真っ黒いあいつ
真っ黒いあいつ、覚えていますか?
床をカサカサするあいつではないですよ。
「ここまできたら、大丈夫かなー。チェンジ。カラーレス」
「そういえば、自由自在でなんでいつも無色にしてるんだ?」
混雑している入り口付近から、少し離れた場所にきた3人。
「剣スキルは、無色が多いからねー」
そう言いながら、襲ってきていたスモールダンジョンスパイダーをスラッシュで倒すセブン。
「あー、なるほど。自由自在つてスキル名なのに、ずいぶんと不自由なスキルだな・・・・・・それ」
「ねー。でも、キャンセルとトリガーはどの色でも使える仕様だったから、助かったよー」
「ゆっきーも、最初は厳しかったんじゃない?黒って、最初全く攻撃できなかったでしょ」
「そうだな。黒の攻撃魔法は少ないし、使いにくい。一番強い黒星様ですら、軌道が曲がる始末だし」
「それで、あれにはならないでしょー。なんで連射すればいいって考えになるのー?」
「いや、まぁ、真っ先に思い付いたのが、あれだから」
特に急ぎの用でもないため、雑談しながら進んでいた。
出現するモンスターは見つけた直後に、竹田がファンタズムを、俺が黒線を使って瞬殺している。
一部の見逃しは、セブンさんに任せている。
見つけ次第、殲滅での攻略だ。
「そうそう。今みたいにトリガーで、ファンタズムとライト、キャンセルとライトの順番にオーダーする」
「なるほどねぇ、するとMPも硬直もなくなるのか。でも、ゆっきーみたいにはできねぇな」
やっぱり、竹田はキャンセル技術がうまいな。
知らなかっただけで、ライトトリガーもキャンセルできることを伝えたら、すぐ使えるようになっていた。
たまに失敗して(ライトをライトでキャンセルするのは難しい)、スキル硬直が発生してしまうこともあったけど。
それも、竹田ならすぐになくなるだろうな。
こうして俺達3人は、ワイワイしながらどんどん深い階層への潜っていった。
序盤の階層のモンスターは相手にならなかった。
そして、第15階層に到着した。
そう、あのDDDスパイダーがいる場所に俺達はきた。
「セブンさん、DDD対策で、赤頼む」
「おっけーリーダー。チェンジ。レッド」
「スリップダメ対策でカースゾーンつかったから、回復は即時回復でよろ」
「りょ」
突入から何時間か経過した。
ようやくメインの階層に入り、攻略体制になる3人。
少し進んだとき、3人を歓迎するかのように、ガタンゴトンという音が聞こえてきた。
すぐに俺は気づき、黒線をつかって幽霊トロッコを爆発させる。
あれをつかって、DDDを攻撃したときが懐かしい。
「いきなりの来客だったねー」
「・・・・・・いや、本当の来客がきたようだな。ほら」
竹田が指をさした先は、さっき俺が倒した幽霊トロッコがいたの方を向いていた。
DDDスパイダー。
その方向だけ視界が真っ黒に染まっていて、なにも見えなくなっていた。
「光剣召喚!!俺が、盾やるから二人は攻撃お願い!」
「「了解」」
そう言い、各々がやるべきことを始める。
相手も俺達のことを認識したらしく、闇が急に迫ってきていた。
「ホーリーフィールド!」
3人を覆うように、半透明の白い結界が半球状に広がっていく。
ガンッ!!という大きな音が響いて、闇がそこで止まる。
それを見て、俺は最初にダメ元でデッドリーラブを試してみる。
ボスモンスターで無ければ確率で即死効果を与える魔法だが、黒色無効のDDDスパイダーには意味がなかった。
すぐに別の攻撃に移行する。
セブンさんが剣で攻撃していたので、その間を縫うようにしてマジックバレットで、遠くから援護射撃をする。
マジックバレットは無色の魔法なので、色相性関係なくダメージが与えられる。
ただし、使う度にバーン!!という盛大な音が出てうるさい。
「竹田!結界が壊れかかっているから張り直して!」
「おっけ、ホーリーフィールド!」
奴によってヒビが入っていた結界を張り直し元通りにする。
「ゆーさん、他の敵をたのめるー?」
「ああ」
敵を呼び寄せる効果でもあるのか、DDDスパイダーとの戦闘が始まってから続々とモンスター達が集まってきていた。
この中にDDDスパイダーは混ざっていなかったのは救いだろうか。
セブンに言われた通り、周囲の敵の数を減らしていく。
数が多いので、多少はずしても良いからと黒星様を連射して一掃する。
「すまん!もうホーリーフィールドがもたない!使いきって、暫く使えない!」
こうして、暫く膠着状態が続いていたが、ホーリーフィールドの結界が破れてしまう。
「リーダー、光剣でのガードに切り替えて!」
「わかってる!!」
半透明の半球が消えたと同時に、セブンの前に竹田が出る。
何本にも増えた剣を1枚の盾のように動かし、攻撃を防いでいく。
ということは、あいつあそこにいるのか?
先程までは、結界で防御していたので何処にいるのか分からなかった。
そのため、俺もセブンさんも当てずっぽうで攻撃するしかなかったのだが・・・・・・
今は、盾代わりの剣で竹田がガードしてくれているので、その位置に確実にいるのがわかる。
チャンスと思い、俺はスライス移動で一気に距離をつめる。
そして、使い捨てても問題ないロングソードを装備する。
「っ!!バーサク!」
俺が何をしたいのか、セブンさんは理解してくれたようだ。
しばらく剣スキルしか使えなくなるが、攻撃力が大幅に上昇するバーサクを俺に使ってくれた。
「さんきゅー、セブン!ファイナルアタック!!」
そう言って、あいつに与えられる最大火力の技を出す。
剣1本を犠牲にして攻撃するスキル、ファイナルアタック。
それを、光剣の盾の向こうにいるだろうDDDスパイダ目掛けて振り下ろす!
強烈な破壊音と共に、握っていたロングソードが粉々に砕け散る。
それとほぼ同時に、視界を埋め尽くしていた闇が晴れていく。
そして、もとの坑道の光景が見えるようになった。
「た、たおせた・・・・・・」
「ほんと、キツすぎる来客だったよな。俺のホーリーフィールドを全部壊しやがったし」
「しっかり対策しないとねー。あいつ雑魚敵だからどんどんくるよー」
こうして、過去の俺を苦しめたDDDスパイダーを被害なしで討伐に成功したのだった。




