小話・身辺整理
本編の月日をちょっと開けたいので、小話で埋めます!
澪依華と秀一の話です。5話くらい(今のところ、増えるかもしれない…)あります!
書きたかったけどその時書くのを忘れていたお話たちです。お付き合いいただければ幸いです。
彼女が家に来た翌日、この日は土曜日だった。ちょうどいいから持ち物を整理した方がいい、と彼女に促し、彼女だけでは大変だろうから手伝うと言って二人で彼女の家へ行った。
一階はスナックのような店があり、二階がアパートとなっていた。所謂、ボロアパートで、階段やその手すりの錆から相当な年代物とわかる。二階には部屋が二つあり、その手前の部屋が彼女の家だった。
ガチャン キイィ
「どうぞ、上がって……って、人を上げられるような家じゃないけど…」
苦笑いを浮かべながら彼女は言う。まあ、確かにそんな具合だった。真正面に大きな窓があるワンルームの畳の部屋。壁には折り畳みの机が立てかけてあり、家の手前右の角には小さなテレビが置いてあり、その横に段ボールが幾つか置いてあった。元が古くて汚い割に、綺麗にしてある家だった。というよりも、彼女が母親と住んでいたにしては物が少なかった。
「お邪魔します……綺麗に来てあるね。澪依華がやってたんでしょ? 」
「まあね、……これ、少し片付けた後なの」
少し寂しげに笑って部屋を見渡す彼女は、昨日とはまた違う人に見えた。
左手には押し入れがあり、そこを開けると布団と箪笥が入っていた。もう中の物は殆ど出してしまったので、もういらないんだそうだ。
「これ、置いてっちゃっていいかなぁ?片付けるのも大変だし、元々貰い物らしいんだよね」
母親の物はどうしたのかと聞くと、まだ綺麗なの売ってしまって、そうでない物は捨ててしまったという。そもそも彼女自身の服も殆どないというので、片付けの手伝いは、力仕事くらいだった。それもさほどなかったのだが。
あらかた片付けが終わったという頃、段ボールの中を見つめて座り込んでいた。
「………?澪依華? 」
「………………」
声をかけても反応がない。段ボールの中を覗き込むと、納得する。
恐らく、彼女の母親のお骨
覗き込んでいるのに気がついたのか、振り返ってこちらを向いてくる。
「……あ、ごめん。…これ、どうしよっかなって思って」
「納骨はいつ? 」
一瞬、きょとん、とした顔をしたが、すぐに気まずそうな顔をして言った。
「……あー、ないんだよね、お墓」
「ないの? 」
「ママは縁を切られた身だから。おばあちゃんはクリスチャンだったからお墓を別に作ったんだけど、ママ違うし、お墓建ててあげたいけどそんなお金ないしね」
なんだか、本人以上に色々ありそうな家だが、これ以上の詮索はしない方がお互いのためな気がする。自分だって恐らく彼女よりも多くのことを隠しているんだから。
「そう、なんだ…まあ、どっちの方がお金がかかるからわからないけど、もし澪依華がいいと思うならこう言う選択肢もある…」
少し前に、亡くなった人の骨などを使った合成ダイヤモンドの話を聞いた。それなりに金額はするだろうが、墓を作るとなれば、作るにも、その場所を確保、継続するにもお金が必要なので、あまり変わらないどころか、それより必要かもしれない。
という一つの提案だ。それを決めるのは彼女自身なのだから。
「……すごいね、見て!これ、ネックレスにしようと思うんだ。それなら、着けやすいと思って」
少し黄味がかって光に当たって光る合成ダイヤモンドは、本物のそれより暖かく見えた。
「…本当にありがとう。秀が今回この提案をしてくれなかったら私だけじゃどうしたらいいかわからなかったよ。……ううん、今回だけじゃないね、あの日、私が死なないようにここへ連れてきてくれた時も」
あの日、あの時、目の前の少女をどうしても自分のエゴで死なせたくなくて、とんでもない提案をした。まだ後悔はしていない。するのはこれからかもしれない。でも、今現在、彼女がこうして過ごしているこの一瞬は、自分がつくった時間なんだろう。
「そんな大層なことしてない……と言いたいところだけど、結構なことをしているからちょっと心配だったけど、澪依華が良かったんなら良かったんだね」
「……なんでいつも、そんなに謙遜するの?今の私はあなたがつくったんだよ?本当にありがとう。感謝してもしきれないよ」
その笑顔を見た時、心臓の奥が一瞬ヒヤリとした。これは、自分が彼女を騙しているせいだろう。
合成ダイヤモンドめっちゃ調べました…時間軸的に、この技術が作られ始めた頃かな……?




