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・開拓3日目 テラ・アウクストリス・クロコダイルの群れ

――――――――――――――――――――――――

 テラ・アウクストリス・クロコダイル

            ×1  /9999 new!

――――――――――――――――――――――――


「わーっ、なんだか強そうなお名前ですねー、ヒャァッ?!」

「強そうも何もワニだってのっっ!!」


 垂直の水面の向こうに、何か黒い影が映ったかと思えば、巨大ワニのアギトが飛び出した。


「ギャーーーッッ!!」

「でかいね、こいつら……」


「か、かかか、囲まれて――」


 水底から地上に戻ると、体長2m半はあろう巨大ワニに囲まれていた。

 どうりで沼に人の手が入っていないわけだ。


「そこは問題ない。強行突破だ」

「えーーーっっ?!」


「少し俺の中に入っていてくれ」

「ま、待って、それはまだ心の準備が――」


「いいから入ってて」


 インベントリを操作して、採集してしまった巨大ワニを持った。それを正面のワニに投げつけると、肉食動物の(さが)か、たちまち大喧嘩が始まった。


「あの、やさしくして下さい……。ぁ……」


 ポンとピオニーの背を叩くと、彼女は光となって俺の中に消えた。

 それから俺はサーベルを抜き、クワを肩に担いで正面突破をはかった。


 サボテンの肉を囮として投げつけて、手前の1体をサーベルで斬り伏せた。

 それから爬虫類の侮れない反射神経を十分に警戒して、大喧嘩のど真ん中を跳躍で飛び越えた。


 包囲を突破すればもう巨大ワニなんて敵ではない。


「……あ、でも。よくよく考えたら、肉は肉だよね」


 ちょっとだけその喧嘩に加わって、ワニの尻尾を切り落としてから退散した。


――――――――――――――――――――――

 テラ・アウクストリス・クロコダイル

            ×1  /9999

          → ×0

 サボテンの肉     ×1  /9999

          → ×0

 ワニの尻尾      ×0  /9999

          → ×1 new!

――――――――――――――――――――――


 今日はワニ肉のローストだ。


「はふぅぅ……ノアちゃんの中、おっかなかったです……。フナさんとナマズさんたちと相席は、ちょっとお辛かったですよ……。おまけに、そこにワニさんの尻尾が空から……」

「ちょっとしたホラーだな」


「あの沼、もうピオニーは近付きたくありません……」

「俺からすると、平気で人の中に入ったり出たりできるピオニーの方が不思議だよ」


 俺たちは遠征を終えて、自分たちの開拓地へと引き返した。

 インベントリがいっぱいになっていたし、想像していた以上に新大陸が危険だったからだ。



 ・



 戻ってかなり遅い昼食を済ませるなり、俺たちはあの池を大地に移植した。

 ミミズや芋集めで掘りまくって生まれた陥没に蓮を植えて、沼の水を流し込んで、フナとナマズを解放した。


「いいんじゃないですかっ、お花っ、お花ですよっ!」

「どこぞの金持ちの庭園でも、これだけの物はなかなか見られないかもね」


 不思議なのは、沼の水ですらキューブの形を保っていたことだろうか。

 フナもナマズも何事もなかったように泳ぎだして、ハスもまた薄桃色の花を咲かせて水面に浮いていた。


「やっぱりノアちゃんの力は素敵です! もっともっと、かわいい物、綺麗な物、いっぱい集めましょう!」

「それは悪くないね。新大陸に追放されてしまったからには、ここを本土以上の楽園にしてしまえば俺の勝ちだし」


「ついほー?」

「あー、こっちのこと」


 その次はどうにか沼の水を蒸留できないかと、しばらくの試行錯誤に入った。

 そこで考えついたのが石の升だ。ハーフサイズにした石材を組み立て升を作り、それに足をくっつけた。


 升の上部は若干の傾斜を付けてある。

 後はこの下で沼の水を焚けば、水蒸気となった綺麗な水が滴り落ちてくる。それを壷に移せば最低限の飲料水が手に入る。ただ……。


「作ってみたはいいけど、やっぱり効率が悪いね。水のために石炭をいちいち消費するのももったいない」

「こんなに凄いの作っておいて、何言ってるんですか、ノアちゃん……?」


「そうかな? 水のためにここまでするのは労力に見合わない気がする。ピオニーだって、そろそろ水浴びをしたいでしょ?」

「そうですね、今日は大変でした……。しばらく、あのワニさんが襲ってこないか、ドキドキする夜が続きそうです……」


「それはないと思うけど、どっちにしろ家の周囲に防壁が欲しいところだね」


 まだまだ問題が山積みだ。

 クラフトは増えたけれど、足りない素材も数多い。何よりも井戸を作るためには精錬された金属が必要だ。


 そうなると、明日からやることは一択だろう。


「今から石材を掘ってくるよ」

「じゃあ、私は晩ご飯のお料理ですね」


「……大丈夫?」

「へーきです。ワ、ワニさんなんて、怖くないです……」


「いやそっちじゃなくて、ワニ料理の見た目の方」

「大丈夫です。お腹に入れば、みな同じですよー」


 俺は石切場に、ピオニーは晩ご飯の準備に入って、俺たちは新たな目標のために動き出した。

 明日は街に行こう。そこで必要な物資を取りそろえて、より充実した生活を手に入れるために。


――――――――――――――――――――――

 石材   ×0   /9999999

    → ×300(採掘)

 石炭   ×0   /9999999

  → ×23(回収分) → 48(採掘)

 荒野の土 ×158 /9999999

    → ×133(池の造成に)

 沼の水  ×71  /9999999

          → ×0(池へ)

 蒸留水  ×0   /9999999

    → ×1

 繊維   ×32  /9999999

 草          ×32 /9999

 ナマズ        ×2  /9999

          → ×0(池へ)

 フナ         ×19 /9999

          → ×0(池へ)

 蓮          ×7  /9999

          → ×0(池へ)

 蓮根         ×7  /9999

 サボテンの肉     ×1  /9999

          → ×0(囮に)

 小さな壷       ×62 /9999

 ワニの尻尾      ×1  /9999

          → ×0(蛋白で美味しかった)

 ??????の魂   ×1  /?

――――――――――――――――――――――


【恐縮なお願い】

 もし少しでも

 「楽しい!」

 「続きはよ!」

 「マイクラやってみたい!」


 と感じて下さったのならば、画面下部より【ブックマーク】と【評価☆☆☆☆☆】を押していただけると嬉しいです。

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