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不幸の檻  作者: みあ
小話
44/62

恋愛事情

 佳澄ちゃんが今日は学校を休んでしまったので、一人で帰ると思っていたが、一人、一緒に帰らないか、と誘われた。彼は隣のクラスの子で、去年は同じクラスだったので喋ったことはあるし、というよりもクラスでは仲のいい方だった。


 久しぶりに馬鹿みたいな話で盛り上がった。でも、彼は何か別のことで用があるようだった。話がひと段落したら聞いてみよう。


「私を今日誘ったのは何か用があるからじゃないの? 」


「え……ああ、…あのさ、園田。俺と、付き合ってほしい」


「へ?何を? 」


「あ〜〜。やっぱ伝わんないよな、去年さ、色々勉強教えてもらったり、行事とかやったりしてたら、園田のこといいなって思うようになって……だから…」


おお、なるほど。そういう話だったか。それは先程の私の問いは彼に失礼だったか。


「……ありがとう。そう思ってもらえるのはすごく嬉しいよ。でもごめんね、ちょっと難しいかも」


これが初めてではない。実際、何人か付き合ったことがあるし。でも、今回は駄目だ。彼が悪いとか、嫌いとかいうわけではない。


 好きな人がいるからか? そうらしいね。


「だよなぁ。お前モテるもんなぁ。あ!別にそれはいいけども! 」


「うん? 」


「こんなこと言った俺が言うのもなんだけど、今後も友達として仲良くしてくれませんか! 」


この、切り替えの早いところが彼のいいところだ。


「ああ、そんなことかぁ。それは私もそう思ってるから大丈夫! 」


これで友人関係が終わってしまっては勿体無い。因みに、自分はというと、友人関係よりも深刻なものなので言い出せずにいる。もしかすると、墓場まで持っていくことになるかもしれない。


「よかったぁ〜!あ〜、好きなやついるとか? 」


う……何も考えていなかったせいで固まってしまう。誤魔化せないかも…


「え!ガチか…」


「え、えぇ〜?そんな、今はそういうのを考えてないってだけで……あー、誰にも言わないでおいてくれる? 」


「ああ、それはもちろん。え、どこのクラスのやつだよ? 」


もうこれは好奇心だろう。悪意は全く無い。どこまでこのノリで話せばいいか迷う。


「あ、いや、あぁ……うーん…」


どのクラスでもないし、そもそも学校にいないし、しかも関係が関係だし……言いづら…


「先生とか? 」


「先生は絶対無い」


「即答かよ。あー、でも園田年上好きそう」


うぅ、図星だ……


「まあまあ、これ佳澄ちゃんにも話してないからほんとに誰にも言わないでね…」






 まぁ、お互い秘密を抱えてしまったのでこれでチャラで、ということになった。私こんなに嘘下手だっけ…?どうしよう……この想いを隠し通せるかな。


「……澪依華…? 」


こんなことを考えていると後ろから声をかけられた。振り返ると、噂をすれば?なのか…


「秀!どうしたの?こんな時間に」


「いや、今日はちょっと早く帰れたから…」


仕事帰りらしい。もう五時は過ぎていた。


「? 」


何か、言いたげだった。少し気まずそうな。


「あ、いや。澪依華が高校生だってことを改めて思っただけ」


「はい?………まさか、さっきから、いたの…? 」


決まりの悪そうな、居心地の悪そうな顔をしている。それはまずい、だって今あなたの話をしていたのだから。


「あの、盗み聞きするつもりはなかったんだけど、聞こえてしまって、そのまま立ち去ることもできなくて……」


「別に?そんな大した話じゃなかったでしょ?私に好きな人がいるって話でしょ? 」


「そうだけど、それ聞いてよかったのかなって。一応、同じ家に住んでるわけだし、それがその人に知られてしまって澪依華のイメージが悪くなってしまったら良くないと思って」


はぁ、そんなことを気にしていたのか。なら大丈夫。それならもう解決済みだ。


「そんなこと?大丈夫だよ。もし私の想いに応えてくれたとしたら、その人はそんなこと考えない人だから」


「いや、それはないでしょ。ほんと、俺のエゴでこうなってるけど、嫌だったらなんとかするから」


 ……………


「……はぁ、鈍いなぁ………」


「?なんか言った? 」


「いいや? 」


これはちょっと道のりが長いかもしれない…


「鈍いなぁ」が書きたくて、あと澪依華がモテる話を書きたくてできた話です…

この頃だとまだ彼女は何も知らない……

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