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不幸の檻  作者: みあ
愛された子
35/62

無知

 「ん〜、そうだなぁ。ねぇ、けいは席を外して?」


人差し指を顎に当ててこちらを向いて言ってくる。ママは美人だから絵になる。…と、そんなことではなく。


「な、なんで?あんまり離れない方がいいんじゃないの?」


しかも「提案」ってなんだ?私の知らないところでいろんなことが起こっている。子供であることがこんなにも歯痒い。


「大丈夫〜!だって今けいを殺しちゃったら実験の意味ないからねぇ。……さて、そこのおじさんたち!この子を少しの間別の部屋にでも連れてってちょうだい!あなたたちの主の血が入っている子なんだから、下手は打てないはずだよ?」


私のことはわかったが、ママが無事でいられる保証がどこにもない。しかしこんなところで三条と血がつながっていることが使えるなんて。普段は不快感しか感じないが、こういう時に使える。


「大丈夫だよぉ〜。終わったら迎えに行くから!ね?」


 それから側近の後ろをついていき庭園に連れてかれた。何か話しかけてくるわけでもなく、ただそこに咲いている花を眺めていた。

 ………視線を感じる。しかも複数の箇所から。

その視線のさきを見ると、誰もいない。


 コツンッ


「痛い!……何これ。」


頭に当たり足元に落ちてきたそれを拾い上げる。


「…飴?」


透明なセロハンの袋に入った大粒の紅い球体。白いざらめのような砂糖がついている。


 そこで、これが飛んできた物だと思い出し、飛んできた方…自分の後頭部の上を振り向く。しかし、その辺りには誰もおらず、ただ窓が空いてレースのカーテンが外にふわふわと流れている部屋があり、そこから私の方へ投げたのだろう、と推測できる。


「ねぇ、これ、おじさんたちなら誰が投げてきたかわかるんじゃない?見てたでしょ?」


すると、顔を見合わせて首を振った。そしてこちらを向いてこう言った。


「さぁ、知らんな。そもそもそんなの知って何になる。お前のためなんかに労力を使いたくない。」


「うーん、正直だなぁ。でも、知ってるってことだよね?」


さて、聞いても答えてくれないのなら考えても無駄なので、ママが迎えにくるのを待つことにする。庭園には大きな池があり、そこには錦鯉が何匹か泳いでいた。中心にはこちらもまた大きな枝垂れ桜が植っていた。どの木も丁寧に手入れされており、屋敷の中もそうだが、隙が全く見つからない。


 ママがいなくなったら私はここに連れて来られるんだろうか…?


 ふと、そんな疑問が浮かぶ。そんなことになってしまうのなら死んだ方がマシかもしれない。


 何を、話しているんだろうか。それはどうしても私に聞かれてはいけない話なのか。どうしてママは今まで自分が三条の血を引いていることを明かさなかったんだろう。ママはそれをいつ知ったんだろう。パパはそのことを知った時どう思ったんだろう。


疑問しか出てこない。なんて無知なんだろう。子供という言い訳が通用する話じゃないのに。


それに、私の、話なんだから。






「お待たせ〜!いい子にしてた?」


「もう!ママ、私子供じゃないんだから。」


「ふふふっ。ママにとったらまだまだけいは子供ですぅ〜!」


もう用事は済んだからとっとと帰るんだ、と言った。行きと同じ車に乗り、マンションの近くの裏道で降りる。マンションの方へは行かず、歩いて近くにあるファミレスでご飯を食べることにした。


「疲れたねぇ!何食べたい?なんでもいいんだよぉ。ほんとは家で食べるのが一番休めるんだけど、ちょっと作る気力ないからなぁ。」


「そりゃそうだよ。あ、私オムライスがいい。デミグラスソースかかってるの。」


「お、これ美味しいよねぇ。けいはオムライス好きだねぇ。ママは何にしよっかなぁ。」


メニューを眺めて楽しそうにしているのを見ると安心して、やっと帰ってこれたと実感する。実際まだ家には帰れないないのだが。


「ミートソースのスパゲッティにしよ〜。じゃあ、ボタン押して。」


注文してしばらくすると、料理が運ばれてくる。外食なんて久しぶりで、いつも家で作って食べるのが嫌なわけではなく、むしろ私はそっちの方がいいけれど、特別感があって好きだ。


「いただきますっ!お店のオムライスも美味しいけど、ママの作るオムライスが食べたい。」


「えぇ。それ今ここで言うことぉ?いいけどさぁ、そんなこと言ってもらえるなら喜んで作るけどさぁ。」


あの、安心するようなのを食べたい。今だから余計思うのかもしれない。







 結局、これをこの後ずっと引きずることになる。でもそれにたどり着けることはなかったのだ。


「ねぇ、恵都って洋食屋行くと絶対っていうくらいオムライス頼むよね?」


「そう…?そうかもね。求めている味があるんだけど、絶対ないんだよ。」


「へぇ…いつどこで食べたの?」


「いつ?昔、子供の頃。家でママが作ってくれたやつ。ね?絶対ないでしょ?」


「……まあ、ね。それ当てつけ?」


「ふふっ、……まさか。」


 なんだか大丈夫か?っていうくらい伏線張りまくっていますが、一応回収する気でやっています。…頑張ります。

 洋食屋さんのオムライスってほんとにおいしいですよね!

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