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変な星でツッコミ生活!?  作者: 神離人
本編:変な人たちの出会い その一
2/84

一話 主人公には何かがある

@悟視点@


「あー、非常に退屈だ」


転入生が来た日の登校日から数ヶ月、休日がずっと続いていたので暇だ。


食事はちゃんとしているが、毎日ゲームしかやることがないという状況が続いていた。


「くっ、このままだと精神的に辛いな」


現在の季節は夏な訳だが、海に行く気力などまったくない。


だが、家にこもっているというのもなぁ。


「あ、やられた」


恋愛シュミレーションで主人公を殺すなよ。


「あー、このバッドエンドは既に見たな」


俺はシューティングゲームは非常に得意なのだが、恋愛シュミレーションでの成績はそこまで良くない。ハッピーエンドが二回で、バッドエンドが十数回という状況だ。


暇つぶしに普通に誰かと勝負してこようかな?


特星では怪我などは滅多にないので、戦闘は許されている。


「うーん、特星エリアのモンスター倒しは服が汚れそうだしなぁ」


誰かと組んで何かをやりたいな。


「お邪魔しまーす」


「あれ、印納さん?」


チャイムも鳴らさずに何のようだろう?


「あ、悟発見!」


「何か用ですか?」


暇だから今回は話に乗ろう。


「今から帝国をぶっ潰しににいくわよー!」


「はぁ!?」






~船~


何で来てしまったんだろう。


「印納さん、手漕ぎボートで別大陸に行くのは無理だと思いますよ」


「キャプテンよ!キャプテンと呼んでね!」


「はぁ、キャプテン」


俺と印納さんは二人用ボートで海を横断中であった。


魅異も誘いに行ったのだが、勇者社の面白い製品開発をするからと断っていた。


魅異が参加しないということは、魅異的に面白いことが発生するということだ。


「というか、食料は?」


「特星だから無くても大丈夫よ」


確かに特星だから死なないが、腹が減る事はあるので大丈夫ではない。


「あと、トイレは?」


「何も食べないから必要なし!」


…今すぐにでも泳いで帰りたくなってきた。


「だいじょうぶだって!特星にも海賊は居るんだから、そいつら叩き落して船を奪えば良いのよ!」


海賊から船を奪うことを前提で旅する人は初めて見た!


「でも、そう簡単に海賊が現れるとは思えませんが」


「そこの小船は止まりなさい!私は海賊ですよぉっ!」


うわぁ、出ちゃったよ。


海賊船に乗っているのは長髪の男だった。


「流石よフラグ主人公!」


あ、俺の発言が原因だったのか!


「そこの海賊!船を私に渡して海に飛び込みなさい!拒否した場合は痛めつけてから叩き落すわ!」


うわー、印納さんが凄く楽しそうだ。


というか、どっちにしても海賊は海に落ちるのか。


「いやいや、貴方達こそ私に船を渡さないと、私の実力で沈むことになりますよぉっ!」


相手は海賊なのに一人のようだ。


「とりあえず、名前だけは聞いてあげるわ」


「私の名前はベータ サイドショットですよぉっ!」


それを聞いて印納さんは何かを考え始める。


相手の名前に聞き覚えでもあるのか?


「ねぇ、下手男べたお雑魚ざこべいのどっちがいいと思う?」


急に話を振られても分かるかっ!


「えー、雑魚米の方が良いと思いますが、最後は伸ばして雑魚ベーってのはどうですか?」


いろいろ面倒なので、適当に答えておく。


「良い案ね!なら、覚悟しなさい雑魚ベー!」


「だっ、誰がそんな名前を認めますか!こうなったら、貴方たちを倒すしか道はなさそうですねぇ」


他に何か思いつかないのか?


「覚悟してください!必殺、ジャンピングキックですよぉっ!」


回転キックで突っ込んでくるが、勝手に外れて海に突っ込む。


「さて、船をゲットよ!」


あの海賊は船を取られるために出てきたのだろう。


とりあえず、海賊船に乗り移る。


「よいしょっと」


印納さんは簡単に乗り込んだが、俺は海賊船に乗るのに苦労する。


「あれ、この程度も飛び乗れないの?」


「小船から海賊船までの高さはかなりあるから無理です」


この人は普通よりは身体能力が高いからなぁ。


「そうはさせませんよぉっ!」


急に雑魚ベーが海から飛び出て、海賊船より高い位置までジャンプする。


「こうなったら、相殺覚悟です!必殺、ジャンピングキックですよぉっ!」


雑魚ベーは再び回転キックでこっちへ来るが、一歩横にどいて回避する。


キックの威力は高いらしく、船には大穴が空いている。


「あー、小船に戻るわ」


「え?何で?」


印納さんが船に戻るので、俺もついていく。


「いったいどうしたんですか?って、うおっ!」


なんと、海賊船が沈んでいる!


あー、雑魚ベーのキックで穴が空いたからか。


「しょうがないなぁ、次の海賊を探すわよ」


印納さんは沈む船に巻き込まれる雑魚ベーのことは気にもせず、次の目標の海賊を探している。


「印納さんに慈悲の心は無いんですか?」


「キャプテンよ!キャプテンと呼んでね!」


「…はい」


慈悲どころか同情の心も無いのだろう。






~夢積み帝国~


あの後は高速豪華客船を見つけた印納さんは、船長に船を賭けた勝負を挑んだ挙句、勝利して船から客を叩き落し、帝国まで乗り込んだのだった。


船長も腕に自信はあったのだろうが、高等槍術部の部員には勝てなかったようだ。というか、客が乗ってるのに勝負を受けるなよ。


「いやぁ、トイレありの船を奪えて良かったわ」


「やっぱりトイレは必要だったんじゃないですか。というか、キャプテンは他の人を落として罪悪感はないんですか?」


「あ、船に乗ってない間は名前で呼んでね!ちなみに悪いのはあの船の船長なんだから、罪悪感どころか優越感を感じてるよ」


この人の性格はどうにかならないのだろうか?


「で、帝国を乗っ取ったら此処に住む気ですか?」


「あー、今回は様子見と力試しが目的だから、此処の国を奪った後は一度帰るの」


でも、奪ってから帰るのか。


というか、これって問題にならないよな?


うん、船の件だって正式に勝負してもらったわけだし、帝国だって問題ないよな。


「というわけで、今日から私が此処を治めるから皆によろしく言っといてね」


「うん!皆に伝えてくる!」


…って!


「さっきの少女に何を言った!?」


「え、私がこの国で一番偉いって言ったの」


なんでそれを言っちゃうんだよ!


「敵の部下に反逆罪的なので連れてかれるだろ!」


「おい、貴様たちが反逆者だな。今から城まで来てもらう」


ぎゃあああっ!


展開が速すぎるだろ!


「フラグ主人公の力も凄いと思えてきたわよ!」


げっ、また俺が原因だったか!






~夢積みの城~


「あら、この二人が反逆者?」


「そうでございます!」


この城の主は女王のようだ。


印納さんは例の如く何かを考えている。


「さて、まずは貴方たちの意見を聞こうかしら?」


「夢崩し印納帝国ってのはどう?」


「は?」


印納さんは城の名前を考えていたようだ。


敵は急に名前を言ったことに非常に驚いている。


「でも、迫力不足だから、現世崩壊の印納帝国でも良いわね」


崩壊させてどうする!


「まぁ、名前より実際に手に入れないとね。そこの女王みたいな奴、私と勝負して私が勝ったらこの城と国をもらうというのでどう?」


「急に何を言うかと思えば狂ったことを言うわね」


まぁ、普通に思考は狂ってそうだけどな。


「まぁ、私の強さを思い知らせるためにも、その勝負は受けてやるわ!」


受けちゃ駄目だぁっ!


「ただし、条件有りよ。私と貴方が勝負して、更に私の部下と貴方の部下で勝負する。そして、貴方たち二人が勝てた場合のみ城はあげる」


俺はべつに印納さんの部下ではないんだが。


「それでいいわ!悟ー、負けたら殺すからね」


印納さんが笑顔で、殺すとか言ってるよ!


これは負けたら殺される!


「あ、悟のお相手さんも、悟に勝ったらオーバーキルよ」


「ひいいいいぃっ!」


おいおい、敵にまで脅しとか酷過ぎるだろ。というか、外で俺たちを見つけたときの威勢の良さは何処へいった?


ちなみに印納さんは実際はそこまで強くはない。ただ、商品が有りの場合は能力が補正されるのだ。


とりあえず、印納さんと女王さんは勝負を始める。


「と、とりあえず、女王様の命令なので適度に覚悟してもらおうか!」


適度にってどのくらいなんだよ。


「そらあああぁっ!」


叫びながら体当たりで突っ込んでくる相手。


能力使うとかの選択肢はないのかなぁ?


「水圧圧縮砲!」


とりあえず、水の魔法弾で攻撃しておく。


「げほぅ!こ、この俺がやられるとは!」


ベタな台詞を言っているが、体当たり一回で使うには勿体無い言葉だと思う。


「女王様からもらった武器でも勝てないなんて」


「武器?」


「これだ」


相手は右のポケットからナイフ的なのを取り出す。


なるほど、こいつの敗因は大体分かった。


「お前の敗因は、主人公の俺が相手であったこと、お前が雑魚キャラであること、そして武器の装備を忘れていたことだっ!」


「なっ!現実でそんなミスをするとは驚いた!」


本当に驚きだ。現実で装備を忘れるとかありえないだろ。


「悟ー、どうだった?」


「あ、印納さん。結果は見ての通りです」


印納さんの方はボロボロのようだが、結構強かったのだろうか。


「あー、楽勝だったみたいね」


「相手が町の人以下の強さでしたから。印納さんは?」


「見ての通りボロボロなのよー。でも、槍の装備さえ忘れてなければ、きっと楽勝だったはずだよ!」


なんというか、槍がないと能力も使えないのによく勝てたなぁ。


ってか、同じような人がもう一人居た気がする。


「さて、帰ろうか」


「え、女王を倒したのに帰るんですか?」


印納さんのことだから、帝王になって世界征服とかすると思ったんだけどな。


「まぁね。今日は様子を見に来ただけだし、国も事実上は奪えたからね。それに、今日手に入れた船を売って、手作りでお菓子の城を作るの!」


現実的な意見を言うと、蟻の大群に襲われると思う。


「というか、船を売ったとしても、そこまで高くないと思うけど」


「ふふふ、実は既にこの帝国の勇者社に販売済みよ!そして、手作りお菓子の材料費には足りるくらいの資金もある!」


おー、それはなかなか手回しが早いと思うが、大きな問題点が一つ。


「印納さん、帰りの船は?」


そう、来るときは船を奪ったのだから、その船を売っては帰れないのだ!


「ふ、私はそこまでちゃんと考えてあるの!」


おぉ、流石は印納さん。俺の心配の一つ先まで読みきっているな。


「こっちに帰りの船が用意してあるわ」


恐らく、豪華客船を高値で売って、高い船を激安で購入したのだろう。






~船~


「悟ー、私は疲れたから後は任せるよ」


で、印納さんが用意していた船とは、豪華客船を奪う前に乗っていた手漕ぎボートだった。


現在時刻は夜九時なのだが、印納さんは既に寝てしまった。


「はぁ、この人は本当に子供っぽいな」


脅し方とか実力は大人以上なのに、なにかが子供っぽい感じである。


「子供みたいなのは良い事だよ~」


「げ、魅異!」


居なくていい時に現れる奴だなぁ。


「いや、それ以前に居て欲しい時とかないよね~」


「あー、確かに」


魅異が来れば状況は混乱か悪化だからな。


というか、暇ならボートを漕ぐのを手伝え!


「あ、印納さんは家に送ったからね~」


「え?」


気づけば寝ていた筈の印納さんが消えていた。


「じゃ、私も帰るから~」


「って、俺も送れよ!」


「いやいや、悟はおまけで行っただけだからね~」


魅異は楽しそうに消えていった。


というか、普段から楽しそうな笑みを浮かべてるけどな。


「く、こうなったら、絶対にこの船で帰ってやる!」


そう誓ったのだったが、不運にも大嵐に遭遇してしまい、泳いで帰ることとなったのであった。






「退屈だ」


帝国から何とか帰って数ヶ月が経った。


あいかわらず、暇な毎日を送る主人公の俺だが、疲れるよりはマシなので我慢する。


「はぁ、外でも出かけるか」


自然とため息が出るということは、この退屈さに精神が侵蝕されているのだろう。






~瞑宰公園~


此処は瞑宰京にある広ぉ~い公園である。


特別な日でもないのに公園に学生が多いのは、絶対に校長が原因である。


「というか、皆暇なんだな」


まったく、他にやる事はないのかと言いたい。まぁ、俺もその中の一人なわけだが。


「寝るか」


眠いので、ベンチで昼寝をすることに決定。


変な夢見て夢オチにでもなればいいさ!






〔ふふふ、わが名は変態の神である悟だ〕


「うおぉっ!」


…ゆゆ、夢かぁ。


「く、変態の神になる夢とか、夢じゃなかったら自分に失望するところだった!」


さっき俺と同じ姿の奴が、俺に変なことを囁く夢を見た。


「ってか、ここはどこだ?」


空が真っ黒だが、周りの物はハッキリ見えるので夜ではないようだ。


「公園だよなぁ」


微妙に景色が違うが、ここは公園であっているようだ。


〔変態の神だ〕


うおおぉっ!また、変な声が聞こえたぁっ!


まさか、ベタに自分の心の声とかじゃないよな!?幽霊とかそんな感じの奴の呪いか何かであってくれ!


「…よし、落ち着いた」


とりあえず、手がかりを探しに行くとするか。






「よし、到着だ」


どうやら俺の住んでた場所と同じような構造らしい。ただ、人がまったく居ないが。


現在俺が居る場所は俺の部屋のような別の部屋だ。


〔神離!神離!神離魅異!〕


うわっ、また変な声が聞こえてきたよ!


ん、でも、魅異が犯人の可能性は十分にありえるな。


「確かに可能だけど、残念ながら違うんだよね~」


少々予想は出来ていたが、やっぱり現れたか。


「とりあえず、この場所は何処だ?」


「此処は悟の夢の世界だね~」


人の夢に勝手に現れるんじゃない。


「夢といっても、作り出された夢の世界に閉じ込められてるだけだよ~」


「迷惑な話だな」


閉じ込めるということは、誰かの能力の仕業か?


「さぁ、その答えは教えないけど、原因ならさっきから居るよ~」


〔なに、何処だ!?〕


「あー、納得」


さっきから思考に直接喋りかけてくるこの声だな。


俺と同じ声で喋るから、自分の心の声かと思ってしまった。


〔魅異ー!俺と付き合ってくれ!〕


「さっきから聞こえるこれは何だ?」


「それの名前は悟と同じだよ~。ただし、悟との関係性についての説明は言わないけどね~」


って、それだと俺と同一人物の可能性が!


〔もう、同じってことで良いじゃないか〕


「良いわけあるか!」


〔あ、俺とは考えるだけで会話できるから、出来る限り思考で答えてくれ〕


変態の神とか言ってたのもお前だな。


〔あぁ。お前の心の声だと思わせようとしたんだが、失敗なんて面白くないなぁ〕


ふぅ、主人公にそんなものが聞くはずないだろうが!


「とりあえず、そいつのことはボケ役って呼んでやってね~」


〔なら、俺はこいつをツッコミ役と呼べばいいんだな?〕


「そうだよ~」


「ちょっと待て!やっぱり俺のボケ役的な部分がこいつなのか!?」


もし、それが真実だとしたら、こいつを除去してもらわなくては!


「まぁ、今のところはそういうことにしておいてね~」


冗談抜きで自分に自信がなくなった。


「さて、ボケ役は早く悟を夢から戻さないと除去するよ~」


「いやいや、夢から戻しても除去するべきだ!」


〔魅異に除去されるなら本望だけどなー〕


なら、さっさと消えてくれ!






「第一、ボケ役とかの存在がなくても、俺だけで問題はないだろ。って、あれ?」


いつの間にか周りの景色が元に戻っている。


「夢オチか?」


おーい、ボケ役は居るかー?


〔……………〕


返事はないのだが、妙に気配を感じる。


「お、魅異だ」


〔え、何処だ!?〕


うわ、見事に初歩的な罠に掛かった。


〔なっ!騙したな!〕


というか、魅異の言葉だけで騙されるお前が悪い。


〔いやいや、魅異の素晴らしさは最高だ〕


言い切れるボケ役が凄いと思うが、明らかに人選を間違えているだろ。


〔ふん、俺以外の奴に魅異の良さは分からないさ〕


お前以外全員かどうかは分からんが、少なくとも俺は分からんな。


というか、そろそろ元の場所に帰れ。


〔はいはい〕


…元の場所って、以前ボケ役は何処に住んでたのだろうか?


「まぁ、気にするほどの事でもないな〕


って、気づかない間に夕方になってるし!


「腹も減ったし、そろそろ帰るか」


暇つぶしにもなったし、一応だけどボケ役にも感謝しておこう。


「ありがとうなー」


良い雰囲気の自分の姿を想像しながら、俺は家に向かうのだった。


おぉ、感謝の言葉を呟くように口にするだけで、現在の自分が良い奴みたいに思えてきた!






「退屈」


ボケ役の登場から数ヵ月が経った。


数ヶ月ごとに退屈だと言っているような気がする。


「えっと、今は冬か」


今はまだそこまで寒くないが、そのうち非常に寒くなるのだろう。


というか、季節を忘れるとはなんてことだ。


「今日は何をするかな」


ちなみに昨日は、冬なのに大型台風がこの付近に来てたので、遊び心で出歩いて帰れなくなった。


だが、今日の天気は穏やかだから、そんな危険性などないはずである。というか、昨日の台風が今日の俺に関係するなんてありえない。


「その分、楽しめる要素も少なそうだが」


まぁ、安全重視が一番だろう。


「よし、まずは魅異に会いにいくか」


〔お、良い選択だな!〕


何かが聞こえたが、気にしないでおこう。






~勇者社~


「はい」


魅異に暇だと話すと、一セルを渡された。


「そのお駄賃でお菓子でも買ってきなよ~」


「よっしゃあ、早速菓子を買いにいくぜ!…って、一セルで買えるかぁっ!」


頑張ってノリツッコミをしてみた。


「いや、本当に勇者社の一階で今日だけ一セルだよ~」


「え、そうなのか?なら、一セルだけで買いに行ってくる!…だから俺の用事はお菓子じゃないって!」


ノリツッコミ二回目。


「百セルで百個のお菓子が買えるけど」


「ちょっと本当に買ってくる!」


食料になりそうなお菓子で生活費を節約するか。






「売り切れだった」


「悟が来る前に売り切れたからね~」


なら、たった一セルのお駄賃なんかを渡すなよ。


〔その一セルを財布に入れたくせに〕


俺は一セルでも大事にする男なんだ。


「お菓子程度でそんなに落ち込むとはね~」


「原因のお前が言うな」


店まで叫んで走ったことは、今思い出しても恥ずかしいんだぞー!


「社長、報告があります」


おや、さっきの行動を後悔していたら、几骨さんが部屋に入ってきた。


「後悔するくらいなら、最初から走り回らないでください」


思考を読まれました。


「報告ってのは羽双が来たんだね~」


「はい。私はこの後に他の会社への用事があるので、部屋へ招くのも撃墜するのも社長にお任せしますね」


それだけ言うと、几骨さんは部屋を出て行った。


さて、客が来るみたいだから俺も帰るか。


「あ、悟も羽双に会っていった方がいいよ。これからは会う機会とかも結構あるだろうからね~」


「そうなのか?ところで、その羽双って人はどんな人だ?」


「おー、やっぱり覚えてないね~。羽双は私の一番弟子で、地球にある神離道場に通ってた内の一人だよ~」


ここで神離道場について説明しておこう。神離道場とは、地球にある子供専用の遊び場みたいな所である。世間では道場として扱われてたが、模擬銃とかでの射撃練習とかを俺はしていた。

ちなみに魅異の弟子は地球に何万も居るのだが、道場に入れてた人は百人にも満たなかったと思う。


「道場かどうかは微妙だがな」


「まあね~」


まぁ、俺はゲスト参加みたいなものだったのかな?


「で、現在の羽双ってどんな人なんだ?」


「和服を着た男子高校生なんだけど、その辺の人よりは少し強いかな~」


へー、結構お洒落な趣味があるんだな。


「あ、ついでに私達と同い年だよ」


「まぁ、道場に来てた人の中の一人なら、大学生以下ではあるだろうなぁ」


保育園児や赤ちゃんも居たからなぁ。


「会うなら早く行ったほうが良いんじゃないか?」


「あー、大丈夫。もう来たからね~」


「え?」


魅異が言い終わると同時に、入り口の前に和服の男が現れる。


その男の身長は俺より少し高いくらいなのだが、雰囲気が大人びている感じで大学生に見えた。


「おっと、すみません。魅異さん一人かと思ったんですが、先客の方が居たようですね」


「あ、どうも」


丁寧な言葉遣いなので丁寧に返すが、いつの間に現れたんだ?


「その人がさっき話してた羽双だよ~」


「あぁ、僕の話をしてたんですか。なら、名前は知ってるでしょうが、僕はしん そう。これでも魅異さんの弟子ですが、よろしくお願いします」


「俺は雷之 悟だ。魅異の幼馴染だけどよろしくな」


いやー、同い年とは思えない丁寧さだな。


「ちなみに僕の特殊能力は時間を操る能力です。悟さんは?」


「時間!?…俺の特殊能力は魔法弾を作れることだ」


なるほど、急に現れたのは能力のおかげか。


「それで何か用~?」


「いえ、今日は暇つぶしです。どうせ暇だったんでしょう?」


「忙しくはないね~」


俺は主人公だから忙しいけどな。


「そうだ、二人とも勝負でもしていったら~?」


「勝負ですか?」


んー、特星だから怪我はしないだろうが、実力はその辺の一般人よりちょっと強い程度らしいし、数分くらいで倒せそうだな。


「まぁ、羽双が良いなら俺はいいぞ」


「僕も暇ですので構いませんよ」


「決定だね~」


時間を操るということは普通よりも速く、攻撃が当てにくいということ。魔法弾を避けさせた直後に攻めるのが有効的だ!


「それっ」


[バキッ]


「へ?」


背後から適当な掛け声と痛そうな効果音が!


「あいたたたた、腰が痛い!主人公なのに凄く腰が痛いって!」


「砕いてはいないので安心してください。特星ですし、数分で治ると思いますよ」


いや、それよりも何で特星内で骨が折れる!?隕石の直撃でもこんなことはないはずなのに!


「お、治った」


「では、僕は昼食を食べに行きますので」


それだけ言うと羽双は消えていった。恐らく時間を止めて移動したのだろう。


「魅異ー、アイツは何者なんだ?お前以外であんな攻撃力の奴は初めてだぞ」


「特星の不老不死効果にも限度があるからね~。想定以上のダメージが起こせれば、普通に相手に怪我をさせられるんだよ~」


想定以上のダメージとの区分はどのくらいなんだか。


「それは言えないけど、羽双は星を割るならできるよ~」


「強っ!星を割るって、危険人物決定じゃないか!」


「いや、羽双は人間だからね~。そんな酸欠になる自殺行為はしないよ」


あー、確かに酸素は大事だよな。


「まぁ、息を止めてられる時間は一般人よりは少し長いけどね~」


「お前の少しは参考にならん。そういえば、羽双は一般人より少し強い程度って言ってたのに、明らかに反則的な強さだったな」


しかも、かなり手加減してたように思えたが。


「ところで昼食の時間なのに帰らないの~?」


「あー、そろそろ帰るか。今日は疲れたから外食でもするかなぁ」


しかし、昨日の台風の影響でほとんどの店が閉まっていたので、結局は自分で作って食事をすることにした。く、本当になんで冬に台風なんか起こったんだ!?

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