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あなたがいれば私は。  作者: 浜辺 琴乃
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25歳、彼氏なし

 

「…い、ったあ」


  時計を見ると二本の針が同時に“12”の文字を指している。重たい身体を起こし、鏡の前に立って絶句する。


(げ、化粧落とし忘れて寝てる…)


  もう25のアラサー女子だというのにどうも気をつけていてもやらかしてしまうらしい。昨日は上司に連れられて飲み過ぎてしまった。若い頃はいくら飲んでも気にならなかったが今日の顔はひどい、パンパンだ。まるで新しい餡子の入った顔にしたばかりのようだ。


  光った携帯のランプを見て慌ててLINEを開くと専門学校の頃の友達から合コンのお誘いが来ていた。この顔で行くのもな…と思いながらも自分の歳を考えると1秒たりとも無駄にしたくないと思い二つ返事で返した。



 ***



夕夏ゆか!こっちこっち!遅いっての!」



 専門学校の時の同級生、飯田奈美恵いいだなみえは顔を合わすなら夕夏の腕を掴みお店へと歩き始めた。

 イケメンばかりなんだからね!と今までに見たことのないような気合いの入った顔をしている。逆にそんなに念を押されてしまうと気が引けてしまう。


 駅から徒歩五分ほどのお洒落な居酒屋だった。男三人と奈美恵の職場の同期の子がもう先についているらしい。遅れてしまって申し訳なかったなと思いながらその人たちの目の前に行く。そこで夕夏は驚く。



「ちょっと奈美恵!!みんなめちゃくちゃ年下じゃないの!?」

「ごめんごめん!でもほら…私達もうアラサーだよ?若い男が恋しくならない?」


 なに同意求めてんのよ!と睨みつけた。

 夕夏は年下の男の子が苦手だった。過去のある出来事が原因だ。

 大きく深いため息を吐く。気づくともう自己紹介が始まっていた。夕夏は一番端っこの先だ。ちょうど夕夏から一番離れている男の子と目があった。

 すごくかっこいい男の子だな。



今西和人いまにしかずとです。今年21歳になりました。大学生やってます」



 ーえ?

 その名前を聞いた瞬間昔の記憶がフラッシュバックしてきた。

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