第一章 6
6
男はいつも木を切っている場所へ向かった。
そこはモンスターも動物もあまり出ない、森の中では比較的安全な場所だった。
しかし、昼食を食べているとき、予想だにしない事が起きたんだ。
目の前にいきなり狼の群れが現れた。
男はそこから一目散に走って逃げた。
どれくらい走ったことだろうか、もう日が傾き始めていた。
(もう帰らないとな……)
男はそう思ったが、今になって致命的なミスをしていたことに気が付いた。
「帰り道が……わからない……」
男は行く当てもなく森をさまよった。
深く、暗い森をただ一人で。
しばらくして、目の前に大きな和風の建物が現れた。
男は、今日はここに泊めてもらおうと扉をたたいた。
「誰かいませんか」
すると、中から女性の声がした。
「どうかされましたか?」
出てきたのはまだ若い女性だった。
「すみません、今日泊めていただけますか?」
「ええ、もちろんですとも。お客様、シロツメ荘へようこそ。」
男はほっとした。
それから数年が経った今、まだ男は家に帰っていないんだとか。
同様のことが何回も起き、街ではシロツメ荘のことは「呪いの館」なんて呼ばれている。
「でもさ、エドワード。どうして男はまだ帰ってきていないのにシロツメ荘へ行ったなんてわかるんだよ?」
俺は一言、こう言った。
「家に手紙が送られるんだ」
そう、「家族をお借りします」ってね。




