始まり
—それは古来、日本から伝わる民族的な信仰。神話を基としており、開祖は居ない。しかし、国土創世譚から始まる日本の伝承が紡がれた。―
―信仰には神がいた。しかし―
―時代の権力者により新たな形を成し、信仰とともに文化の一部となった。紡がれた伝承は時代によって変わることや消えるものもあった。―
—信仰の神は八百万の神と呼ばれ、如何なる物にも存在していると伝えられた。そして時折、人に試練を与えることもある。—
―それは私たち。人間が抗うことのできない強大な存在。世界を創造から調節する神聖な存在。神の力と同じものを持ち、世界に恵みを与える場所を耕す存在がもう一つの『神』であると伝承されている。ー
いつ頃からか。私は同じ夢を見ることがある。夢だからはっきりとは思い出せないけど、内容を忘れた頃に呼び起こすように同じ夢を見てしまう。そして、夢を見た朝は決まって悲しい気持ちになってしまう。
「また同じ夢…」
私は木花さくら。今日から高校になる一五歳です。勉強に、部活、青春に夢を膨らませる普通の女の子。私はお父さんとお母さん、妹。そして愛犬のチビ。私を含めて五人で暮らすごく普通の家族です。
お父さんはIT企業に勤めるエンジニア。お母さんは一般的な主婦の活動と近所のスーパーでパートとして勤めています。
「おはよう。お父さん。お母さん」
私はほんのり聞こえる程度の大きさで軽く朝の挨拶をしてご飯を食べる。
「おはよう。さくら」
「早く学校の準備をしなさい。学校に遅刻するわよ」
お父さんは軽く返事の挨拶。お母さんは学校の支度を私に促してくれる。
私はそのまま洗面所に向かい、顔を洗うと制服を着るため自室に戻る。慣れない手付きでセーラー服を着て、サイズと似合い具合を鏡越しで確認してリビングに向かった。
「お母さん。似合っているかな?」
私は心配になり、リビングで家事をしていたお母さんに尋ねてみると微笑みながら「かわいいわよ」って言ってくれた。
「私も行く準備をするね」
お母さんも漸く家事が終わったようで、外へ出かける準備を始める。
「私はもう学校に行ってくるね」
「ちょっと」
「大丈夫!」
今日は高校の入学式。新しい出会いが楽しみで思わずお母さんの静止を振り切って外に出た。
玄関から出ると、並木道に満開に咲いた桜の花びらが春の訪れを促しており、私も朗らかな気分で学校へ向かった。
「綺麗だなぁ…」
私の家から学校の距離はとても近く。私が向かっていると、同じ制服の子たちが歩いており、少し緊張しながら新しい生活に私も高揚感で満たされていく。足はリズムを刻み、学校へ歩みを進めた。




