表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/64

・開拓1日目 急場しのぎの分厚い家

・開拓1日目 急場しのぎの分厚い家


――――――――――――

・バラック小屋

  材料

   木材  × 30

   石材  × 20

   繊維  × 10

――――――――――――


 クラフトでバラック小屋を作り出そうにも、この付近に木材も繊維も見当たらない。

 だというのに西の空を見やれば、太陽が夕方を目前とした低い高さから俺たちを見ている。


 そうなるとクラフトで家を作るのは現実的ではない。

 夜が訪れる前に、間に合わせでもいいので雨風をしのげる場所を用意したかった。


「君、意外と力持ちだな……」

「うーうん、凄いのはノアちゃんだよー。ノアちゃんが出してくれるこれ、すっごい軽いの! 不思議!」


 ならばこうしよう。クラフトのレシピなんて最初から頼らずに、このキューブ状になった荒れ地の土を積み上げて、それを壁と屋根にしてしまえばいい。


「そういうものなのか……」

「はいっ、こっちは完成ーっ! もっと広い方がいーい?」


「広いとムダに寒いからそれ以上は止めておこう」

「あいさー!」


 ピオニーは俺のまねをしてパネルに触れて、俺が敷いた土台の上に西側の壁を建築してくれた。

 彼女の中にもインベントリとやらがあるのだろうか。当然のように俺の力を使いこなしている。


 2人で北側と西側の壁を完成させて、続いて反対側の壁も作った。南の壁だけはキューブを1つ抜いて、80cm四方の窓であり出入り口を作ると、後は屋根の設営だけだった。


「いや危ないって。屋根作っている間は外に出て」

「でもでもっ、これって凄いのです! ワクワクの凄いことなのですよ、ノアちゃん!」


「人の話を聞こうよ、外に出ていてくれ」

「お断りします! さあ、ばっちこい!」


「屋根に潰されても知らないぞ……」

「ふんすっふんすっ!」


 壁は80cmのキューブを横に6つ、縦に4つ積み重ねたものだ。

 俺は土のキューブで階段を作って壁の上によじ登り、試しに天井となる角へと荒れ地の土を配置してみる。


 すると予想通りに妙な接着力が働いた。

 確認に俺がその上に乗っても、跳ねても、まったく崩れることのない頑丈な屋根へと変わっていた。


「わー凄い凄い! ほらやっぱり大丈夫じゃないですかー!」

「そうみたいだな……今のところは」


「そんなことより早く早くっ、早く完成させるですよっ、ノアちゃん!」

「でかいくせに子供みたいにはしゃぐな……」


「ノアちゃんがちっちゃいのです」

「……そう言うと思ったよ」


 俺がキューブに変えた土は、どういうわけか面と面が強力な磁石のようにくっつくようになっているらしい。

 家の中からピオニーが催促をするので、キューブを敷き詰めて4×4の屋根を仕上げた。


 命名『急場しのぎの分厚い家』の完成だ。


■■ ■■■

■    ■

■ 家  ■

■    ■

■    ■

■■■■■■


「やったぁーっ、マイッ、スィートッ、ホームッ! ノアちゃんと私の家の完成だーっ!」

「誇れるところと言ったら、壁の厚さくらいなものだけどね」


「ふんすふんすっ、やっぱり思った通り! これは、これは素敵なのです! 夜が楽しみですねーっ、ノアちゃん!」

「ま、多少はね……」


 高さ3m20cmの屋根から降りて、俺は薄暗い家ではしゃぐピオニーを外へと引っ張り出した。


 奇妙な感覚だ……。紙みたいなのに体温があって、ちゃんと女の子みたいにやわらかくて、いい匂いがする……。だが、平面は平面だ……。


「なぁ、その姿……やっぱり落ち着かないから、最初に見せてくれた人間の姿に戻ってくれないか?」

「ははぁ~、これはノアちゃん、私の本当の姿に一目惚れしちゃいましたねー?」


「できるかできないか、どっちなんだ」

「ズバリ、それは無理なのです!」


「理由は?」

「なんか……制限時間があるみたいですねー。今日は、あれでおしまい」


「じゃあ今夜は、ドット絵女と一緒に夜を明かすのか……」


 せめてこれが人間の姿を取っていてくれたら、もう少し落ち着いて夜を過ごせるだろうに、無理か……。


「へ、変なことしちゃ、ダメですよ……?」


 何を想像したのか、ピオニーの頬の部分の四角が桃色に変わった。

 それをかわいいと思ったらきっと負けた。二次元世界に精神を飲み込まれつつある。


「いや、変なことと言われても、その姿じゃな……。ぶっちゃけ、洗濯板の方がまだグラマーだろ……」

「えーーっっ、そんなことないですよーっ?! あ……じゃ、じゃあ……触って、確かめて、みる、ですか……?」


「……いや遠慮しておく」

「そんな! 見た目はこうですけど、触ればわかるんですってばーっ!!」


「いや、ホントそういうのいいから……」

「なんでーっ、なんでーっ!?」


「なんでもクソもないっての」

「えーーーーっ!?」


 彼女の手がそうだったように、触れればやわらかいのかもしれない。

 しかしそれは更なる脳の混乱を招くものなので、ありがたくお断りしておいた。こんな平面生物をかわいいと思ったら、価値観が崩壊しかねない。


 開拓地の第一村人は、騒がしくて陽気な紙だった。


――――――――――――――――――――――

 荒野の土 ×141

    → ×0

 砂利石  ×14  /9999999

 錆鉄   ×10  /9999999

 銅鉱石  ×8   /9999999

 武具の破片      ×41 /9999

 ジャガイモ(野生種) ×19 /9999

          → ×0(移動)

 モグラ        ×4  /9999

 ??????の魂   ×1  /?

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

【倉庫・急場しのぎの分厚い家】

 ジャガイモ(野生種) ×19 /9999

――――――――――――――――――――――


【恐縮なお願い】

 もし少しでも

 「楽しい!」

 「続きはよ!」

 「マイクラやってみたい!」


 と感じて下さったのならば、画面下部より【ブックマーク】と【評価☆☆☆☆☆】を押していただけると嬉しいです。


 特にウェブ小説は初動が大切で、初期にランキングに載れるかどうかで、長期連載化や作品評価が決まってしまいます。ご支援をいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ