第7部分 上げ底①
第7部分 上げ底①
近頃、物価の上がり方が著しい。
もしかしたら「好景気なんじゃないか」と錯覚するくらいの総花的な上昇具合である。
しかし給与は上がらない。
だから消費も増えない… と普通ならなっていくところだろうが、世の贅沢嗜好は留まるところを知らぬかのように見える。
ただの庶民が、あたかも金持ちであるかのような消費行動を見せたりするわけで、例えばアンドロイドで必要充分なのに無理して精一杯の見栄張って「i-phoneしか勝たない」とか分かりもしないのに妙な理屈を捏ねては月給の手取り分ほどの新機種を見せびらかしたりする。
その割には使いこなせていなさそうな雰囲気いっぱいだが…
その当人がコンビニで弁当を買っては、カネがないとボヤくのはどう解釈したら良いのだろう。カネがなきゃ弁当作れって感じだけど、
「コンビニ弁当とサラダとPETボトル買うと軽く1000円超えちゃうんだよ。おにぎりも値上げするわ小さくなるわで、もう3個買わなきゃ無理。弁当だって最近は上げ底が酷くって…」
と嘆いているのを見ると、なんとも複雑な気分になる。かく言うサティはコンビニなどめったに寄り付きもせず、毎夕食後に自分で変わり映えのない弁当をせっせと作成するのが日課になっているし、飲料は100均の容器に粉末を水で溶いて持参するのがルーティンである。コンビニを使うのは…旅行等で朝早立ちのときか文書印刷のとき限定かな… 自分でプリンター持つよりよほどコスパはよろしいようだ。
さて… 「上げ底」とは、見た目の割に「盛り」や「量」が少ない食品に使う用語である。真上から見れば、例えば縦10cm×横10cm×熱さ3cmの容器には300立方cmのメシが盛ってあるように見えても、その実底面が不自然に盛り上がっていて実質220立方cm入りの「お上品な」お弁当に仕上がっているわけだ。無論80立法cm分のメシの原材料費は業者の丸儲けになるワケだ。
その業者代表セブンさんに言わせると
「電子レンジを使うときの加熱ムラを避けるため」
らしいが、消費者目線では、まぁ早い話、一種のサギである。
手に取ればなんとなくわかる。
しかしヒトは見掛けに騙されるのである… いとも簡単に。
商売やる人はそれを承知の上で表面側の見た目だけはこんもりと盛り付け、買う側もある程度まではやむなく許容して日本の食品ビジネスは成り立っているのだ。
前置きが長くなってしまったが、「上げ底」という作戦は女性の生存戦略と類似しているのではないだろうか。
ホモ-サピエンス(ヒト)のうち「妊娠、出産が可能な種類」の方が女性である。
女性の大多数は、とにかく「見た目」を気にするし、その優先度も高い。
おしゃれだし、服と靴と化粧にかける時間とコストを惜しまない。あげくどうせ汗を掻けば落ちてしまう化粧や消耗してゆく香水に身を飾り、高額なエステに行っては自分を磨き、その割にすぐにスイーツやアイスを補給するのだが… わざわざ伸ばしたツメを専門業者に磨かせたり画を描かせたり… ほんとうに自己満足が好きな方々であるとココロのうちの2割ほどは感心し、残りは呆れている。
え、持ち物を忘れてるって?
ああ、バックやら指輪やらは、基本プレゼントで賄うのが彼女たちの作戦だから… 理想的には、ね。
以前何かで読んだ「とある女性」の御意見に、目から色付き特大のウロコがこぼれて落ちたことがある。
「デートの食事はオトコが奢るのが当たり前でしょ。だってオンナは着る服や化粧やスキンケアにおカネ掛けてるんだから… それにデートのときは直前まで部屋でファションショーをするんだからさ、ちょっとくらい遅れたって怒らないで、ね」
知るかよ、そんなこと。
ウロコどころか、眼球が落ちることだったよ、うん。
しかしいまにして思えば、あれはホモ・サピエンス(ヒトの学名)における女性の本質と本音が見え透いた一瞬だったのだ。
つまり、ヒト女性の「普通の状態」というのは「男性にとっての上げ底状態」なのである。
説明しよう。
生物としての女性の共通点は「妊娠、出産が可能な種類」である。無論精神的または身体的な例外は除くものとする。
さていきなりで申し訳ないが、こと「メスから見た交尾の型」に関して考えてみよう。
・自由交配型:海水などの周囲の環境に卵も精子もぶちまけて、あとは運に任せる方式。オスもメスも相手を選択することはなく、言うなればそこにいるすべての個体に等しく生殖の機会があることになる。まあ知性のありそうな生物でこういうタイプのものはほぼいないのではないだろうか。例はウニ、イワシ、ニシンなど比較的小型の一次消費者に近い生態的地位で、大量の子孫を確率的に残そうとする生物が多い。
・乱交(一妻多夫)型:自由交配ほど任意ではないが、メス1に対して複数のオス精子が受精、または受精の可能性がある型。メスが特定の(数匹の)オスを選んでいる可能性があるかも知れない。例はモリアオガエル、ミツバチ、チョウチンアンコウ、タマシギ(鳥)など
他にサケやマスの仲間なんかも事実上の一妻多夫かも知れない。本来は海から遡上してきたメスに対してエスコート(というか、ずばりヤリモクだが…)のオスがメスを囲いこんで他のオスを排除しようとするものなのだ。川底を文字通り身やヒレを削って堀り進めたあとようやくメスが産卵行動に移り川底に大量の放卵をしたタイミングでオスも寄り添ってあらん限りの精子をブチマケルのである。しかしメスもオスも我が行動に夢中で隙だらけになった瞬間、なんとさっと飛び出してきた小魚まで放精しているではないか!
その正体は同じ魚種の陸封型である。例えば「サクラマス」の陸封型(孵化後海に行かなかった個体)がヤマメで、海に行かなかったから栄養不足気味のその体は降海型よりもはるかに小さい。しかし身体の小ささは「環境変異」であって、遺伝的構成から見ると両者は同一種なのである。当然受精は可能なワケで…
寄り添う姿勢から見て、卵を受精させる大部分はメスをエスコートしていたオスの精子だろう。しかし流水の中である。多少メスよりも前に出て早漏気味に放精すれば、ワンチャン受精も夢じゃないワケだ。
だからこの小魚を「スニーカー:英語で「忍び寄る人」の意味」と呼んだりするワケだ。しかし人間界に例えるならば、これはある種の強姦である。そしてこの作戦を敢行するためには欠かせない修業が必要となる。それはただひとつ、超早漏というか、それ今だと思った瞬間に射精が可能という、ある意味とんでもない難易度の芸当が必要不可欠である。まあメスの身体には指一本も触れてはいないわけだけどさ…
そう、愛撫に相当するものが他の動物にもあるのかどうか… これはもしかして人間の特性なのかもしれない。子作りでも緊張でも喧嘩の仲直りでも、いきなりセッ久スの態勢に入るボノボ(昔の「ピグミーチンパンジー」)のような例はあるが、前戯に時間をかける動物はちょっと思いつかない。もっともヒトの場合には羞恥心があって「ここではまずい」とか「はずかしい」とか「ふたりきりで落ち着いた場所で…」とか「将来の保証」などいうココロの南京錠を外すには、必然それを開錠する手続きも複雑なものになるワケだ。動物によってはときところ構わず行為に及ぶものもあれば、メスを抑えつけたり噛み付いたりと、愛撫なんて生優しさじゃない前戯も多数存在するが、まあ、メスがそれで良いっていうなら、そいつはサティの知ったことではない。肉食動物なんかだと、むしろ乱暴に噛みつかれたことが刺激になって排卵する種類もあるというから、もうなにがなんだか…
・一夫一婦型:例 ヒト…
と言いたいところだが、果たしてヒトは一夫一婦型なのだろうか?
文脈的にはここで一夫一婦型を長々と論じるべきだが、現在の論点に主役はヒトであるので、思いっきり略すことにしてしまおう。
ところで… 多くのニンゲン社会では一夫一婦型が主流に見え、それがあたりまえのようだが、それは建前であって本音ではないかと思うが、いかがだろうか。つまり…そう錯覚させられている気がするのだが、皆様はどうですか?
現代の庶民は一夫一婦制だから浮気や不倫は御法度であるが、今も昔も実力者、権力者等、つまり生活や資金力に余裕がある者のほとんどは事実上の一夫多妻型ではないか。
さあ、ニンゲンの本来の姿として実情に近いのはどちらだろうか。
みなさん、答えは一致しますよね。
現代の庶民は常識やしきたりなど民主的な教育によって一夫一婦を知らぬ間に押し付けられ、それに慣らされこれを疑わなくなっているワケだが、そういった頚城から放たれた立場になればハーレムとはいかぬまでも愛人や水商売などの性的パートナーを持ちたくなるのが通例のようだ。
しかも、若くて綺麗で可愛い娘が良い…
できるなら胸が適度に大きく、色白のもち肌で足が綺麗でスタイルが良く、愛嬌があって、褒めてくれて気遣いができる娘なら最高だ…
これが男性の100%… とまでは言えないが、ほぼ100%に近いニーズであると思う。
またこの、「胸が」というのが曲者で、おおきさや形、乳輪の色や大きさなど好みはそれぞれ個人差はあるものの、男性の「女性の胸」に関しての執着は異常としか言いようがない。無論サティだって例外ではなく、まあ遠慮なく言うなら、とても好きだ。いいさ、サティも異常の仲間だよ、うん…
なぜ好きなのか、興味と関心が深いのだろうか。
えっと、申し訳ないが、好きだから仕方がないのだ。見た瞬間に心奪われることに理屈はない。
本能にそう明記してあるから、これに理性で打ち克つことは非常に困難である。
そして「胸」は普通に服の上からみても外形の概形は見えてしまう、いや正確には想像がついてしまうから厄介なのだ。非常に困難ではあるが、和服でさえその例外ではない。その割に形とかバランスとか乳輪の具合とかのディテールには皆目見当がつかず、脱がせてみなけりゃわからないというその不可思議さと賭博性がさらにオトコを惹き付けるのである。以前だったら”有名女優さんが脱ぐ”っていうんで我遅れまいと慌てて買った週刊誌の見開きを拝見するなり、”な~んだ”、”おいおい…”、”うそだろ、詐欺だろ”という思いをされた諸氏も多いはずだ。
あ、いや、それにパットとか豊胸術とかいう難敵も存在することも忘れてはなるまい。
特に整形があたりまえと言われるハングル民族あたりは警戒に越したことはない。
本当かどうかは別として、仮に女性が男性の外性器(お珍)の大きさを重視しているものと仮定しよう。しかしその想像というか推定は困難を極めるのではないか。余程病的に大きくない限り、ズボンの上から外性器の大きさや太さ、ましてや硬さなどは想像の術がない。早い話、寝てみるか咥えてみるまではわからないワケだ。
もっとも観察力の粋を凝らして、例えば鼻の大きさとナニの大きさに関連を見出すオンナも居るし、いやいや、鼻の大きさより鼻下長つまり鼻から口までの長さが重要よ、と力説する女性も居る。
おい、おまえら、どこで何人からそのデータを集めたんだい…と問いかけたくなるものだが、こういう系の話の腰を折るのは御法度だ。
ちょっと科学的に見える学説もある。それは2007年にイギリスの心理学者ジョン・マニング博士が「2D」すなわち親指から2番目の指つまり人差し指の長さと、「4D」つまり薬指の長さの比が体内で指が形成されるころの男性ホルモン量との関連あると説いた学説である。これを「2D/4D比の2本指の法則」というのだそうだ。
この法則を流用する形で推論すると、胎内で高濃度のテストステロンなどの男性ホルモンに曝露された男性胎児は薬指が大きく育つため「2D/4D比」の値が小さくなり、それと反比例する形で男性器が大きく育っているはずだとの推論が成り立つのだそうだ… 知らんけど。
こんなの、簡単に計測が可能だ。サティは指全体は男性としてはかなり短い部類だが、左手の人差し指が66mm、薬指が77mmなので、その比は0.86となる。日本人の平均値は0.95だというから…
おい、おかしいぞ!
このデータが信用できるとしたら、サティはもっと巨根でなければなるまい。敢えて公表はしないが、別段通常と変わらない部品が平均的に付属しているだけだぞ!
やばい、酔いが回ってきた… 放送禁止用語を連発してしまいそうじゃ…
うむ、今宵はここまでじゃ。