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・開拓2日目 初めての家具、そして畑 3/3

「ノアちゃんって、女の子の手を平気で触れるタイプですよね」

「ん? そこを恥ずかしがってもしょうがないだろ」


「でもちっちゃいから、そういうところがますます、小さな男の子っぽい印象かもしれないです」

「君は失礼なやつだね。これでも辺境伯の元世継ぎだから、女性のエスコートには慣れてるんだよ」


「そんなにちっちゃいのに……?」

「ちっちゃいは余計だって言ってるでしょ……。はぁっ、着いたよ、ここに畑を配置しようと思うんだ」


 ピオニーは辺りを見回して、それから遠くなった自宅を見た。


「少し、家から遠くないですか?」

「でも近すぎると家を増築できないでしょ。まだまだあそこを大きくする予定なんだから」


「なるほど、言われてみればそうですねー。じゃ、ここに作っちゃいましょう!」

「そうしよう。……さ、配置するよ?」


「どうぞ!」


 インベントリから畑レベル1を選択した。すると取り出した自分自身が最も驚くことになった。


「で、でかっっ?!!」

「おおー……これはかなり、おっきい畑ですね、ノアちゃん! 早速配置しましょうか!」


「お、おう、冷静だな君……」


 土を16個使うので、てっきりいつものキューブで4×4サイズなのかと思っていた。

 ところが思いの外に大きい。天高く設置前の畑を掲げてみると、それは半透明に透けていて、一辺が10m前後はありそうなカカシ付きの畑だった。


「わっわっ、足下が変わりましたよっ、ノアちゃん! それにもう芽が出てます!」


 それを足下に設置してみると、ピオニーの言ったとおりになった。

 地面が柔らかに開墾された畑に変わり、みずみずしい土の匂いが薫った。


「大変です! このカカシさん、よく見るとかわいいです!」

「そう?」


 ただカカシは変なデザインだった。十字に組まれた木に粗末な服が着せられていて、顔が巨大なリンゴだった。


「もーっ、ノアちゃんはわかってないですねーっ!」

「好みは人それぞれだよ。それより外に出よう。双葉を潰さないようにね」


「え……。そう言われると、なんだか足が無性に、ガクガク震えてきたです……。つ、潰さないように、そーっと、そーっと……おととっ。おわぁーっ?!」


 ひょいとピオニーを抱えて、畑の外まで出た。


「意外と重いね、まるで人間みたいだ」

「ノアちゃん、ビックリさせないで下さい……。押し倒されるかと思ったです……」


「そんなことするわけないね」

「えーーーっっ?! 即答はないですよっ、即答はピオニーでも傷つきますよー!?」


「だってその姿じゃちょっとね。……あ、残りの畑も配置してくるよ」

「覚えているですよっ、いつか真の姿を取り戻した暁にはっ、ノアちゃんをメロメロにしてあげるですよっ!」


 まさか双葉が芽吹いた状態で現れるとは、なんてサービス精神旺盛な畑だろう。

 俺は残り2つの畑を配置していって、なんとなく3列に並ぶようにした。


 何やら真ん中の畑には支柱が立てられている。ブドウ畑か何かだろうか……。

 よく見るとどの畑も双葉の形が違っていて、それぞれにいったい何が実るやら楽しみになってくる。


「……こうなると水、なんとかして確保しないとな」

「そうですね。明日はかわいい双葉ちゃんのために、お水を探しに行きましょう」


「じゃあ決まりだね。明日は遠征だ」


 西の空を見上げると、レモン色からオレンジ色に変わっている。夜までもう少しありそうだ。


「ではご飯にしましょう! 帰りますよ、ノアちゃんは倉庫からオカズを出してきて下さいね! 私は一足先に、テラスで待ってますからね!」

「もう少し働こうかと思ってたけど、夕日を眺めながら食事をするのも悪くないね」


「いいんですよー、ノアちゃんは凄い力を持ってるんですから、もっとダラダラと生きちゃいましょう!」

「君ね……。そうやって無自覚に人を堕落させようとしないでよ……」


 俺たちはそれぞれ準備をすると、石造りの広いテラスで合流して、花崗岩のなかなか趣のあるテーブルを囲み、ときおり夕日を横目で眺めながら、焼きポテトと干しサツマイモと干し魚で慎ましくも賑やかなディナーを楽しんだ。


 飲料水もそろそろ限界だ。明日には樽ごと腐ってしまいそうなので、今夜のうちに全て飲んでしまうことにした。


「水です、水! 水さえあれば、食事も、お洗濯も、水分補給だってできますよ! 明日はがんばりましょう! ファイトですよ、ノアちゃん!」

「それでも見つからなかったら、地下水が見つかるまで地面を掘りまくるのも手だね。これからも前向きにがんばろう」


「はいっ、頼りにしてますよ、ノアちゃん!」

「こちらこそ」


 やがて本格的な夜が訪れると土の家に戻って、石炭の炎を囲んでまたピオニーと取り留めもないお喋りをした。

 どちらかが眠りに落ちるそのときまで、俺たちは会話に飽きることも、言葉が尽きることもなく、キャンプを楽しむ子供同士のように笑いあった。


「おやすみ、ピオニー」


 暗闇の中で言葉を投げかけても、返事は返ってこなかった。


――――――――――――――――――――――

 荒野の土 ×206 /9999999

    → ×174(クラフトで消費)

 黒土   ×16  /9999999 new!

    → ×0(クラフトで消費)

 石材   ×25  /9999999

 石炭   ×23  /9999999

 砂利石  ×21  /9999999

 錆鉄   ×15  /9999999

 ミミズ        ×60 /9999

          → ×0(クラフトで消費)

 小さな壷       ×62 /9999

 大きな壷       ×3  /9999

 武具の破片      ×5  /9999

 ??????の魂   ×1  /?

――――――――――――――――――――――


【恐縮なお願い】

 もし少しでも

 「楽しい!」

 「続きはよ!」

 「マイクラやってみたい!」


 と感じて下さったのならば、画面下部より【ブックマーク】と【評価☆☆☆☆☆】を押していただけると嬉しいです。

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