新しさ
ー神道[シントウ]ー
ーそれは古来、日本から伝わる民族的な信仰。神話を基としており、開祖は居ない。しかし、国土創世譚から始まる日本の伝承が紡がれた。ー
ー信仰には神がいた。しかしー
ー時代の権力者により新たな形を成し、信仰とともに文化の一部となった。紡がれた伝承は時代によって変わることや消えるものもあった。ー
ー信仰の神は八百万の神と呼ばれ、如何なる物にも存在していると伝えられた。そして時折、人に試練を与えることもある。ー
ーそれは私たち。人間が抗うことのできない強大な存在。世界を創造から調節する神聖な存在。神の力と同じものを持ち、世界に恵みを与える場所を耕す存在がもう一つの『神』であると伝承されている。ー
私が学校に向かうと、多くの人が掲示板を見て楽しそうに笑っており、私もそんな一人になっていた。
「私は壱組」
私が見ていると、周囲からも同じように自分の組を言って確認する生徒が居た。
「えっと。俺は参組か」
「私は壱組…」
「私も壱組なんだよ。よろしくね」
「ええ」
同じクラスの人たちで自然と集まり、自己紹介を始まった。
高校の新入生は二〇〇人ほどいるようで、一クラス四〇人、伍組まで分かれているようだった。
「何でだあ!どうして肆組なんだ!」
私が周囲の光景を見ていると、急に隣で泣き崩れる女の子がいた。
「えっと。大丈夫ですか?」
女の子は私より一〇センチは低く、クリクリとした目で私の方を眺めていた。
「なんだよ。もしかして、変わってくれるのか?」
女の子は私の方を輝いた目で見て尋ねた。
「えっと。私にそんなことできませんよ」
「杏ちゃん。迷惑をかけたらだめだよ」
私が戸惑っていると、泣いている女の子を杏と呼んでいる女の子が横から現れた。
「うわ…。柚子、お前は何組なんだよ」
「壱組だよ」
杏と呼ばれていた女の子は、その場で駄々をこねて言った。
「この優等生め!」
この学校は特に決まったこともなく、ランダムにクラスが決められているため、女の子が言っていることに周囲の人は不思議そうに見ている。
「杏ちゃん。優等生だからと言って、壱組ってわけではないよ」
「ぐぬぬ…。だったらどうして試験をやるんだ!」
「杏ちゃん、この世は時の運って言うし…」
「もう知らん。先に行くぞ柚子!」
杏と呼ばれていた女の子は足取り早く体育館へ向かって行った。
「もう…杏ちゃんは揶揄い甲斐があるんだから。ごめんなさい。あの子、子どもなの許してね。また話せたら」
「はい…」
今日、会ったばかりなのに勢いで話す人に驚いてしまった。
「知っている人、少ないなあ」
周囲の人たちは会話を楽しみながら体育館へ向かっており、私だけ一人で止まることなく、入学式が始まるのを待つ。
時間が進むにつれて、他の生徒も同じように座り出し、入学式が始まる。
「一同起立。礼」
「御神木様に拝」
壇上の方を向いていましたが、左の壁の方を向いて手を合わせて一礼した。
「着席」
司会の先生が促すと参加していた全員が席に着き、入学式が始まった。
春の暖かな日、入学式の最中は動かないこともあり、眠気に襲われてしまい目を閉じると、意識がはっきりとしない時間ができていた。
「新入生挨拶。新入生代表、冬月 桃」
私はいつの間にか寝てしまっていたようで目を覚ますと、新しい服を着た女子生徒が壇上で挨拶を始める。
「…この麗らかな春の日に県立藤沢高校に入学できたことを誇らしく思い、充実した学校生活を過ごすことを誓います。新入生代表 冬月 桃」
女子生徒は淡く輝いたピンクの髪色にボブショートヘアを靡かせて壇上を降りていく。
私は再び眠くなってしまい、目を閉じた。
薄れ行く時間の中で、私の見えているものが変わっているように感じた。




