モンスター
燻った火がどんどん大きくなるように
蔓延った根がどんどん侵食するように
滴る水滴がだんだん濁流になるように
それがいつか別の誰かを巻き込むまでになったなら
傍から見ている彼らには
一体何が出来るでしょう
あの火事は火の回りが早かった
あの根は建物をも食い尽くした
あの波は全てを巻き込み飲み込んだ
誰がその原因を知るでしょう
誰が根本を見ようと努力するでしょう
根を燃やそうと火をつけて
火を消そうと水は滴り
滴った水で根は成長する
そのうちあちこちに飛び火して
水の勢いは留まることを知らず
強力に伸びた根は深くしぶとく
そうなってからようやく向けられた目は
その光景だけを見て言うのです
全然そんな様子はありませんでした
あくまで気付かないふりを突き通し
見えない核を思い思いに言い合って
そのうちすっかりどうでも良くなって
また新たな火種を見付けては楽しむのです
ああどうか
どうかそうはなりませんように