・開拓3日目 テラ・アウクストリス・クロコダイルの群れ
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テラ・アウクストリス・クロコダイル
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「わーっ、なんだか強そうなお名前ですねー、ヒャァッ?!」
「強そうも何もワニだってのっっ!!」
垂直の水面の向こうに、何か黒い影が映ったかと思えば、巨大ワニのアギトが飛び出した。
「ギャーーーッッ!!」
「でかいね、こいつら……」
「か、かかか、囲まれて――」
水底から地上に戻ると、体長2m半はあろう巨大ワニに囲まれていた。
どうりで沼に人の手が入っていないわけだ。
「そこは問題ない。強行突破だ」
「えーーーっっ?!」
「少し俺の中に入っていてくれ」
「ま、待って、それはまだ心の準備が――」
「いいから入ってて」
インベントリを操作して、採集してしまった巨大ワニを持った。それを正面のワニに投げつけると、肉食動物の性か、たちまち大喧嘩が始まった。
「あの、やさしくして下さい……。ぁ……」
ポンとピオニーの背を叩くと、彼女は光となって俺の中に消えた。
それから俺はサーベルを抜き、クワを肩に担いで正面突破をはかった。
サボテンの肉を囮として投げつけて、手前の1体をサーベルで斬り伏せた。
それから爬虫類の侮れない反射神経を十分に警戒して、大喧嘩のど真ん中を跳躍で飛び越えた。
包囲を突破すればもう巨大ワニなんて敵ではない。
「……あ、でも。よくよく考えたら、肉は肉だよね」
ちょっとだけその喧嘩に加わって、ワニの尻尾を切り落としてから退散した。
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テラ・アウクストリス・クロコダイル
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→ ×0
サボテンの肉 ×1 /9999
→ ×0
ワニの尻尾 ×0 /9999
→ ×1 new!
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今日はワニ肉のローストだ。
「はふぅぅ……ノアちゃんの中、おっかなかったです……。フナさんとナマズさんたちと相席は、ちょっとお辛かったですよ……。おまけに、そこにワニさんの尻尾が空から……」
「ちょっとしたホラーだな」
「あの沼、もうピオニーは近付きたくありません……」
「俺からすると、平気で人の中に入ったり出たりできるピオニーの方が不思議だよ」
俺たちは遠征を終えて、自分たちの開拓地へと引き返した。
インベントリがいっぱいになっていたし、想像していた以上に新大陸が危険だったからだ。
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戻ってかなり遅い昼食を済ませるなり、俺たちはあの池を大地に移植した。
ミミズや芋集めで掘りまくって生まれた陥没に蓮を植えて、沼の水を流し込んで、フナとナマズを解放した。
「いいんじゃないですかっ、お花っ、お花ですよっ!」
「どこぞの金持ちの庭園でも、これだけの物はなかなか見られないかもね」
不思議なのは、沼の水ですらキューブの形を保っていたことだろうか。
フナもナマズも何事もなかったように泳ぎだして、ハスもまた薄桃色の花を咲かせて水面に浮いていた。
「やっぱりノアちゃんの力は素敵です! もっともっと、かわいい物、綺麗な物、いっぱい集めましょう!」
「それは悪くないね。新大陸に追放されてしまったからには、ここを本土以上の楽園にしてしまえば俺の勝ちだし」
「ついほー?」
「あー、こっちのこと」
その次はどうにか沼の水を蒸留できないかと、しばらくの試行錯誤に入った。
そこで考えついたのが石の升だ。ハーフサイズにした石材を組み立て升を作り、それに足をくっつけた。
升の上部は若干の傾斜を付けてある。
後はこの下で沼の水を焚けば、水蒸気となった綺麗な水が滴り落ちてくる。それを壷に移せば最低限の飲料水が手に入る。ただ……。
「作ってみたはいいけど、やっぱり効率が悪いね。水のために石炭をいちいち消費するのももったいない」
「こんなに凄いの作っておいて、何言ってるんですか、ノアちゃん……?」
「そうかな? 水のためにここまでするのは労力に見合わない気がする。ピオニーだって、そろそろ水浴びをしたいでしょ?」
「そうですね、今日は大変でした……。しばらく、あのワニさんが襲ってこないか、ドキドキする夜が続きそうです……」
「それはないと思うけど、どっちにしろ家の周囲に防壁が欲しいところだね」
まだまだ問題が山積みだ。
クラフトは増えたけれど、足りない素材も数多い。何よりも井戸を作るためには精錬された金属が必要だ。
そうなると、明日からやることは一択だろう。
「今から石材を掘ってくるよ」
「じゃあ、私は晩ご飯のお料理ですね」
「……大丈夫?」
「へーきです。ワ、ワニさんなんて、怖くないです……」
「いやそっちじゃなくて、ワニ料理の見た目の方」
「大丈夫です。お腹に入れば、みな同じですよー」
俺は石切場に、ピオニーは晩ご飯の準備に入って、俺たちは新たな目標のために動き出した。
明日は街に行こう。そこで必要な物資を取りそろえて、より充実した生活を手に入れるために。
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石材 ×0 /9999999
→ ×300(採掘)
石炭 ×0 /9999999
→ ×23(回収分) → 48(採掘)
荒野の土 ×158 /9999999
→ ×133(池の造成に)
沼の水 ×71 /9999999
→ ×0(池へ)
蒸留水 ×0 /9999999
→ ×1
繊維 ×32 /9999999
草 ×32 /9999
ナマズ ×2 /9999
→ ×0(池へ)
フナ ×19 /9999
→ ×0(池へ)
蓮 ×7 /9999
→ ×0(池へ)
蓮根 ×7 /9999
サボテンの肉 ×1 /9999
→ ×0(囮に)
小さな壷 ×62 /9999
ワニの尻尾 ×1 /9999
→ ×0(蛋白で美味しかった)
??????の魂 ×1 /?
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