初心者PK集団
転移書を使わずにエリア2を解放することに決めた俺。
早速町を出て、まずは草原地帯でスラッシュとキャンセルを試してみる。
予想があっていれば、あれができるはず。
まずはスラッシュをアイコンオーダーで試しに発動してみる。
すると前方へ1mほど急接近した後、SPが減少したのと同時に剣で前方へ攻撃をした。
モンスターがいなかったためダメージはわからなかった。
よしよし、予想通りの挙動をしてくれた。
次はキャンセルだ。
星形に変形させたダークショットを発動する。
球が発射される前に、キャンセルとスラッシュを同時に発動させる。
すると、球が発射されずに、霧散し消滅しスラッシュが発動した。
ダークショット分のMPは消費されず、スラッシュの分のSPだけが減少した。
MPが消費されなかった理由は簡単だ。
ダークショットは球が発射される瞬間にMPか消費される魔法。
それをキャンセルでMPが消費される前に強制停止させたからだ。
つまり、オウレリア・アーキテクトのスキル、魔法の仕様は
技のオーダー→技が使用できるか判定→SP、MPが消費される前の短い予備行動→実際にSP、MPを消費して発動→発動後の硬直時間
という流れになっている。
この予備行動中に"キャンセル"すればSPやMPは消費しなくてすみ、クールタイム中に"キャンセル"すればこの時間をスキップすることができる。
これは、俺が前やっていたゲームから引用すると、キャンセル技と呼ばれる技術だ。
ダークショットを初めて使ったときから、スキルや魔法をキャンセルできそうなスキルがあるとは?と考えていた。
まさかこんなに早く入手できるとは思ってもみなかった。
さっそくこの技を活用しよう。
スラッシュを発動してSPが消費される直前に、同じスラッシュでキャンセルを入れる。
そして、この操作を繰り返していく。
すると、走っていた時の速度よりも何倍も速くそれもSPを一切消費しないで移動することに成功した。
しかし、0.数秒毎にキャンセルとスラッシュを、アイコンオーダーとイメージオーダーそれぞれ両方で発動しないといけない。
難易度がとても高い技だ。
それとこれ多分だけど、これ周りから見たら・・・・・・凄く残念な恰好・・・・・・そう、変態的な感じに見えてしまってる。
この変な移動方法を、スライス移動と命名することにした。
このスライス移動でジャングル地帯に突入する。
移動途中に木などの障害物があった場合は、スラッシュの踏み込みを避ける方向へ移動するように、アイコンオーダーする。
オーダーするときに、最後の剣で攻撃する所までイメージしてないと不発するので注意が必要だ。
このスラッシュの踏み込みは、180度まで方向を変えられることがわかった。
残念ながら上には方向を変えられず空を飛ぶことはできなかったが。
ジャングルに入ってから障害物やモンスターを避けながら10分は移動しただろうか。
現在位置は、マップによると丁度中心付近。
中心付近だからといってぱっと見では他の場所とは変わらず木が沢山生えているだけだ。
流石にずっとオーダーし続けるのか辛くなってきた。
ので、ここからは走っていくことにしよう。
俺はこうしと、さっきからずっと移動しているが、さっきからプレイヤーの姿が全くみえない。
町の中や草原地帯、少なくともジャングルの入口付近にはかなりの人数がいたはずだが。
走るようになってからもプレイヤーを見つけていない。
さすがにおかしい、一応警戒して・・・・・・っ!!
その瞬間、左斜め上から黒色の光線が猛スピードで俺をめがけてとんできていた。
スラッシュを使って緊急回避。
回避した直後、先程自分がいた場所にレーザーが走る。
安心してる暇はない。
スラッシュのモーションが始まる前に生存でキャンセル。
ステータスをスピードに全て振り分ける。
突然攻撃してくるような奴だ。
複数人いると考えた方がよさそうだな。
発射までの時間を限りなく遅くし、周囲から集約して球を作るようなエフェクトを出す、ダークショットを使う。
こうすることで2秒間くらいは煙幕のように作用しているはずだ。
相手からは見えにくくなったはず。
素早く今いるこの場から離れ、木の影に隠れる。
ダークショットの煙幕効果が薄れる前に、不意でキャンセル。
これで恐らく今は敵に見つかっていないはずだ。
見つかっていたら攻撃されているはずだから。
「いやぁ、あれをよけられるのかよ。一発で仕留められたと思ったのになあ」
「偶然だ。あの動きからしてレアスキルの自動回避"で、あの後に使ったのは黒煙だろう。珍しく大物だ」
「自動回避!?!?開始して間もない初心者がどうやって入手するんだよ?」
会話がうっすら聞こえる・・・・・・人数は・・・・・・
「わからないが、たぶん事前予約報酬でもらったんだろう。運のいいやつめ」
「だが、ここで倒せば俺たちのものになる、まだ近くにいるはずだから見つけるぞ!」
5人か?もしくは6人いる。
厄介な連中に絡まれたな・・・・・・
オウレリア・アーキテクトは町とその付近以外の場所ではPKが可能になっている。
PKされるとスキルツリーで手にいれたスキルを除く、全てのスキルが奪われてしまう。
町以外は自由にPKしてもいいよ!
とまるで運営がそう言っているように見える仕様だ。
スキルが奪われないようにするためのアイテムも存在する。
だが、ゲームを始めたばかりの初心者は、気付かない可能性が高く、それに結構値が張る。
あいつらはそれを狙って奪おうとする初心者PK集団ってわけだ。
どおりで全くプレイヤーがいないわけだ。
もちろん俺はこのPKの仕様を知っていた。
だからこそ、スラッシュとキャンセルしか購入しなかった訳だが。
どうやら、相手はスラッシュでの緊急回避をレアスキルの自動回避と勘違いしたようだ。
レアスキルはアイテムで奪われないように保護できない。
絶対に逃がしてくれないだろうな。
しかし、これはかなりチャンスなのではないか?
イメージオーダーによるスキルや魔法の大規模改変をすると、相手を勘違いさせることができることが確認できた。
今持っているスキルはたったの6種類だが、立ち回り次第でなんとかなりそうだ。
それに相手のレアスキルをもしかしたら奪えるかもしれない。
初撃と生存を発動。
戦闘がしやすいように調整する。
そして、けん制としてダークショットを俺がいる場所から違う位置で発動させる。
こうして、初心者PK集団との戦闘が始まった。




