第10部分 遺伝子の皮算用②
第10部分 遺伝子の皮算用②
第3に挙げる点は、第2から必然的に派生することだ
それは胎児状態で赤ちゃんが大きく育つので、当然メスの体力的負担は大きい… だけでなく、妊娠後期から子が成人するまでの間はまともに戦ったり逃げたりできない身体と立場になってしまう。
そこでメスがオスや社会に要求するのが「妊婦、母親の保護」である。これは子孫をしっかり残したい男性や社会の利益とも合致する。そしてこういった生活保障は、ヒトという生物が社会生活を営む生物でありながらも私有財産を持ち、他にも地位や権力を社会生活の中で公に認めていることが後ろ立てになって成立している。さもなければそういったいわば個人の特権は集団の中でなし崩しにされ、簒奪されていってしまうだろう。
さて、動物で一般的な四つ足の姿勢の場合、胎児は肋骨のない腹部にぶら下がるような状態で育ち、後ろ上方の膣を通って頭から産まれてくる。このときはいったん頭さえ出してしまえば、あとは重力に従って赤ちゃんは地上に引き落とされる形になる。
ヒトの場合は直立二足歩行であるため、子宮内の胎児の重量を大きく作った骨盤で受け止めながら成長を待つのである。さらに胎児は300日弱の日数を掛け脳を大きく発達させてから産まれてくるため、せっかくの骨盤下部の恥骨結合(軟骨)を分離しないと出産はできない。また骨盤も膣も、胎児の頭の巨大化に追いついていないように見え、さらに仰向けや横臥の姿勢で産み落す方向が横方向、つまり重力方向ではないせいもあって多くの女性が他の動物に比べて難産になってしまう。二足歩行の妊婦さんが「青竹を握り潰すくらい」と表現される痛みに耐えながら立姿で出産するとか、させるとか、それはもう常軌を逸している気がする。産婆さんがサンバを踊るのは… いや間違えた、産婆さんや医者等の介助者がベビーを取り上げることが前提になって、現代の出産が成り立っているといっても良いだろう。
ただし民族や風習によっては妊婦ひとりでこの試練を越えなければならない場合もあるというのも恐ろしいが…
実際医療が未発達の頃は、出産自体または産後の肥立ちの不良で命を落とす母も多かったらしい。当然傷口からの感染症や敗血症などで、赤ちゃんとこの世への未練を遺しつつ鬼籍に入らざるをえなかった女性も数多く居たことだろう。
また出産という大事業が終わったら、息つく間もなく育児が待っているわけで、特に授乳は男性では代替できないため、生活にゆとりのある人々は「乳母」を雇っていたワケだ。乳母は時に次世代の教育係をも兼ね、春日局のように次代権力者の後見を受けて権力を握ることもあり、なかなか侮れない存在にもなっていく例が多かった。
ヒトは高度な社会生活を営む。すなわち助け合わなければお互い生きづらい社会性動物であるため、一般家庭でもある程度の教育は欠かせない。男性は基本的に力があって体力も上であり、必然的に家の外や狩猟や農業に就く方が合理的だが、逆に運動能力で劣る子供たちの保護と教育は女性が担当する必要が生じるというワケだ。
いや、逆かな。
女性は女性にしかできない仕事を遂行し、残りの任務を男性が果たした、というべきだろう。
第4は思いがけないかもしれないが… 男性から見た強制性交である。
誤解しないでいただきたいが、人間としてのサティはレイプはゼッタイしないしする気もない。ただしこれは興味がないというワケでもない。女性が嫌がることはしない、というのが主義… という理由だ。
ただし遺伝子としては、要するに妊娠、出産、種族繁栄に持っていければ良いワケで、女性の意志など一切考慮されることはない。不幸なことに、ヒトは好悪の感情を豊かに持ってしまい、好きなアノ人と交尾したい… などと遺伝子の立場から見たら全く余計なことを覚えてしまった。遺伝子としては食料確保や生活の安定に直結するなら問題ないのだが、まあそのへんは直接間接いろいろな好みがあるので大目に見ても悪くないかもしれない。
しかしレイプはそのどちらにも繋がらないだけでなく、女性の精神も身体も過去も未来でさえも破壊しかねない犯罪である。つまり女性の遺伝子から見ると憎んで余りある犯罪だが、加害者男性の遺伝子から見ると「子孫を遺すための正当な行動」と読み替えられなくもない。
しかし女性にとっては精神的にも食にも生活や保護の向上にはまったくつながらないし、むしろ状況を悪化させる方向のベクトルしか見えてこないワケで…
日本でも世界でも、実は「略奪婚」の伝統を持つ集団はある。決して弁護するワケではないが、とりあえずレイプのあとには結婚しようという意志がある。いやしかし女性の意志に沿わない点では女性にとっては一層地獄かもしれないけれどなぁ。1回限りのヤリ捨てとどっちがマシなのだろう?? それでもヤリ捨てはその段階では女性も同意、または暗黙の同意を与えてはいるので、どっちもどっちという言い方しかできないかな。
これはもう、どっちも良くない、ということで… 終わりにしとこう。
みなさんも強姦だけはやらないでくださいね、スニーカーの魚じゃないんだから。どうしても切羽詰まったら… まずそれ系のお店に飛び込むか、東ヨコで商売してる方に声を掛けてみてください。それともワンチャン、犯罪者に共感してしまうというストックホルム症候群を期待して襲ってみますか?
てか、どっちみちそんなヤツの子孫なんぞ要らんわえ!
第5は… 現代文明だ!
いったい誰がこの文明と技術の発達を予想し得ただろうか。ニンゲンが営々と作り上げてきた文明に、さらに石油石炭で維持される高度な消費文明がど~ん!と積み重なることを…
人類が派生したのは700万年前とも20万年前とも言われるが当然そんな予想は不可能だし、ましてや哺乳類が地上に発生した中生代のトリアス紀中期(約2億3000万年前)ほど前には所詮未来など確定的に読めるはずもない。
これこそが遺伝子の誤算を招いた最大の要因であろう。
現在も望む、望まぬに関わらず紛争が続く地域の方もいらっしゃるが、一応平和を前提としての話を展開してみる。
一部は「第三部分」で書いた内容と重複するが、そのへんは大目にみていただきたい。なんせ筋書きのないアレなので。
で、ここまでに挙げてきたようなそういった遺伝子の目論見というか前提は、跡形もなく崩れ去りそうな文明の爛熟期を迎えてしまっているのが現代である。
ひとことで言うなら、性行為は愉悦であり快楽でもあるが、それ以上の意味や価値が漸減している、ということだ。ああ、漸減は「ざんげん」と読んでもOKです。
これは以前の価値観である
性行為 ≒ 特定の相手と子作り ≒ 家系の存続 ≒ 子孫繁栄
という関係式が機能しなくなったことを意味している
逆に
性行為 ≒ 快楽だけの目的 ≒ 遊びの1種 ≒ 避妊や堕胎が安全にできて当然 ≒ 昔以上の不特定多数との交遊←SNSの急速な発達と利用の増加
という関係式が正当化され、常識になりつつあるということを示すワケだ。
実はこれは遺伝子にとって想定外の大事件である。つまり交尾や子育てのリスクに対する代償として付与したはずの快感が… その「快感」そのものが独り立ちして、交尾や子育てとリンクしない「妖怪」に成長したことを意味しているからだ。そしてこれはヒト属の人口増加や繁栄に翳りをもたらす、憂うべき事態でもある。
そして以前は身元も判らない不特定多数との性行為をある意味抑止してきた性病さえも、抗生物質や治療法の確立によって治癒が可能になり、逆に安心感から「性病の蔓延」を招く結果になっているのは皮肉な話である。現代の若者の大多数は知らないだろうが、以前の性病は本当に怖かったものだ。
淋病は男性では尿道が痛み膿が溢れ出すし、女性では菌が子宮に達して子宮頚管炎を引き起こし、不妊になることもあった。喉にも感染するためキスでもオーラルセッ久スでも感染する可能性は30%とも言われるほどに高い。
第4性病は鼠蹊淋巴肉芽腫とも呼ばれ、排尿痛やかゆみ、さらに放置すると男性不妊の原因になることもあるという。
軟性下疳はちょっと置いといて、クラミジアは男性に限ると5割が感染に気付かないというが、逆に5割は排尿痛やかゆみ、さらに放置すると男性不妊の原因になることもあるという。女性の場合も不感感染が7~9割と高いが、痛みが出たり下り物が増えたり不正出血や頻尿などの症状が出るという。しかし症状がないからと放置すると子宮頸管炎から子宮内膜炎、卵管炎と進展していくというなかなか恐ろしい病気である。ちなみにクラミジアは喉や直腸にも感染するというので…
キスやオーラル、アナルでも感染るってことだよね、うん。
もっともアナルなんて嫌悪感こそあれ、興味の欠片もないんだが、ヒトによっては大好きなようで… わからん。
で、極めつけが梅毒だ。いまでこそ梅だが、昔は文字通り黴菌の黴の字を当てていたし、なんか植物のウメに悪い気がするので、サティは「黴」で記述しようと思う。
黴毒は掛値なしに恐ろしい。
感染経路は性器や口の小さな傷口。摺動(ピストンすりゃ当然傷つく)など
症状がないこともあるが、放置すれば進行してゆく。母が罹れば胎内の子に垂直感染もする。
・第1期は感染後3週間程度。性器、肛門、口などにおでき、しこり、ただれなどが生じる。数週間で症状は消えるが、治ったワケではない!! ここんとこ滅茶恐怖!
・第2期は第1期の症状が消えた後の1~3か月程度。全身にブツブツと赤い発疹が生じる。これも数週間~数ヶ月で症状は消えるが、これも当然治ったワケではない!!。そしてこれが事実上の最後通告!
・潜伏梅毒は無症状のまま時が過ぎるが、脳や皮膚、内臓で静かに確実に感染が進行する。
・後期梅毒は数年~数10年経過後に、脳、心臓、血管、神経等の異常が現れる。ちなみに、薬で病原菌は殺せるが、内臓の機能は回復できない。昔は梅毒から来た脳症で気が触れてしまったり、顔に現れた症状が元で鼻がざっくり落ちたりしたものらしい。
もともとはアメリカ大陸の風土病だったが、コロンブスの新大陸発見によりヨーロッパにもたらされ、交易船を通じてアフリカ、中東、インド、蘭印(南蛮)とまたたく間に拡大し、戦国時代だった日本に僅か5年ほどで上陸したという。いやぁ男女の営みって盛んだし、こうしてみると世界なんて狭いもんですなぁ…
有名どころでは朝鮮征伐の際に歌妓に接した加藤清正が感染されたとも記録されている。
またコンドームなどがないうえに女性人口が極端に少なかった江戸時代の江戸では吉原や岡場所(私娼窟)通いが盛んにおこなわれ、そのせいか黴毒が猖獗を極め、当時のヒトの骨に感染の証拠がありありと残っているのだという。
近年の黴毒感染者の拡大も現代人の乱脈ぶりを示す証左となるだろう。
ちょっと感染者数を挙げてみようかな。2000年から2012年あたりまでは、毎年報告される感染者数は1000人程度だったが、2013年くらいから漸増が始まり、2017年に5千人程度にまで達している。次の年度から数年は、おそらくコロナ禍などが影響してやや減少するが、2021年には約1万人、そして2023年には13251人の感染が報告されている。もちろんこれは公式に確認された数であり、感染による初期症状に気付かないヤツ、気付いてもなんだかわからず治ったからダイジョブだと勝手に納得してさらに感染者を増やしてるアホ、知ってても恥ずかしいからとか何とか病院にも行かずにダンマリを決めこむヤバい輩の数は含まれていない。
この数字は単に感染者が増えていることだけでなくSNSによる出会い、軽いノリでの無防備な性行為、貧弱な性知識などの総合結果として捉える必要があるだろう。
こんなの、たまに東ヨコで補導してみたところでどうなるものでもない… 普段がずぶずぶなんだからさ。
神様が本当にいるのなら、
「また決断の機が来たかのう…」
とボヤいていることだろう。
そして近日中に、かつてのソドムやゴモラに下された鉄槌を、再び人類は目撃することになるのだ。その正体は「古代核戦争」とも表現されることがある。
サティは待っているんですがねぇ、実は…
「その日」はまだ来てくれない。




