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・開拓6日目 世界デ、一番、イイ女!

「いいよ、いっそみんな連れてきたらいい」

「賛成っ賛成っ賛成ですっ! ノアちゃんよく言ったですよーっ!!」

「ぬぁっ、みっ、見ておったのか、ピオニーッ?!」


 ピオニーが俺たちの間に飛び込んできて、クラウジヤを助け起こした。

 感激と安堵のあまりかクラウジヤはピオニーの平面的な身体にすがり付いて、涙をほろりと流していた。


「へへへ、愛の告白が始まるかと期待してたです」

「始まる要素がないでしょ……」


「そうですかー?」

「そうだよ。仲間のために頭を下げられる立派なやつだと思ったけどね」

「て、照れる言い方をするな、バカ者……」


「なんだかいい感じ? こういうの、とっても仲良しでいい感じですねっ」

「お、おのれ……覚えてくのじゃぞ、そなたらっ! ワシは必ず、必ずこの恩を返してやるのじゃ!」

「なんなの、その逆ギレ」


 新大陸は得体の知れない怪物が跋扈(ばっこ)する超危険な土地だ。

 この土地の周囲には開拓民の影はなく、軍人の集まるグレイアークも遙か彼方だ。こんな孤立無援の土地で暮らすならば、仲間は多いにこしたことはなかった。


 問題は食糧と住宅だろう。

 特に前者はあの畑がどこまで実りを俺たちにもたらしてくれるか、今のところ未知数だ。


「やっぱりダメじゃ、どう考えてもこんなの釣り合わぬ……。これでは、そなたばかりが損をするのではないか……」

「俺もピオニーも、損得では見てないよ」

「ふんすふんすっ! それにかわいいドワーフさん、いっぱい増えたら最高ですよっ!」


「しかしそれではワシの納得がいかぬ! せめてワシだけでも、何かそなたに代償を支払わなければならないのではないか……?」

「どうどうどう……クラウちゃん、落ち着くですよ。今、牛さんみたいになってるですよー?」


 ピオニーがなだめるのを横目にツルハシを振った。

 本当だ。牛みたいに鼻息が荒くなっている。


 それとどうでもいい部分ではあるけれど、どうも俺は『貴様』扱いから『そなた』扱いに格上げされたみたいだ。……今だけかもしれないけれど。


「さてこうなると、これから遠征用の保存食を用意しないとね。それに石材もだいたい集まったし、そろそろあっちに帰ろうか」

「早速手配してくれるのか……? あの、あ、ありがとう……」


「いえいえ」

「すまぬ……他に言葉が出てこぬほど、そなたたちに感謝しておる……。ありがとう……」

「いえいえですよ、クラウちゃん」


 辛気くさいのを連れながら、俺たちは倉庫の前に戻った。



 ・



 倉庫の前までやってくると、俺はインベントリから大きな綿織物を取り出して足下にしいた。

 それから働きたそうなクラウジヤにお願いして、その長方形の生地の上に、干し肉、干し芋などの保存食一式を乗せてもらった。


 後は織物を巻けば、保存食の詰まった荷物袋の完成だ。


「ポート・ダーナで糸と針くらい買っておくべきだったね」

「針? 鉄と石炭があるのじゃ、間に合せの溶鉱炉でもあればそれくらい簡単に作れるぞ」


「え、クラウジヤって鍛冶仕事の経験があるの?」

「うむ! 何を隠そう、このブロードアクスはワシが作ったものじゃ!」

「おぉ……クラウちゃん、仕事のできる女だったですか……」


「かっこいいじゃろ?」

「カッコイイですっ、そういう女の子にピオニーは憧れるですよっ」


 昨晩インベントリに盗んだときは確かブロードアクス+3となっていた。

 鍛冶屋で買ったつるはしが+1ともなっていなかったことからして、これはかなりの腕なのかもしれない。


「ニョゴ?」

「きたか。見ろ、ノアたちが貴重な保存食を分けてくれたぞ!」


 そこに水の蒸留や道の舗装を受け持っていたドワーフがこちらにやってきた。


「ゴニョッ、ニョゴゴゴッ……!? ノア、アリガトウ……」

「だけどドワーフさん1人で本当に大丈夫ですかー?」


「オレ、マカセテ。ピオニー、心配、ウレシイ」

「それよりも聞いて驚け! ノアは仲間を何人連れてきてもいいと言っているぞ! ニョゴッ、ニョゴニョゴッ、ゴニョゴニョ!」


「ニョゴォッ!?」

「ふふふー、ビックリしてるですねー」


「ノア、アリガトウ! ノア、トテモ、アリガトウ! オネガイ、ナカマ、タノム!」


 男ドワーフは俺の手を取って、それを元気に上下に振って感謝してくれた。

 続いて彼は俺たちが手配した荷物を背負う。腰にはもう水筒が吊されていた。


「ミズ、モラウ。ナカマ、サガス。ノア、大好キ!」

「うむ、ワシもじゃ!」

「えーっえーっ、じゃあじゃあっ、ピオニーもノアちゃん大好きです!」

「いや、そこでわざわざ張り合うは必要ないでしょ……」


 男ドワーフは大きな壷にたまった蒸留水を水筒に浸して、それを腰に吊し直した。


「ノア! オマエ、イイ女! 世界デ、一番、イイ女!」

「あのさ……だからさ、俺は……。はぁ……っ、まあいいや……」


 男ドワーフは甲高い声でまくしたてて、ナカマを求めて西へと旅立っていた。

 俺は男だと何度も叫ぶのも無粋な気がして、つい否定を止めてしまったのは、やっぱり間違いだったのかもしれない……。


 彼は先々で出会った仲間に、ノアはイイ女だと言いふらすだろう……。

 まぶしさにしみる目で空を見上げれば、太陽が西に傾きつつあった。


――――――――――――――――――――――

 荒野の土   ×41  /9999999

 石材     ×107 /9999999

      → ×153

 銅鉱石    ×3   /9999999

      → ×0(倉庫前へ)

 石炭     ×14  /9999999

      → ×20

 ミミズ        ×35 /9999

 芋(野生種)     ×34 /9999

 木綿生地       ×50 /9999

          → ×49(袋の代わりに)

 ハム         ×48 /9999

 干し魚        ×50 /9999

 アクアマリン     ×3  /9999

          → ×0(自宅へ)

 ??????の魂   ×1  /?

――――――――――――――――――――――


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