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不幸の檻  作者: みあ
傾国の美女
52/62

放漫

 次の日、先日あったテストが返却された。前期中間テスト。私が上位になることは絶対ないのだが。

 

 今の学校…煌明学院で初めて受けたテストが返却された時、採点ミスに気がついて言いに行ったことがあるが、点数は変わらなかった。その時に全て察したので、もう点数も回答も面倒で見ちゃいない。


今日は部活がある。教室を出て、多目的教室に入ると、今日は演目決めだったのをすっかり忘れていた。


「小野寺、遅かったね。何か考えてきたでしょうね? 」


部長が声を掛けてくる。一つ上の女の先輩だ。


「遅かった…ってまだ始まってもないじゃないですか。白雪姫でもやったらどうですか? 」


「考えてきていないのはよくわかったよ。私たちはあなたに主役をやらせたいんだから、ちゃんと考えて欲しいんだけど」


候補に出ているのは、ハムレット、ロミオとジュリエット、シンデレラに私が言った白雪姫。


「なんだ…こんなに出てるんなら私のいらないじゃないですか。それに、主役なら木野がやればいいのに」


「ええ〜!私は小野寺先輩が主役やってるのがみたいです〜! 」


木野は、小学生の頃から劇団に入っているらしい。将来はプロの劇団員になるのが夢なんだとか。それなりに演技は上手いし、何より場慣れしている。


「う〜ん、確かに木野にもやらせたいんだけど…ああ、いいのがあるよ」


部長は、何やら妙案を思いついたようで、嬉しそうに演目候補が書いてあるホワイトボードに向かった。


「?だから私は適当な役を幾つかで…」


「ロミオとジュリエットですか!?いいですね〜!ジュリエットは小野寺先輩ですか? 」


なんとなく、雰囲気的にジュリエットは木野の方がいい気がするが。


「いいや、ジュリエットは木野だよ」


「あれ?だと小野寺先輩を主役にできないじゃないですか? 」


まだ主役こだわっているのか。私が主役をやったらブーイングの嵐じゃないか。


「あるでしょ、まだ」


「はい?……まさか」


これは……どうなることやら…






 帰りも送迎があるのだが、その送迎の運転手も石田さんに変わっていた。車に乗ると、申し訳ないのですが…と言いにくそうに切り出す。


「今日は、主人の部屋にそのまま行っていただきたいのですが…」


「……いいけど。あなたが申し訳なさそうにすることじゃないでしょ。それを言い出したのはあなたの主人なんだから」


また何を考えているのか知らないが、碌なことではないだろう。今日はこの後予定もない。


「だからこそです。あの方が何かやらかしてしまったら私たちの監督責任ですし」


「可哀想…石田さんの他に何人いるの? 」


「護衛を含めなければ、私と衛藤、という男性だけです。衛藤も私もあの方が幼い頃から仕えているので、保護者の役割もありますね。何か困ったことがあったら言ってください。お力になれるといいですが」


案外、三条家の中でも味方になってくれそうな人がいたとは。想定外だった。


 彼のことはともかく、石田さんが申し訳なさそうに言うので、言う通りに彼の部屋に向かった。が、彼は居なかった。石田さんもわからないらしい。衛藤さん、という人に連絡を取っても分からない、ということだったので、暫くここで待つことにした。鞄をそのまま持ってきたのは正解だった。ソファに座り、机に勉強道具を広げて、課題をやり始めた。復習と、ついでに予習もやって、後は適当に時間潰しに教科書演習を幾つか解いた。それくらい時間があった。


「やあ、勉強熱心で感心するね」


「………呼び出しておいて待たせるなんてどういう了見? 」


「まあ、いろいろ」


適当なのか、そうでないのか。少々相手を苛立たせる才能があるらしい。


彼は、私が広げた物の中からA4の封筒に目をつけた。ひょい、と取って中を開けた。


「何これ…テストじゃん。…案外点数悪いんだね」


無視して教科書に視線を戻す。彼は、一番上の回答用紙を一通り見ると、怪訝そうにこちらを見てきた。


「これ、点数違うって言わなかったの? 」


「……言っても無駄なのに? 」


「あぁ、なるほど? 」

 

納得したようで、ソファから立ち上がって缶を二本取り出した。一本はサイダー、もう一本はお酒(何かはよく分からない)だった。


「はい、これあげる。あ、飲んでいい? 」


一応、私が未成年なことを気を使ったらしい。


「お好きにどうぞ。私もお言葉に甘えていただくよ。…変な物入ってないよね? 」


それを聞いてから、缶を開けて一口飲んだ後、呆れた顔をして私の問いに答えた。


「どうやって入れるの…あぁ、でもこの家で出されたお茶とか飲まない方がいいよ。何入ってるかわかんないから」


再三、両親に言われたことだが、まさか三条家の人間に言われる日が来ようとは思わなかった。


「それあなたが言うの?……それ、どうするつもりなの? 」 


私の筆箱から勝手に赤ペンを取り出したが、何か書くわけでもなく先程の回答用紙を見つめていた。


「ん〜?酔っ払いの気まぐれに意味を探さない方がいいと思うよ」


酔ってなくても気まぐれなんじゃ…まあいいや。サイダー缶を開けて、一気に三分の一ほど飲んだ。


あ…制服の説明してなかった…

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