本編:皆が事件解決 その一
21/85

〇話 パニックチック年明け(悟編)

@悟視点@


降り積もる雪、暖かいコタツ。典型的ではあるが冬の訪れを感じさせる物に囲まれて、来たるべき新年を今か今かと待ち続けていた。


……はずだったんだけどなぁ。今はもう新年なんか来なくていい!この状態で新年を迎えるなんて、大凶確定に決まってるじゃんかー!


「あら、悟の今日の運勢は極凶らしいわ。きっとご苦境と掛けてるのね、面白いわー」


「きっと印納さんのせいです。ああ、何て運がないんだ!」


おのれー、神社のコタツで暖かいものでも食うつもりだったのに。だ、だがまだだ!そもそもアミュリー神社に向かったからこんな人に会ってしまったんだし、厄払いついでに押し付けてやる!


「失敬ね。私がそんな限りある凶程度に収まるとでも?あ、悟の来年は十一口士口吉」


「えらくけったいなおみくじだな!」




神社に到着ー。にしても、やっぱり印納さんは着いてきたか。


「って、なんだか神社がうねうねしてるような」


「悟、あれはきっと悪の大吉が作り出した怪物よ!凶の力で倒すしかない!あなたの運勢が吉と凶のどっちに転ぶか、ここに掛かっているわ!」


悪の大吉って!どっちに転んでも悪い結果にしかならないだろ!ま、まあ、あんな意味不明な神社に関わる気は元々ないけど。……あ、でもせめて印納さんは預けないと。


「あらあら、随分と変なのが参りましたわねー」


お、こんな神社に珍しい感じの子供が。あ、いや、元々子供は多い地域か。この辺の奴らと同じく女子小学生かもしれないな。


「あら、悟はもう降参なの?早すぎるんじゃない?」


「えー、印納さんのことですよ。俺は変じゃないんで」


「両方よ、両方。たった一日だけ掛かる闇の道は、常人には渡りきれませんのよ。参るの意味も取り違えていますし、とても変ですわ」


まあ、主人公たる俺に渡れない道理はないよな。にしても、闇の道だったか?常人には渡りきれないらしいが、この辺の変人率を考えると渡りきった奴の方が多いんじゃなかろうか。


「それを渡ってここに居るなんて、あなた常人ね」


「変人よ。私はマメ カーテンレース。この先のお屋敷へ強き変人をご招待していますの。私のお屋敷ですのよ、あれ」


「ああ、あっちにあるのか。じゃあこの神社はなんなんだ?」


「さあ?そんなことより、あなたが屋敷に入るのに相応しいか試しますわよ!喰らいなさい!深黒、黒念刻波刀・ビーム!」


「刀でビームだと!でもそんなの当たるか!」


[ぼわん!]


うおぅ!ビームの当たった箇所から黒い煙が!しかもちょっと目に染みる!くっそ、ビームに小細工するなんて!ビームそのものは避けても煙が邪魔になるってことだな!


「ふっふふふふ、私の特殊能力は闇雲に隠れる能力!闇に紛れる私にとって、この暗黒の夜は自分の庭みたいなものですわー!」


「闇雲ってそういう意味じゃないと思う!」


「闇と雲に隠れられるなんて二得な能力ねー。きっと見えないのをいいことに、色々さらけ出してるんだわ」


「もう私を捉えることはできませんわね!さあ、弱ければ散りなさい!暗殺、黒静深淵霊歩狩・アタック!」


[きぃん!]


「残念だな!ハエ叩きアタック!」


「な、なんですって!なぜ私の居場所を!?きゃああぁっ!」


うん、よし、倒したみたいだな。はぁ、今日はちゃーんとハエ叩きを持ってきてよかった。前の事件もこれがあれば、御衣や希求くらいは楽勝だったんだけどなー。


「な、何故私の姿が?」


「俺は主人公だからな。命中力が高い。つまり視力がいい!洞察力も天下一品だ!」


〔洞察力は知力だろ。ツッコミ役が持ってるわけないって〕


あ、ボケ役!今日も出やがったなこの野郎め。印納さんを持っていってくれよ。印納さん預ける代わりにお前のおやつを寄越すとかそんな感じで。


〔するかよ!俺ばっかりマイナスじゃねえか!〕


「私はメインヒロインだからね。顔がいい。つまり輝いてる!ほらほら、輝かしい私の発光よー」


〔ほら、メインヒロインだって。主人公が責任もって攻略しろよバーカ〕


あんな直視できないような発光体をヒロインにできるか!っていうか、どういう原理なんだよ!そもそも発光してなくてもお断りだけど!


「印納さん!眩しいから本当ストップ!近寄りがたいほど美しいですから!」


「言わなくてもわかってるわよ。さあ、例のお屋敷に突撃よ!闇のサトール帝国建設の為にも!」


「それだと俺の帝国になるから!あ、いつの間にかマメだったかが居ないな。折角、化粧してたことを見破ったのに」


「そういえばそうね。顔とかをさらけ出してやろうと思ってたのに」


ううむ、自然な感じの化粧だったが慣れてたんだろうか?……素顔は凄かったりして。お屋敷で戦うことがあったら、顔に水圧圧縮砲を当ててやろうかな?




というわけで、お屋敷に着いてしまった。無駄にやたらと大きいようだが、どうしてこんなに大きい必要があるんだろう?無駄遣いか?俺も無駄遣いには気をつけないとな。


「おや、悟に印納さんじゃない~。よく来たね~」


「うわ、魅異!」


「あら、珍しい顔だわ。まさかまさかのメインヒロインを奪いに来たのね!」


「残念、メインヒロインは私だよ~。さあ、二人分のメインヒロインを渡してもらうよ~!」


印納さんのメインヒロインは困るけど、魅異がメインヒロインなのも困る!ってか、二人分ってなんだ!俺もヒロインかよ!そもそも奪えるのかよ!


「さあ、覚悟~。覇者の大渦~」


[ごおおおおおおぉっ!]


うおおおおぉ!凄い竜巻が!槍を回すだけでどうやって出してるんだよ!


「す、水圧圧縮砲!……駄目か!軌道が逸れてるな!」


「ほらほら~、時間をかけると飛ばされるよ~」


「風が強いわねー。槍魔術、パラレル印納ちゃん!」


うっわ、どこからともなく四人の印納さんが!絶対後が厄介だ!


「「「「「私たちは五人で手を繋いでいるわ!重さは五倍!これで風なんて平気よ!」」」」」


「おお!印納さんが頭脳的プレイを!」


「「「「「狙ってるのがヒロインの座だったなんてつまらないわ。さあ、五人で風に乗ってパラレル旅行よー!」」」」」


あ、風に飛ばされた。しかも居なくなった!ああもう、あの人全然役に立たないな!あ、でもさすがの魅異も呆気にとられて技が止まったぞ!


「隙あり!電圧圧縮砲!」


「うわわ!……や、やるね~。でもまだまだこれからだよ~!聖者の拳圧~」


「これなら!ハエ叩かない・みね打ち!ついでに突撃だー!」


「無謀だね~。王者の帰路~」


俺のはね返した攻撃を、更にはね返されるまでは予想通り!そしてコートを武器として使う必殺技を拝まむがいい!


「さあ、消えるぞ!コート魔術・移動!」


「え、消えた~?」


「後ろだ!ハエ叩きアタック!」


「わ!や、やられた~。降参だよ~」


おっしゃ!何で挑まれたかはよくわからんが勝った!まあ、こいつ相手に勝ってもどうせ手加減されてるから自慢にならんけど。


「ふっふっふ、俺の正体が魅異だと思ってるな~?」


「え?あ、その声はボケ役!」


「正解だ~。って、語尾が戻らないだが~!くそ、退散だ~!」


おお、どっかに行ったか。何だ、さっきの魅異はボケ役の変装か変身だったんだな。通りで技がいつもよりしょぼかったわけだ。


〔うるせ~!勇者技は俺には扱えないから仕方ないだろ~!〕


思考でも語尾が治らないなら出てきて話せよ!すぐ近くに居るんだからさ!


「出てきたぜ~」


「うん。それで何でお前はここに?」


「俺以外も結構知ってる顔は居るようだぞ~。神社に行ったらここに飛ばされたみたいでな~。俺は裏ステージから送られたんだ~」


裏ステージっていえばボケ役や偉い奴の隠れ家だったか。隠しステージとも呼ばれてたような気がするけど。そこからもここに繋がってるのか?手当たり次第だなー。


「部屋はどうやって決めてるんだ?受付居なさそうだけど」


「適当でいいんじゃないのか~?ちょっとした村か町くらい広いからな~。皆適当っぽい~」


ひえー、作る方も泊まる方も物好きだな。




とりあえず、王室っぽい部屋を手に入れたけど使いにくいな。俺が家を建てるときは王室は作らないようにするか。ていうか、結構な部屋を回ったけど全然人が居ないんだよなぁ。広すぎて遭遇できないのかも。


「悪いね、邪魔するよっ!うわ、やっと人が居た!」


「うお、まさかの人が来た!誰だお前は?」


こいつもサイズ的に女子小学生っぽい気がする。尻尾が生えてるけど、な、何の尻尾かわからん!もふもふはしてなさそうだが。


「あたいはかく 皿々(さらさら)!盗賊やってんだけど人が居なくてねぇ。だが、やっと人の居る部屋を見つけた!さあ、この部屋は今からあたいが頂くよ!」


もしかして誰も居ない部屋全部に声を掛けて入ってたのか?面白い奴だなー。


「よくわからんが、部屋なら他にいっぱいあるだろ」


「あたいは戦って叩きのめすのが好きなんだよ!ついでに部屋も頂く!お前の物は頂いて、いらない物は捨てる!」


「せめて売れよー。ま、どうでもいいけど。厄介者が居なくなってこれから休むんでな!さっさと他をあたれ!空気圧圧縮砲!」


「風か!でも弱いよ!ブレイクパワーウイング!」


お、翼でかき消したか!尻尾に翼ってことはあれか?ドラゴンとかその辺りか?へえ、モンスターの割には強そうな部類じゃないか。


「お前はドラゴンとかそんなんだろ」


「そう、あたいはジパンポーロドラゴン!その中でもかなりの実力者があたいなのさ!小学錬金竜という二つ名、一度は聞いたことない?」


「さあ」


まあ、二つ名からして錬金術とかできるんだろうな。そのまんまだし。錬金術使えるくせに盗賊なんて変な奴だな。


「ならその身で思い知りな!錬金、ゴールデンブロック!」


「ぐふぇ!い、いってー!上から降らすのかよ!お、重くて動けねー!」


「そのまま焼け付きろ!燃えるチューズブレス!がー!」


ぎゃあああぁっ!ブレス!熱いって!しかも金が邪魔で動けねえ!た、耐火性コートに隠れるしかない!……隠れても熱い!しかもバニラみたいな甘い香りが混じってる!生々しい!あいつ甘いものでも食ったな!


「ふっふっふ、熱い?熱いだろうね!なら涼むがいい!凍えるウェンズブレス!」


「こ、これはまだマシ!水圧圧縮砲!」


[どかあぁっ!]


「きゃー!」


あ、あれ?予想よりかなり呆気なく倒せたな。ドラゴンっていうくらいだし、水圧圧縮砲一発くらいだと倒せないと思うが。


〔よく見ろ~、水圧圧縮砲が凍って重そうな氷になってるぞ~〕


あ、なるほど。痛そうだな。ってか、ボケ役はまだ口調が治ってなかったのか?そこそこ時間が経ったけど。


〔ま~、寝れば治るだろ~〕


適当だな。ま、それはさておきだ。


「こんなに黄金が手に入るなんてラッキーだ!俺は更なる大金持ちだー!ばんざーい!ばんざーい!」


「あら、悟。こんな所に居たのね」


「うわあああぁっ!印納さんが出たー!」


嫌な予感がする!すごーく嫌な予感がする!いいことがあったときに出会うこの人は、きっとろくなことしかしないような気がする!た、頼む、俺を押しつぶすこの黄金に気付かないでくれー!


「なんだか重そうな状態ね」


「そりゃあ気付くか!い、印納さん!このブロックに手を出したら死にますから!だから早く逃げてください!」


「お、私が死ぬって?それはちょっと興味深いわね」


「わあぁっ!ごめんなさいごめんなさい!死なないから何にもしないで帰ってくださいー!」


「私が何もしないとでも?既に黄金をダンボールに変えてやったわ!」


は、か、体が軽い!……べ、別に俺は元から大金持ちだし。ふ、主人公が黄金に心奪われるはずがない!こ、心奪われるはずがないー!うわーん!


〔まあ、あれはどうしようもない部類の人だ~。諦めろ~〕


俺の黄金ー!




さ、さて、気を取り直してもうすぐ新年だ。年越しそばでも食べたいところだな。


〔やっと立ち直ったか〕


ふ、所詮は今年の出来事!運の悪い今年はもうすぐ終わる!なら、さっさと来年のプラス要素を手に入れる準備をするほうが賢いってもんだ!


〔ふーん。年越しそばは館内で配られてるみたいだが。お前、何で外に居るんだ?〕


いや、来年はいい年になるようにお参りしておこうかと思って。さっきの神社は変な形だったし、不幸を奪いそうな感じだろ。


〔ご利益なさそうだったけどな。神様っぽいオーラもなかったし〕


「げ、あなたは!」


「お、こんなところにも小学生っぽいのが」


にしても、俺を知ったような口ぶりだな。げ、って。こんな奴と会ったっけ?見覚えがないな。


「こ、こんな夜中に外で何をしてるのかしら?お屋敷内で年越しそばを配るって放送があったはずだけど」


「いや、散々な目に遭うからお参りに。ってか、お前誰だっけ?会った記憶がないんだけど」


「ああ、はじめまして。私はいつころも 刺間しま。くノ一をしている女子小学生よ」


くノ一が自ら正体喋っていいものなのか?いや、それよりもやっぱり見たことないな。それにくノ一がこんな夜に出歩いてるなんて、怪しい以外の何者でもないだろ。くノ一か。やっぱり暗殺?……読めてきたぞ。


「そうか。こんなお屋敷に招待なんて怪しいと思ってたんだ。きっと何かあるってな!」


「さあ?何のことかしらね?」


「お前が殺人事件の殺人犯だな!」


「ええ!?違うわよ!」


ふっふっふ、動揺しているのが手に取るようにわかるぞ!お屋敷への招待、くノ一の存在、えーっと、それっぽい感じのお屋敷!ここから導かれる答えが一つある!


「あれだろ?お屋敷の中で人が死んでいくんだろ?犯人は招待客の中に紛れるくノ一。首謀者の手下ってところだろう」


「いや、まあ手下だけどさ。特星では基本的に人は死なないわよ」


「ここは闇の世界。つまり特星の範囲内じゃない可能性がある。黄金に潰されれば死に、炎に焼かれれば死に、吹雪で凍えれば死ぬ。そんな世界なんだろう?」


〔お前、何回死んでるんだ?〕


いや、ほら。俺は主人公だから奇跡的に運よく助かるんだよ。……まあ、冗談はともかくだ。実際死ななくても気絶だけでもそれっぽくはなるだろ?つまり、お屋敷での襲撃事件を起こすことはできるってわけだ。俺が悪役なら多分やる。


「は、話にならないわ。そんな面白そうなこと、やっていいならやってるわよ!でも、あなたが外に来たから実現できそうだわ。外を出歩くコート男が襲撃される、そんな話に誰もが恐怖する。さあ、私たちの意図を知る前に、第一被害者となって眠るがいいわ!投擲、憑依遠殺手裏剣!」


「叩き落すまでだ!そらそら!あ、あれ?」


手裏剣がハエ叩きにくっついて取れねぇ!ど、どうなってるんだこれ?……あ、なんか接着剤みたいなのが塗られてる!ってか、紐ついてるな。ヨーヨーみたいに使う気か?


「うぅ、取れない。こいつめ!水圧圧縮砲!」


「よっと!全然余裕!その手裏剣についてる紐の振動が、あなたのモーションを伝えてくれるわ!そしてもう数発よ!投擲、憑依遠殺手裏剣!」


「主人公キャッチ!」


ふっふっふ、あいつが紐を持ってるなら話が早い!このまま紐を引き寄せて近距離戦でいってやる!


〔あいつが紐を離せば振動で攻撃を読まれることもないだろうからな。無難だ〕


「そんなの読めてるって!武器罠、感覚消失式電撃!」


[ばちばちばちばちぃ!]


「おごごごがががが!」


ひぃ、ひえぇ。い、今のはかなり効いた!あいつめ、手裏剣に電気なんか仕込みやがって!小学生のやる戦術じゃねーだろ!


「ち、充電切れね。でもまだまだ数はあるわ!投擲、憑依遠殺手裏剣!」


「もう当たるか!たまたま落ちてた玉ねぎを喰らえ!」


[ざくざくざくっ]


「う、防がれたわね」


「いや、反撃だ!ハエ叩きアタック!」


「うげ!きゃ!う、ああぁっ!目に染みるー!」


くくくく、この暗黒の地で育てられた玉ねぎは必要以上に渋辛い!顔に食らえば目は十兆リットルの涙を流す。さあ、自分の涙に溺れるのだ!


〔本当?〕


まさか。あー、でもすっごい痛そうだ。


「玉ねぎはやりすぎたか。どれどれ、ちょっと見せてみろ」


「左!左目に汁が入ったの!……かかったわね!」


「なら洗うか!水圧分裂砲!」


「うぶぶっ!」


お、気絶したようだ。ってか、最後に不意打ちする気だっただろこいつ!いやー、目を洗うのに水圧分裂砲を使っておいてよかったー!


〔圧縮砲じゃないから、善意で撃ったのか仕返しで撃ったのかがわからないんだけど〕


もちろん玉ねぎの汁を洗い流すために善意で撃ったさ。面倒な相手だったし電撃は効いたけど、わざわざだまし討ちで仕返しするわけないだろ!


〔本当?〕


まさか。




ああああー、もう年が明けてるくらいだろ?これじゃあ初詣みたいになっちゃうよ。正装用のコートを着てくるんだったな。


〔まだ明けてないって。急げば年越しそばには間に合うから頑張ることだ〕


「あらあら。年越しそばを無視した方が居たようですわね」


「出たな。やっぱり豆カーテンが首謀者か!……あれ?」


なんだ、化粧はもうやめたのか?結構上手そうだったが。


「そう!私こそがマメ カーテンレース。この事件を見破ったことはお見事ですわ。しかし、あなたにこのパーティを止めることはできない。知っていますわよ、あなたが黒悟の体で動いていることを」


う、何でそんなことを知ってるんだ?……い、いや!この話は今は全然関係がない!つまり心理的揺さぶりというものだな!


「ふ、それがどうしたってんだ?」


「ふむ、少しは特殊能力なしでも戦えるようですわね。しかし、それでもあなたは特殊能力に頼りすぎている。そうでないかしら?」


「そ、そうだが」


って、これはまずい!俺が謎明かしをしようと思ってたのに向こうが探偵っぽい!おい、ボケ役。何かこいつの泣きそうな話とか知らないのか?


〔いや、そもそも俺はそんなやつ知らないぞ〕


向こうが一方的に知ってるってことか?ストーカー?


「しかし特殊能力だけでは、その謎の力だけでは限界がありますの。あなたの特殊能力は十分に強いのだから、それを進化させるような力を身につけてはどう?」


「どうだろうなー。ただ、一つわかることがあるぞ」


「あら、何かしら?」


「お前の話に付き合ってたらそばを食べ損ねる!すぐ倒すには特殊能力を使わざるを得ないからなぁ!今年は特殊能力で倒されろ!水圧圧縮砲!」


……あ、あれー?水圧圧縮砲が出ないぞ?ま、まさか故障か!


「あら、気付いていませんでしたの?この神社内では特殊能力が使えませんのよ。……私以外は!目標、レーザーピンポイント!」


「お、何ともない?なら先手必勝!主人公タックル!」


「見えましたわ。技矢、ドリルアロー!」


「ぐ、いててて!」


うー、あいつは遠距離タイプなのか。武器なしだと結構厳しそうだな。……にしても、今のは特殊能力なのか?あいつの特殊能力は闇雲に隠れる能力だったはずだが。


〔いや、あれは違うな。矢に回転する仕掛けがあるっぽい。いきなり突っ込むから痛い目を見るんだ〕


隠してた弓矢に気付かなかったんだよ!

それにしても特殊能力が使えないのはちょっと厳しいな。向こうは遠距離攻撃できるし。あれも特殊能力ってわけじゃないのか?


〔神社の効果じゃないかな、多分。神社外に逃げるって手もあるぞ。あいつが追いかけて来なくても、外から攻撃できる〕


いや、時間が掛かるから駄目だ!俺はそばを食べながら新年を迎えたいんだよ!あ、それと殺人っぽい事件は年明けと共に起こる気がする。


「まだまだですわ!技矢、スピードアロー!」


「もう当たらん!ハエ叩きアタック!」


[きぃん!]


「よし弾けた!くらえ!ハエ叩か」


[きぃん!ぶすっ!]


ぎゃあああぁっ!せ、背中いてぇ!くぅ、まさか挟み撃ちでの攻撃だったか?


〔落ちてる石に当たって跳ね返ったんだよ〕


「ふふふ、最初に使ったレーザーピンポイント。これはあなたへの攻撃を当てるための技ですの。私にはあなたへどのように攻撃すればいいかが丸わかりですわ!」


「ああ、さっきからたまに見える薄い線か」


あんまり気にならなかったが確かに見えてたな。目が疲れてたとかじゃなかったのか。なら、線が出ないように動けばいいってことか!


「え、見えますの?あらら、言わなければよかった気がしますわ。技矢、ホットアロー!」


「あぶね!も、燃える矢か」


だが、線が見えてれば避けれるようだな!線が見えたらすぐに避ければいいわけだ!ふっふっふ、ここからが俺の熱い逆転劇の始まりってわけだ!……髪の毛が燃えてるー!あちー!


「おっほっほ、回避なども考慮したうえで線が現れますのよ!とはいえ、あちらも線が見えてるようですからね。線の消える速度が早くなってしまいましたわ。技矢、ドリルレインアロー!」


「やっと火が消えた!って、次は上から来る矢か!多いけどこれは余裕!主人公パンチを喰らえ!」


「その矢はおとり!技矢、スピードアロー!」


[かん!ぶすっ!]


お、あいつに矢が刺さったぞ。ラッキー!


「うぐ!少し外れましたわ!」


「水鉄砲に当たったのか!主人公パンチ!」


「ぐぅっ!」


よし、とりあえず一発!さっき矢の方向は線に合ってたから、多分タイミングが遅かったんだな。線が出てないタイミングだと絶対外すのか?


(運要素も考慮して線が現れてるならそうかもな)


特殊能力封じの神社といい、未知の科学力だな。科学とかあんまりわからないけど。っていうか、あれって市販品の装備なのか?あ、そういえば一つ忘れてた。


「うううぅ、仕方ありませんわ。攻略、ビクトリティロード!」


「……な、何だ?また凄い武器でも使うのか?」


「ビクトリティロードは凄いですわよ。相手に楽に勝つ方法を一つ知ることができますの」


つ、つまり俺が倒されるってことか!?あいつずるいぞ!


「ええっと、この人を倒すには褒め称えて油断させる?や、やってられませんわ!」


やればいいと思うけど。不意打ちができないんだろうか?嘘が下手とか。


〔お前を褒め称えるくらいなら、別の方法を探す方がマシってことだろ〕


「褒め称えるくらいなら普通に倒しますわよ!……あれ、線がまったくでませんわ」


「もう俺に隙はない!エクサスターショット!」


「きゃあ!いたた。ど、どうして魔法弾が?」


よしよし、やっぱり特殊能力じゃないから大丈夫だったか。エクサスターガンを持っててよかったぜ。


「ふふふ、エクサスターガンの弾は魔法弾じゃない!ええとー、多分太陽光あたりの弾だ!」


「ああ、それがエクサスターガン。弓だったら欲しかったですわ」


〔俺はエクサバーストが見たかったー〕


うるさい。こいつを倒してもしばらくここに居るんだから、充電は多いほうがいいだろ。


〔あれ、帰らないのか?〕


他の奴らが帰るまで気絶事件発生の可能性はあるからな。主人公として残るべきだろ。ついでに黄金とかただ飯とか色々とおいしいし。ふへへへ。


「く!技矢、ウェイブアローですわ!」


「そんなのハエ叩きで十分!ハエ叩きアタック!」


[きぃぃぃ、きん!]


うげ、ハエ叩きがはじかれた!しかも手が痺れるんだけど!


「ふ、隙ができましたわ!技矢、スクリューアロー!」


「う、エクサスターショット!いてぇ!」


「うぐ!ううぅ」


あ、た、倒れたか。いててて、魔法弾が使えないからちょっと面倒だったな。長期戦なら危なかったかも。


〔お前も機械の銃とか使うのか?〕


やだよー、格好悪い。ってか、最後の矢とか本当に能力なしで撃ったのか?渦巻く感じで飛んできたから相殺できなかったんだが。……あー、振動する仕掛けがあるのか。間隔は違うけどウェーブの矢もそんな感じみたいだな。ホットの矢は燃える仕掛けが付いてるっぽい。


〔かなり小型じゃん。買うなら高そうだな〕


お、そうなのか?じゃあ戦利品として全部持ち帰るとするか。破魔矢って言葉もあるくらいだから来年がいい年になるかもしれん。もし効果がなくても売れるだろうからいいことばかりだ!


〔もうすぐ年が明けそうだが間に合うのか?〕


ちょっと待て。…………よし!一応、拾えそうな分は全部拾った!破魔矢も手に入れた!あ、それとお賽銭に一セル入れてっと。これで年越しそばを食うだけだ。よーし、待ってろ来年め!

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