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不幸の檻  作者: みあ
傾国の美女
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既得権益

 「ん、これ、明日担任に渡しなよ」


「…………どういうこと? 」


暫くして彼が手渡してきたのは回答用紙の入った封筒。何やら先程から赤ペンで書いてたのは知っているけど。


「今回一位の点数とそれを取ったのは誰? 」


「九教科で873点、鈴井奈莉花さん。本当かどうか知らないけど」


鈴井奈莉花は彼の婚約者である鈴井有莉花の妹。彼女が言ったことは絶対。今のあの学園で彼女よりお金持ちはいないから。


「だろうね。おめでとう、暫定一位だ」


「……は?何が? 」


唐突に言われたそれに、意図が理解できない。さっきまでテストの話をしていたけれど、それがどうかしたのか。


「886点、三回くらい数えたから多分合ってると思うよ」


受け取りながら、封筒の中身を見ると、回答用紙の右端の元々書いてあった点数に斜線が引いてあり、その下に二十点ほど加点された点数が書かれている。彼が私のテストを採点し直したのか。暇潰しに。


「そんなことしてたの?また意味がないことを…彼女より点が高いなんて、彼女は勿論、教師達も認めないでしょう。それが他の誰でもなく私なら尚更」


「何言ってんの。こんなの、誰がやったかが全てなんだから。鈴井の妹が『最高点を取った』より、『三条諒太郎が採点した』の方が強いんだから」


もう頭を抱えたくなる……現実を見たくない。こんないとも簡単に成績が変わってしまうなんて…


「でも、よくこんなクソみたいな成績の付け方なのに真面目にやってたね、えらいえらい」


「…馬鹿にしてるでしょ…?こんなことで自分のレベルまで落とすなんて馬鹿みたいでしょ?…ねぇ、それ、何の為にやったの?私の成績が上がったところであなたに何の意味もないのに」


私にしか得がない。彼は損こそしないけれど、そんな事をする義理もない。


「そうかなぁ?色々あるよ。……でもさぁ?キスまでしたのに『あなた』呼びはどうなの? 」


「……っ! 」


顔が一気に青ざめていくのがわかった。






 「勿論、そのつもりだけど?…死ぬまであなたに都合のいい女でいてあげる」


そう言うと、押さえられていた力が弱まり、抜け出すために起きあがろうとした。その瞬間、何かが触れた感触がした…唇に。状況を一瞬で理解したが、全く身動きがとれない。せめてもの思いで彼の唇を思いっきり噛んだ。すると、私の腕を掴んでいた力が弱まる。


「ってっ…!嫌だった?ファーストキス」


「…………リップ落ちたんだけど」


学校を出る前に塗り直したリップ。ブラウンレッドのお気に入りの色。塗り直せばいいけど、今回は割と上手くいったからちょっと惜しい。


「あれ、あんまり効果無かったか。もしかしてもう経験済みだった? 」


意外そうに言うが、そもそも私はこんな学校に転入しなければ結構モテるんですけど。なんて苛々しながら考えていた。


「効果があるもないも、思ったより綺麗に塗れたリップが落ちて気分は最悪ですよ。あなたの用はこれで終わり?帰っていい? 」


今は一刻も早く自室に戻りたい。金鋏もあんまり意味なかったし。


「そうだね。またおいでよ…というか来なくても呼ぶけど」


「なんて迷惑な…」


そうやって自室に無事(?)戻ると、まず洗面所に向かった。蛇口を捻り、水を掬って顔をを洗った。水を止め、鏡に写る自分の顔と向き合う。


「…………馬鹿馬鹿しい…」







 この、飄々としている御曹司が何を考えているか全く理解できないが、少なくとも、彼に気に入られれば、この先の私の立場はかなり安定してくるだろう。上手くやらないと。


「あぁ、いいこと思いついた!一週間に一つ、恵都に都合のいいことをしてあげる。その見返りとして、一つ言う事聞いてよ」


名案!とばかりに得意げに言うが、私の方にリスクが高すぎるのは如何したものか。


「その見返りにもよるけど? 」


「う〜ん、そんなすぐに変な事は要求しないよ。これはその都合のいい話に見合う見返りにしないとね。それにさ、その交渉が決裂したら興醒めだからね」


その考えがいいのかどうかわからない。今後の様々なことを考えればこれを呑むことが最善かはわからないが、良い判断ではある。リスクは大きいが。つまり、悪い話ではない、ということだ。


「…………わかった。その話、呑むよ」


そう言うと、驚かれた。自分が言い出したことだというのに。まるで、私がそれを蹴るとばかり思っていたようだった。


「えっ…あっ、そう……意外だけど、でもそれが恵都にとっては結構都合がいいかもね。俺から条件として与えられるもの以上に」


「…それで?今回の条件は? 」


「ん?あぁ、名前で呼んでよ。これから」


そんなことでいいのか。と思ったが、藪蛇なので言わないことにする。ソファから立ち上がり、鞄と封筒を持ってその場を離れた。ドアに向かう途中、振り返る。


「じゃあ、私が最も欲しいものをもらえるように都合のいい日はここに来てみようかな。いいでしょ?諒太郎」


中盤の回想シーンは、まだ何かありそうですね(?)

思いっきり利害関係になってしまった2人ですw

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