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勇者と荷物持ち  作者: 雌黄
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運命の出会い

※ファンタジー物になります。

基本、主人公視点の一人称で展開していく予定です。

※元々原案は知り合いで自身はそれを形にしてる感じなので更新は遅い可能性大です。

低クオ文章ですが頑張ります


皆、「もしも自分が選ばれた人間なら……」なんて妄想したことが一度はあるだろう。

ましてやその選ばれた存在だった場合、きっと「伝説の英雄!」だとか「みんなを救う救世主!」なんて大層なものだろうさ。

……まさか選ばれたはいいものの、「荷物持ち」だとは思わないよな……


「おい! アクセル! ボーッと突っ立てないでさっさとこれ運ぶの手伝えよ!」


そんな怒号を飛ばされている俺は、特に名前があるのかないんだかよく分からん村に生まれて家業の農作業をしてたんだが、魔物の襲撃を受けて村は壊滅。

住人は散り散りに避難するしかなく家族と離れ離れになった者も多い。


現に俺もその部類で飛び乗った馬車に乗るがまま着いたこのルミナスというそこそこ発展している町で一人暮らしている。

村にいた時から得意だった整理整頓を買われ、どうにか冒険者ギルド内の雑用をしてどうにかその日暮らしに近い生活をしている。


冒険者になろう!なんてことも考えなくはなかったが、そもそも剣もろくに握ったことのない俺がまた魔物と出くわせば今度こそ死ぬかもしれない恐怖には勝てないし、護衛や指導を頼むような金もない。

そんな感じで途方に暮れながら一年が経つわけだが。


「まーだボケっとしてんのか! ったく、今日は王都の方から勇者様が来てうちの冒険者の中から同行者を募るんだっつうことで各冒険者のリストや書類を準備するのにてんてこまいだからお前みたいな雑用までフル動員してんだってのによぉ!」


ギルド長のオッサンからキツい言葉がまた飛んできた。

勇者、か。

いいな。

そんな凄いやつならきっと俺みたいな悩みなど簡単に自己解決してしまうのだろう。


そう思いながら粛々と雑用に勤しんでいると何やら町の門の方角から深刻そうな顔をした男が走りながら大きな声を響かせる。


「で、伝令! 伝令! 西門のレクス山からレッサードラゴンの群れが襲来してるとのこと!」


何やら大変マズそうなことが起きたらしい。

しかしレッサーと頭につくモンスターなら一番下のランクの銅級冒険者で相手できると聞いたが…?


「おいおいそれも知らないでウチで雑用してたとか笑えねえぞ…? レッサー個体といえどドラゴンだ。銅級冒険者が5人6人いてようやっと一匹相手できるってとこだな。

しかもそれが群れとくりゃあコレは一大事だな……

オイッ!今日の同行者決めの予定で集めてた冒険者連中全員、全員西門に向かわせろ!」


オッサンが一声飛ばすとドタドタと色々な人間が動き出す。

体感5分もしないだろうか?

たちまちに皆西門の方に走り去っていってしまった。


さて俺もそろそろボケっとしてる場合ではない。

さっさと奥の方へ避難をしなくては…



そう思い東の方へ向かっていたのだが…


「グルロロアァ!」


「ひっ! あ…た…たすけ……」


おいおい。

どうなってんだ? 西の方に来てるんじゃなかったのよ……?

俺の視界には腰の抜けて動けなくなった少女と、その少女に向けて涎をダラダラと垂らして姿勢の欠片も感じ取れない2メートル程のバカデカいトカゲもどき。


なるほど、姿は知らないが恐らくあれこそが件のレッサードラゴンとやらだろう。

確実に俺なんかでは太刀打ちができないであろう存在。

この場の最適解はきっと今すぐここから音もなく立ち去ることなのだろう。


だが


「うおぉ!!オラ!こっち見ろよ!そこのアホズラ!」


震える手でその場にあった石ころをドラゴンに投げつける。

手どころじゃない。

足も、顔も、声も何もかも自分の思うように動かせない。

ドラゴンは『なんだコイツは?』とでもいうかのように視線をこちらに向ける。


「テメエみてえなアホズラ俺が相手してやるよ! 

それとも、俺が怖くて何も出来ねえか!?」


意味が通じたかは分からない。

だが侮辱されたとは感じ取ったのだろう

今しがたあげていた以上の威嚇と思われる声をあげ、ドラゴンは俺に襲いかかってくる。


━━━ああ、これで俺、終わりか。


あっけないな。

そんなことを思い目を瞑り……



ボトッ


…?


やけに情けない音がした。

それの正体を知ろうと、恐る恐る目を開ける…


「やあ、駆けつけるのが遅れてすまない。

しかし君が時間を稼いでくれていて助かったよ。」


目を開けると


そこにはさっきまで俺を食おうとしていたアホズラが胴体と離れた状態でこちらを見ており…

視界を上げると、そこに映っていたのは先ほどまで視界に映っていたアホズラの真反対のような金髪碧眼の容姿端麗な女剣士だった。


「君、ボーッとしているが大丈夫かい…?」


しまった。

つい見惚れてしまった…


あわてて何か言おうとした矢先、突如俺の左手が光り妙な紋章が浮かびだした。


「ハッ?何だこれ!?」


「! そうか…君が…!」


何が何だか分からないままでいると後ろの方から聞き慣れた声が飛んでくる。


「オーイ! 無事か!? 東門の方からも少数だが来ているとの報告があって今急いで駆けつけたんだが…

んんっ!? アンタ、勇者か!?」


「ああ、問題ないよ。ところで貴方は?」


「おっと これは失礼した。ここのギルドマスターをしているクロムという。

アンタの同行者選びだが、すまねえがちっと後になる。許してくれよ。」


「あぁ、それなら問題ないよ。今しがた同行者は見つけた。」


「ん?」


「そこの彼が、私の旅の同行者さ。」



━━━━えっ?

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