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不幸の檻  作者: みあ
傾国の美女
50/62

嚆矢

 ———自分の記憶を反芻しながら、横で眠ってしまった子を再び眺める。——君は、どちらの道を歩むんだろうね?でも怖い、という感覚があるうちは、まだこちら側か———そっと、少し触ってもちっとも起きないその小さな頭を撫でた———










 高校二年生になった。高校は、ママが言っていた通り、三条家が指定してきた学校に編入した。帝啓学院高等学校。二年も経つのに友達というような人はまるでできない。同じクラスに厄介な人物がいるからだ。


 そもそも、私の立場というのは、三条諒太郎の妾。まあ彼には婚約者がいるのだが、三条家にとっては私の存在は別に問題ないらしい。しかし彼は今あの屋敷におらず、なんとアメリカに留学してるのだとか。正直あんまり興味はないが。


彼の婚約者、及びその家…鈴井家としては私の存在は害物そのもの。本人には会ったことがないが、その妹は私と同じクラスだ。


そう、「厄介な人」というのは彼女のことだ。編入当日にはもう有る事無い事噂が広がっていた。


「あ…………」


英語の教科書がない。次の授業なのに。


これスペアだったかな…ロッカーはダイアル式だし、毎日番号変えているし、多分ある。教科書はなくなったらまた買い足せばいい。必要経費だと言えば金は出してくれる。


あった。また買ってこないとな……


授業が始まると、やった本人はつまらなそうな顔をしていた。見飽きてしまったそれは、全く娯楽にもならなくなってしまっていた。



 この屋敷に来て数週間後、原宿を一人でふらふら歩いていると、見知らぬ男に話しかけられた。何事かと思ったら、モデルにならないか、ということだった。私はそれを受けた。使えると思ったから。


「次号は表紙だから!よろしく頼むよ」


「表紙ですか?ありがとうございます。よろしくお願いします」


案外、人気になった。十代のファッション雑誌の表紙を任されるくらいには。


三条家としては、稼いでいる三割は借金の返済としてそちらにいくわけだから、悪いことではないと思っているのだろう。顔で売っているから、暴力も振るわれることはない。これが狙いだった。


事務所のビルの地下には、駐車場がある。そこに、黒い外車が停まっていた。その車に乗り込む。


「言われていた時間より遅かったですね」


……?いつもの運転手とは違う。女性であることもそうだし、そもそも話しかけられるなんて初めてだ。


「それは謝る…けど、今日いつもと違くない?いつもの人は? 」


彼女はエンジンをかけ、駐車場から車を出した。無視されるかと思ったが、これも返答が来た。


「今日付けであなたの担当となりました。石田と言います。これからは私なので、よろしくお願いします」


敬語…!しかも今日からって。まあいいや、こんなのあっちの気まぐれに過ぎないんだから。


「そう、なんだ…別にそれでどうこうなるわけじゃないし。異論はないけど」


一人変わったところでなんでもない、そう言うと、彼女…石田さんはおかしなことを言ってきた。


「さあ、どうでしょう。少なくともあなたにとっては変わるかもしれませんよ」


「……どういうこと? 」


そこで会話が終わってしまった。ビルから屋敷までさほど遠くないからだ。一番聞きたいことが聞けなかった。


何かが引っかかる。三条家に仕えている人でこんなに丁寧に接してくる人はいなかった。今日突然、彼女に変わった理由はなんだろう。ただのあちらの都合かもしれないが、意図的なものかもしれない。あちらに変化がなくて、私に変化があるものは何?


…………私の立場? まさか……


 あらゆる疑念を払いきれずに、自室に戻る。生活感の殆どないその部屋は、延長コードが床に転がっている。折り畳み式の机は部屋を出る前に必ず折り畳んで壁にかけてある。唯一仕舞われていないものといえば、朝使って洗っておいた食器くらい。何かをされてもわかるように、物は動かさない。


この緊張感のある生活を二年。慣れた、というか、なんとも思わなくなった。あと多分二年前より神経質になった。


洗面所で手を洗って台所へ向かう。夕食は何にするか。確実にお腹は空いているのに、食欲はほぼない。これが二年。


まあ、でもマシになった方か。


冷蔵庫にあった卵、鶏肉と玉ねぎで親子丼を作る。


やっぱ、ママが作ったやつの方が美味しい。当たり前だけど。別に不味いわけではないけど、ずっと食べてるのに味がしない。その原因が、あの事件のショックなのか、ずっと気が張っているからなのか、一人で食べているからなのかわからない。


 コン、コン


この部屋にノックする音が聞こえるなんて珍しい。食べる手を止めて、ドアを開く。


「何?誰、どうしたの? 」


「今大丈夫ですか?私は連絡事項だけ伝えるので、あなたの都合で大丈夫です」


先程の運転手。彼女は、本当に私に遣われる人になってしまったのか。


「一応、大丈夫だけど…何かあったの? 」


「私の主人…私が世話をしている方があなたを連れてこい、と言うので、あなたの都合が良ければ、ついてきてもらえませんか? 」


本筋の部分に入ります。

ここまでお付き合いしていただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします!!

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