プロローグ
陽です。結構思い付きで書いたのもあるので矛盾点やおかしいぞなんて言うところもあるかもですが、そこは経験を積んで直していけたらなと思います。
プロローグ
俺、佐田 悠馬は一体なにをしたいんだろうか。ふと、そう思った。
朝起きて 歯を磨いて 用意した朝食を食べて テレビを見てマスメディアに悪態をついて 学校へ行く。今は一人暮らし、親は死んだ。
今日は顔を洗いたくない気分だった。なんで?と言われればなんとなくとしか言いようがない。
靴をはいて部屋の扉に「行ってきます」と吐く。返事が返ってこないのはわかってた。さあ、今日も始まるぞ頑張れよ、なんて心の中でいってみる。
外では昔のように車にタイヤは無く、携帯端末は浮遊ディスプレイと姿を変えゲームや子供の遊びも進化した。あの石ころのせいで。
そんな碌でもないおもいにふけっていると後ろから、、、
「よっおはよう」
「ああ、おはよう」
軽快なステップで挨拶をしてきたのは飯島 弘人元気で愉快な友達だ。
彼が少し心配そうな顔をして言った
「今日も不機嫌だな、結晶のせいか?」
言葉には込められた力は少ない
「そうかもね。」
結晶というのは自在無限力変換結晶、遠藤さんが発見したから遠藤結晶またはEクリスタルと呼ばれている。緑色で淡く光るのが特徴だ。現代ではエネルギーの役70%をこの石ころに依存している。
弘人は持っているデバイスを手のひらでくるくると回しながら言った
「まったく本当に凄いなこれは。昔は車体の中を爆破して走ってたんだろ?浮いて走ってるいまじゃ考えられないな」
なんだそれ、聞いたことないぞ。
悠馬は困惑しつつも少し呆れている
「たしかに、技術は進化したし生活は便利になった。けれど人間力が落ちた」
「いっつも思うけどその人間力ってのはなんだ?」
「人間力っていうのは明日を生き抜く渇望のことだ。」
「あっそ、興味ないわ」
聞いておいてそれか。
足を進めていく。周りも歩いたり乗り物に乗りながら自分の目的地に向かっている。自分には学校という目的地はあるが最終はそこじゃない、自分には目的地はまだない。そう考え少し悲観的になっていた。
そうこう、しているうちに学校についた。俺の通っている学校は国立アスフィート学園。弘人は別の学校なので途中で別れた
日々激しくなっていく各国のクリスタル争奪戦に対応するために次世代の人間、つまりは駒をつくるために建てられた学校だ。一般科に所属している。この学校は才能 素質 経験どれかがそろっていれば入学の年齢は一切問われない変わった学校だ。なので辺りには8歳位の子供から60代近くの大人までもがいる。
ここを卒業すればエリートのキャリアが得れる。なので、それ目的で入学する人も少なくない。授業は他の学校と違い結晶関連のことや結晶の力を利用して能力を駆使するユーザーと呼ばれる人間を訓練する。
本来は、だけれど。俺が受ける授業はザックリいうと「君ならどうする?」という問いをひたすら考えて自分の答えを提出して感想をもらう。ただそれだけ。とても変わっている、だからこの教室の生徒は俺一人。おかしい、絶対おかしい、とても怪しい。
そう考えてる内に教室についた
教室ではブロンドの髪の女性が座っていた。女性は悠馬に話しかけた
「おはよう、今日も同じ時間だね。こだわりかな?」
この人はレイル・ハンナ先生 外国の先生だ。酒臭い。きっと昨日も飲んだのだろう。そんなことはいつも通りだと気にせず、悠馬は平然とした。
「偶然ですよ。遅刻がないだけマシじゃないですか。」
特にこだわりなんてない、ただいつも通りにしているだけ。
そう思っているとチャイムが鳴って授業の開始が告げられた
「まあそうよね。さて、今日も始めよっか。思考の授業だよ」
悠馬は少し気だるげだ
「また、ですか?飽きました。」
悠馬がそう言うとレイルは人差し指をあごに添えてあざとらしい仕草をした。
「そう?私は結構好きなんだけどなー。」
しるかボケ聞いてない。
こうして、不満はあるがいつも通りの授業が始まった。紙が配られる
今回の内容
あなたはスパイだ。与えられた任務は敵国の軍事研究施設に潜入し最新の研究データを自国に送信した後それを悟られないように撤退しなければならない。条件は以下の通りである
・訓練は没入型拡張現実世界で行う
・殺害は見つかることがなければ許可
・各所に得点のボーナスを配置している
・制限時間は2時間
・基準点を上回れば先生がご褒美あげちゃいます
は?ご褒美ってなに?え、今まであったか?いや無かった。拡張現実を使うのはいつも通り、だけれど今回俺はスパイだ。殺害の許可も初めて。今までの思考、俺はスーパーの店員だったり工場で働く人やサラリーマンなど、いたって平和的な職業だった。だけど今回は「君はどうする?」の問いが「君は達成する?」に変わっている。
「ご褒美って何ですか?」
「ひみつ」
「内容が過激じゃないですか?」
「飽きてたんじゃないの?」
「それはそうですけど、、、」
俺が質問の返答に言い淀むといつもと違う真剣な顔で迫ってきた。近い、あと酒臭い。悠馬がふぅんと鼻でため息をだそうとするとレイルは真剣な眼差しを悠馬に向けた
「無理は、しないでね」
今、何て言った?
「はい。」
レイル先生が俺を心配した?一体この訓練に何をもとめているんだ?増々分からない。今日はいつもと違い少し怖い。正体不明なものからくる危機感ってやつだ。でも、それは少しほんと少しだけ。俺はそれ以上に興奮していた。ご褒美が欲しいわけじゃない、違うぞ!違うから!純粋にこのアブノーマルな状況にドキドキしているからだ。
悠馬が突然のことに混乱しているとコクッとレイルは顔を横に倒した。
「いってらっしゃい」
「行ってきます」
久しぶりにいってらっしゃいと言われたし、行ってきますって人に言った。人間力が上がった気がする。さて、始めようか。いつも通りこの新幹線の頭みたいな箱に入って寝る。あとは拡張現実に入るのを待つだけ。眠くなってきた
目が覚めるとそこは山奥、少し向こうにいったところには大きい施設がある。どうやらあそこに潜入するらしい。ん?ポケットになんかある、紙だ。
「所持している持ち物や装備?」
悠馬は戸惑いつつもポケットに入っていた紙をそっと開けた。
持ち物や装備
鞄
暗めの色をした一般的な服
双眼鏡
結晶圧縮式のハンドガン
ヒートナイフ
コイン5枚
持ち物説明
鞄
邪魔をしない程度 最低限のものが入る鞄。防水性だ。
服
一般的なものだ、シンプルで暗めの色をしている。
双眼鏡
最大十倍の双眼鏡だ手にピタリとフィットするように作られている。
結晶圧縮式のハンドガン
マガジンに結晶の圧縮体が使用されているので弾丸が必要ではない代わりにエネルギーの充填が必要だ。だが、そうそう無くなることはない。扱いは一般的なものと変わりはなく音が少ない。
ヒートナイフ
結晶による分子加速反応を応用して作られたナイフ。切るのではなく焼き切ることを目的としている。
コイン
ただのコイン。このあたりの地域で使われている通貨だ
「は?」
としか言いようがない。銃は持ったことがないのであたらない。なので使えるのは実質ナイフと双眼鏡とただのコイン。でも、俺に与えられているる時間は短い、急ごう。
悠馬は施設へ向けて走った
悠馬は施設の付近まで来た。双眼鏡で見張りの数を確認する。灰色の壁が大きな威圧感を放ち、いかにも軍事施設ですといったところだ。警備は厳しく外の兵士もピリピリしている。
走ってここまで来たので少し息は荒い。腕で悠馬は額の汗を拭った。
「警備がおもった以上に厳しいな」
ゲート付近には自動小銃を持った兵士が3人さらに建物の屋上には狙撃手が2人。たった数メートル幅の小さなゲートに兵士が5人と素人目から見ても多い、重要なものがあるのは確実だった。しばらく観察していると近くから物音がした。悠馬はすぐさま木の上に上った。
「あー終わった終わったやっと交代だよ。」
独り言をつぶやく兵士がやってきた。どうやら、巡回から戻ってきたようだ。流石にご都合主義な展開で悠馬は心のなかで「まじか」と言った。ちょうど悠馬は木の上にいるのでバレていないようだ。ちょうどいい、服を拝借して潜入しよう。悠馬は上からナイフの柄で兵士の首元に全力で叩き付け気絶させた。
「よし、これで行ってもばれない、多分。」
すたすたとゲートまで悠馬は歩いた。兵士の歩き方まで覚えているわけではないのだが怪しい動きは見せないほうがいい。悠馬はできるだけ心を殺した。ゲートの前までつくと兵士が悠馬を止めた。
「止まれ」
ここは素直に応じる。だが、緊張で足の裏が汗をかいていることがわかる。ここでバレてしまえば兵士と狙撃手にねらわれてゲームオーバーだ。前の3人を仮に仕留めたとしても、それだけの時間があるなら狙撃手がその間に悠馬の頭を狙うのは容易い。
「ああ」
立ち止まる
「巡回帰りか?」
行けるか?
「ああ、今終わったばかりだ」
たのむ、余計な事はするな
「そうか、お疲れさん」
「よし、通っていいぞ」
兵士にとってはなんてことない挨拶だったのだろうが悠馬にとってはたまったものじゃない。ヒヤッとしたが通った、IDも顔認証も必要なかった。ゲートはザルだ。でも喜んでる場合じゃない。先を行こう。悠馬は足早に施設の中へと侵入した。
中は白い照明に薄い青の壁 白い廊下 白い天井といった風になっていた。廊下は広くも狭くもなくちょうどよい。突き当りを右に行くと部屋の向こうで兵士2人が話をしていた。
「なあヘック、今日の警備厳重すぎないか?俺らみたいな兵士はいつもより多いし、ユーザーも4人きてるって話らしいじゃないか」
高身長の兵士がもう一人の兵士に喋りかける片方はヘックというらしい。
「ああ、なんかお偉いさんが新しい兵器見に来るからふやしたらしいぞ。」
高身長の兵士は成程ねとうなずくと思い出したかのようにそう言えばといった
「そう言えば今日来たユーザーの奴らめっちゃ可愛くなかったか?」
にやにやしている
「ああ、わかるぜ。あのスタ、、」もう聞く必要はない。早く資料を持ち帰ろう
でもいいこと聞いた。ユーザーが4人。いいことなのか悪いことなのかはっきりしないが用心にこしたことはないな。
悠馬は今第一閲覧室に向けて移動中だ。なぜ、場所が分かるかというと廊下に見取り図が貼ってあったのですぐわかった。大分なれてきたのか先ほどのような焦りはみえなくなっていた。
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