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ショーグン・ブレイクダウン  作者: 43番
第二章 ウロボロスの終末事件
30/51

その9

本業多忙のため、すっかり更新が途絶えてしまっていました。申し訳ございません。不定期更新となりますが、なるべく頻度を上げてまいります。

「一体全体何がどうなっているんだ?」



 半壊した店から脱出した月鏡は直後に合流した真一文字から開口一番に告げられた。真一文字は焦って飛び出してきた為か息が上がっていたが、それよりもこの凄惨な光景に目の当たりにして身震いしているように見える。正直なところ月鏡にも今回の事態はまるで見当が付かない。少なくとも神仏無かんぶないが仕掛けたテロではないことは確かである。素人目から見てもあの時の神仏無の慌てふためき様は異様に感じたからだ。



「正直俺にもよく分かりません。ただ…神仏無たち仕業であるかといわれると、今回は違うような気がします」


「…ふむ…まだ此方としても情報が錯綜していて全容が飲み込めていない状況です。奴と接触できていたのであれば些細なことでもいい。思い出してください」



 真一文字は月鏡に詰め寄るように言葉を続ける。以前会ったときのような余裕はまるで感じられない。それだけ今回のテロ行為は大規模なものなのだろう。月鏡が答えようとすると、真一文字の方からピーピーという簡素な着信音が響いてきた。



「…申し訳ない、他の者からテロの被害に関する連絡が来ました。少し外させてもらいます」


「どうぞ、お構いなく」



 無線を受けた真一文字が月鏡の元から人気のない路地の方へと進んでいく。他人にはあまり知られたくない情報のようだ。なお幸い月鏡は大事に至らなかったが、警備用のドローンの爆破はあちこちで起きていたようで、救急車とパトカーのサイレンが引っ切り無しに鳴り響いていた。


 神仏無は確か去り際にこういった。「終わりではない。幕開けだ」と。この言葉が意味するのは何なのか。全く持って嫌な予感しかしないが、今回のテロとやはり何か繋がりがあるのだろうか。


 月鏡が考え込んでいると真一文字が再び寄ってきた。先程まで無線で誰かとやり取りをしていたらしく離れていたが、何とか一段落したようだ。とは言うものの真一文字の表情はとてつもなく硬い。決して楽観できる状況ではないのだろう。月鏡の横に座ると真一文字は深く長い溜め息をついた。



「大丈夫ですか?」


「…ああ、申し訳ない。我々の予想以上に被害は甚大のようです。下手したらこの都市部、いやこの国全体に被害は及ぶかもしれない」


「え!!?」



 月鏡は思わず大声を出した。月鏡の動揺を他所に真一文字は首を横に振る。



「一つだけ確かな情報があるとすれば今回のテロで使われたのはキングスカンパニー製の警備用ドローンです。いずれの事例も突然停止した後に暴走し、最終的に連鎖的に爆発した」


「キングスカンパニー製の…?」


「ええ。ご存知通りキングスカンパニー製の警備用ドローンは日本各地に出回っている代物です。それらが一斉に暴走し、爆発したとなると…」



 真一文字の言葉に月鏡の背筋が凍る。想像しただけでも自分が遭遇したテロとは比べ物にならない被害だろう。誰が何の目的でそんな無差別攻撃を仕組んだというのか。月鏡は衝撃の大きさに言葉を失った。



「まだ被害の全容は明らかではありません。ただキングスカンパニーに対して至急の事情聴取という形で上層部がコンタクトを取っている段階です」


「…被害は日本だけなのでしょうか?」


「それは分かりません…が、とにかく今は貴方の収容と事情聴取が先のようだ」



 真一文字は月鏡の手を引っ張って立ち上がらせると駆け付けてきた黒塗りの車に案内した。二人が車に乗ると真一文字はゆっくりと発進させた。



「長い一夜になりそうですね」



 真一文字はポツリと独り言のように呟く。真一文字の言葉を聞き流すように月鏡は未だ凄惨な光景が広がる街を呆然と見つめていた。


 そしてその翌日、テロ事件を起こしたと思われる人物からの犯行声明が全世界に向けて発信された。



『我々は「ウロボロスの終末」である』

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