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第14部分 進化説 ~ニンゲン誕生の軌跡と奇跡~

第14部分 進化説 ~ニンゲン誕生の軌跡と奇跡~



こうして綴ってみると、どうやらサティは泥沼にはまり込みつつある。

1つは無論「清楚な女子」についての考察である。ただこれを考えているうち、知らず知らずのうちにもう一つのテーマにはいりこみつつある気がするのだ。

それが「未来の日本についての予測」である。


「清楚な女子」は、本来の遺伝子の戦略にはなかった項目だろう。

では人類にとって、清楚とはどういう効果や意味を持つのだろうか。


そもそも人類がサルの仲間から派生したことは誰が見ても確実だが、かといってどのサルと似ているかを改めて考えると、やはりどれとは言い難い独自性を持っているように思える。よく言われるのはやはり「類人猿」であるが…


 ・ボノボ(旧称ピグミーチンパンジー)

 ・チンパンジー

 ・ゴリラ


いかがですか、どれ? 人類と最も相似しているのは…?

性行為がコミュニケーションの手段の1つになっていることから考えると、やはりボノボかな…


まあ、人類がこうした「人間に似ているが結局やはりサルの類人猿」のネオテニー(幼形成熟)であると随分以前から言われてきたし、確かに産まれたての類人猿は人類との幾つかの共通点を指摘することができる。


ちなみにネオテニーとは幼形(幼態)成熟ともいわれ、成体の身体にならないまま「性的に成熟して繁殖できるようになる」ことを指す言葉である。

かつてサティも飼育していたが、ウーパールーパーまたはアホロートルと呼ばれる両棲類の一族が居る。今でこそペットとして人気だが、かつてはメキシコ高地のごく一部の湖などに潜み、静かに生活していた生物だったらしい。


さて、通常の両生類は、幼体と成体、たとえばオタマジャクシとカエルのように、身体のシステムが異なっているのは御承知のことだろう。例外はあるが、オタマジャクシはエラ呼吸、足なし(途中から生える)、粘膜のような皮膚、長い尾で繁殖能力が無いのに対してカエルは肺呼吸、4本足、空気中でも生存可能な皮膚、尾は変態時に分解吸収され、繁殖能力を持っているのが普通だ。


そしてウーパールーパーは…というと、そう、ほぼオタマジャクシの身体のように、肺はないからエラ呼吸で4本足、粘膜のような皮膚、長い尾であるにも関わらず繁殖能力があるのだ。これは人間界に例えると、ちょっと不気味な話になってしまう。そうだなあ…哺乳のためのおっぱいは微乳ですらなくぺったんこで陰毛もつるつるの小学校2年生同士が交尾して子供まで作っちゃうのとほとんど変わらないだろな…

いや、オマセさんならできるか? いやいや、無理だな。



さらに不思議なことがある。

それはウーパールーパーに「ある処置」をすると、なんとメキシコサンショウウオに変態してしまうのである。つまりエラが消えて肺呼吸になり、皮膚を持ち、陸上でも生活できる体になってしまうのだ。ただし、逆戻りはできない、というか逆戻りした例は報告されてはいない。


ちなみに変態させる方法は2つある。

1つは脊椎動物に変態を促す「甲状腺ホルモン(チロキシンまたはサイロキシン)」を投与、または甲状腺ごとエサとして与えることだ。

もう1つは、徐々に水の量を減らしていくことだそうだ。こうして危機感を煽ると、ヤバい…と感じるのか、しぶしぶ大人になるのだという…

こいつらピーターパンか?

いやいや「アホ(阿呆)ロートル(ボケ老人)」という名前だったぞ。



こうしてみると、「変態する能力を持ちながらもわざわざ幼体のままで過ごしている」という点は、なんとも奇妙である。もしかしたら成体になって陸上で過ごすより、餌や天敵とか病気とかの影響で幼体のままでいる方が都合が良いのかもしれない。

かつて北アメリカ内陸部に棲んだネイティブアメリカン(インディアン)の某部族がそうであったように、メキシコ高地であるがゆえの「ヨウ素」などの不足なども考慮する必要があるかもしれない。甲状腺ホルモン(チロキシン)は本体がアミノ酸であるくせに、その構成要素に「ヨウ素」を含むのである。



ルイス・ボルク氏はヒトの胎児化もネオテニーの一種と考え、人類進化においてその意義を強調した「胎児化説」を唱えた。

その根拠はチンパンジーなどの胎児または幼体はまるでニンゲンのように体に対して頭が大きく、体毛が薄い部分が大きいからだという。これはつまり、未成熟なサルとして生まれたヒトは産まれ落ちたあとで教育によって成熟しヒトらしくなるということなのだろう。特に体毛については、たしかにこの説の方が、「アクア説(水棲類人猿仮説)」よりも説得力はあるように思える。アクア説もこれはこれでロマンがあって大変興味深いが、ここでは割愛しておこう。



さらに人類は幾つかの奇怪な特徴を持っている。それは

1 でかすぎる頭蓋骨と大後頭孔だいこうとうこうの位置および角度:

大後頭孔とは頭蓋骨の底部に位置する大きなあなのこと。脳と脊髄を繋ぐ延髄が通っている。

  ちなみにヒトでは直下に向くが、他の脊椎動物では類人猿でさえ後頭部側に寄って開口している。

2 骨盤と二足歩行、そして恥骨結合:

  これも直立二足歩行と深い関係がある要素だ

3 S字型の脊椎骨:

  重い上半身、特に頭部を支えるためには必須の構造

4 腕のよじれや回転運動を支える肩甲骨の構造:

  肩の関節がグルグル回るような動物は他に居るだろうか

5 ひじこしひざの関節の構造:

  骨格標本だけを見ると、怖くて走れなくなる…

6 表情筋の異常までの発達:

  目でも会話できるケースがあるよね

7 頭部がやたらに大きい胎児を産むためのオマンコ様の構造および産児時の姿勢:

  出産の際、多くの女性は仰向けに寝ていたはずだ。そしてオマンコ様は張り裂けんばかりに拡張

  し、なかには文字通り陰裂が「避ける」方もいるのだとか。すごく痛いらしい、しらんけど…

8 腋毛と恥毛、およびアポクリン腺(汗腺の1つ)の分布、そしてパイパン…orz:

  イヌなんて汗腺(エクリン腺)さえないというのに、ヒトは汗をかくためのエクリン腺のほかに

  アポクリン腺からフェロモンまで分泌しそれをチヂレ毛を介して空中に伝播させようとしている

  のだとか。嗜好として特に女子の陰毛を剃るなりレーサーで焼くなりしてチヂレ毛を邪魔扱いする

  のは、まあ心情的にはわかる。フェロモンなんてもう意味がないし、幼女っぽいのも… おっと。

9 女性のおっぱいおよび男性器のサイズ

  サティはHであるが、だからといってそればかりでこの話題を取り上げるわけではない。だって

  みなさん、他の霊長類と比較すると、この2つの部分は実に人類を人類たらしめているパーツだと

  思いませんか? この2つは後で触れていきましょう。

10 性交時の体位:

  そしてここまで上げた要因すべてを総動員すると、他の脊椎動物には真似のできないどころか類似

  するものさえないような、人類独自独創の体位ラーゲが可能になる… そうじゃないですか?

  人類以外の動物に48手と称するような複雑怪奇な体位など… TVやら様々な動物番組、そして

  ネット動画に至るまで検索したところで、キスや前戯に近いものは見つかっても交尾セックス

  そのものを体位ラーゲを変えて愉しみ、しかし本来の目的たる妊娠だけは極力回避したがるよ

  うな生物が他にいるだろうか。やや近い例がボノボには見られても、その目的は群れ内部での順位

  の確認や喧嘩のような緊張関係をすばやく緩和するような一種の「挨拶」のようなものに重点が

  あるかのように見えるではないか。



ところで、現代の科学における代表的な進化説には以下のようなものがある。ただしあくまでも学者の頭の中の演繹えんえき的な「説」であって、進化の事実とは限らないことにご注意いただきたい。


・ラマルクの用不用説:よく使う器官は発達し、使われない器官は退化する。こういった「獲得形質」が子孫に遺伝することを繰り返して新種に進化する。例…キリンの首


・ダーウィンの自然選択説:もともと生物には個体差がある。環境に適した形質を持つ個体は生存して子孫を遺し、そうでない個体は淘汰される。こういう個体差が遺伝して徐々に「自然選択」を繰り返し、新種に進化する。例…キリンの首


・アイマーらの定向進化説:もともと生物は一定の方向に進化するように作られている。例…オオツノジカの角


・ワグナーの地理的隔離説:例えば陸地に住む生物の場合、川や海によって生息域が分断されると、それぞれ別の種に分化していく 例…カタツムリ


・ロマーニズの生殖的隔離説:同じ地域に棲息していても、生殖時期(開花や発情期)の相違で生殖できなくなると、それぞれ別の種に分化してゆく


・ドフリースの突然変異説


・木村資生の中立説


・ハクスリーの総合説ダーウィニズム


このうち最も有りそうで、しかし実際には有り得ないとされているものが「ラマルクの用不用説」である。個体が頑張って得た「獲得形質」は子孫には遺伝子しない。遺伝子をそういう形で書き換えることはできないのである。例えばテニスや弓道に励むと、利き手の筋骨が著しく発達する。その個体の子供が「産まれながらに利き手が発達していれば」、獲得形質が遺伝したことになるが、実際そういう現象が生じることはない、でしょ?


その点ダーウィンの適者生存そしてその裏で密かに起きる不適者淘汰を骨子とする「自然選択説」には説得力がある。そして最新の進化説にもこの仮説はマストアイテムである。

ただ… 全く同じ遺伝子配列を持って産まれた、例えば一卵性双生児は実に良く相似しているが、しかし「合同」とは言いきれない「個体差」がある。個体差が無ければ見分けは付かないはずだが、我々はちゃんと見分けているワケだから個体差はあることになる。しかし遺伝子配列は合同なのである。


 注)合同とは言え、素人のサティが考えても差が付く要因が無いワケではない。個体差レベルでは、例えば女性のX染色体2本のうちの1本は、胚発生のある時期にドラムスティック化し、以降は有効に機能しなくなる。このX染色体の無効化は細胞ごとにランダムに起こり、ある細胞では父由来の、別の細胞では母由来のX染色体が無効化される。つまり女性の細胞は遺伝子配列こそ合同であっても、実情はX染色体についてだけは一種のキメラ(同一個体内に異種細胞が存在すること)なのである。女性の免疫力が男性に比べて優れているのはこのためだとする説もあるくらいだ。

また当然ながら卵や精子などの配偶子形成に伴って生じる減数分裂では、1つの形質に対する1対2個の対立遺伝子のどちらが選ばれるかは神のみぞ知る確率論であり、「よく似ていても事実上は無限種類の配偶子」が生じるだろう。


話を戻す。

定向進化説はちょっと意図があるのであとに回す。


地理的な隔離、および生殖的な隔離を併せて「隔離説」と称する。これは理論的には正しいし、現実的な生物の例にもマッチするので、種分化の要因として欠かせない要因の1つに間違いはない。

ただしこの世にある何百万種類の生物が分化するためにいちいち大陸移動だの川や海ができただの、開花時期などと言ってられないし、逆に明確な境界線がない海の中はどこへ行っても似たような生物で埋め尽くされなければならないはずだ。

そもそも隔離という原動力だけでは種の一段上のディレクトリである「属」や「科」の差が生じることさえ怪しくないだろうか。ましてや「目、綱、門、界、ドメイン」の差などが生じる余地を全く感じることができない。欠かせない要素の1つであることは間違いないが、せいぜいマイナーチェンジレベルの「亜種」くらいの原動力に過ぎず、フルモデルチェンジを企図する実力とポテンシャルには到底及ぶまい、うん。



その点「ドフリースの突然変異説」はめちゃめちゃ魅力的な説だ。

これはチートだ。なんせ親とは異なる性質がじゃじゃ~ん、と説明不要で突然に生じるからである。そこには偶然だけがあって必然性などは欠片かけらもない。これも現在の進化説のマストアイテムになっている。

もうこれでいいんじゃない?

突然変異が起きる。新種誕生だ。自然選択が起きる。時には隔離もおきて種が特殊化細分化されていく。

以上コンプリートで終了だ。

ところが… それだけでは素人考えであって、少し思慮を加えればそうはならないことにすぐに気付くはずだ。


理由は幾つもある。

例えば… 突然変異はいつどこで起きるか分からない。なんせ相手は「突然サドンリー」かつ「ランダム」なのである。

突然変異が子孫に遺伝していくためには「生殖細胞」または「将来生殖細胞に分化する細胞」で起きなければ意味がない。たとえば「オマンコ様の中がココアの味と香りになる」ような素晴らしい遺伝子がサティの左手の小指の細胞で生じたとしても、これが子孫に遺伝することはゼッタイにない。いや、あっても困るし… この折角の素晴らしい遺伝子だが、サティの死と共に消去され、一度も形質を発言しないまま滅亡するのは明白だ。1つの有用?な遺伝子さえもこの有り様だ。突然変異に方向性の指定は有り得ないので、都合の悪い遺伝子や、どうでも良い遺伝子が生じることだってあるだろう。むしろ有用な遺伝子が偶然生じる可能性など、天文学的に小さいに相違ない。ましてや「属」「科」「目」レベルの進化は理論上でさえも桁違いに難しい。そうだなあ、先ほどウーパールーパーの例を出したので、魚類が両棲類に進化するための条件を考えてみよう。



オタマジャクシの身体のシステムはまだほとんど魚類である。すまわちエラ呼吸、足なし、粘膜のような皮膚、長い尾を持ち、食性は雑食で、魚類ならばこれに幾種かのヒレと繁殖能力が加わる。

これに対して成体であるカエルは肺呼吸、4本足、空気中でも生存可能な皮膚、尾は変態時に分解吸収され、食性は肉食専門になり繁殖能力を持っているのが普通だ。

これを書き直してみるとこうなる。表面上の目に見える大きな変化だけでもこんなに違いがあることに

呆れてしまうが…


魚類        両棲類の成体

エラ呼吸      肺呼吸

足なし       4本足(内部には骨や筋、神経等を配置し、内骨格と接続する)

粘膜類似皮膚    空気中でも生存可能な皮膚

尾、ヒレ      細胞内消化アポトーシスで内部吸収

雑食(長い腸)   肉食(短い腸)、舌

繁殖能力      繁殖能力 + 卵を包むゼリー状の物体


改めて言い直すが、「魚類から両棲類が進化した」という一言は、少なくとも上に列挙した「都合よい遺伝的変化ばかりが、ちょうど良い加減に、しかもほぼ同時期に起きた」ということと同じ意味を持つ。

そんなわがままかつ贅沢な注文を、古生代デボン紀あたりの神様がホイホイと受け付けたとでもいうのだろうか。

サティにはとても信じられない。


なんてながながと書いてしまったが、じつはこれは「木村きむら資生もとお氏の中立説」の前振りでもある。木村氏は言うのだ、「突然変異のほとんどはむしろ中立的なものだ」と。中立とは、大勢に影響ないとか、どうでも良いという言葉に置き換えても良いだろう。つまり有用なものではなく、有害なものでもないので、種の文化(小進化)や門綱目科属レベルの大進化にはほぼ関係ないという意味でもある。


いわんや、ハクスリーの総合説ダーウィニズムに至っては、各節の矛盾を削り、良いところだけを都合良くチョイスしたようなもので、独創性の欠片もなく、むしろ誰もが思いつく内容以上でも以下でもない。


これではいつまで待っても「大進化」など起きそうにないではないか。


では、熱心なクリスチャンが主張したように、神様が作ったとでも言うのだろうか。

まさか、ね。


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