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不幸の檻  作者: みあ
愛された子
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違和感

 燈子の言う通り、結局私は学級委員になった。まあしかしだ、そんな首席で学級委員もやるなんて言ったら必ず僻む人たちが出てくる。そこまで気にはしなかったし、幸い、燈子の他にも大勢の友達ができたのでそれがエスカレートすることはなかった。


 そう、今学校生活が一年前までは想像もしなかったくらい充実しているのだ。


 そしてふと気がついた。これの終わりがあることに。もしかすると、想定しているよりずっと残酷に。これは死守しなくてはならない。人生でもう一度くらい何も気にせず楽しいことがあっていいだろうから。


「…恵都、聞いてる?どうしたの?」


「え、あ…ちょっと、考え事してただけ。ごめん、何の話してたっけ?」


燈子は、呼び捨てでいいと言ってきた。憧れなんだそうだ。私と燈子がそう呼び合っているのを見たクラスメイトはお互いを同じように呼び捨てで呼び合うようになった。クラスの仲が悪くないのはいいことだと思う。


「体育祭の話だよ〜。次のLHRで出る種目とか走順とか決めなきゃいけないんだよ!」


「ああ、それか。面倒臭いね。体育祭終わったらテストもあるし。」


テストの話をし出したらキリがないのでこの辺でこの話は終了した。




マンションの一階にはポストがあって、帰りにその中を見てから家に帰るように言われている。ママが仕事をはじめたからだ。十階の、一列に並んだポストの列から小野寺の文字を探す。ダイヤル式のロックを解除して開ける。いつもと同じように広告が何枚か、あとは…


「……何これ、封筒?ママ宛てかな。」


宛名は 

    小野寺 澪依華

        恵都          


……?そういえば差出人は?…ない。気持ち悪い、何これ。嫌な感じしかない。どうして?


とりあえず、それらを持ってエレベーターに乗って十階に上がる。持っているのも嫌になる。


「…ただいま〜。まあ、返事聞こえたら怖いけどね。」


靴を脱いで郵便物をリビングの机に放り投げて手を洗う。あの封筒が変に気持ち悪くて、いつもより念入りに洗った。鏡に映っている自分の顔が、なぜか不自然に見えた。


 気にしてもしょうがないので、制服から私服に着替えて、課題を片付けることにする。それでも頭から離れない。たかが差出人のない封筒にどうしてこんなに違和感を覚えるのだろう。そもそも差出人のない封筒自体違和感しかないが、違和感、というより何か引っかかるような気がする、というのが適切な表現か。




 6時にはママが帰ってきた。封筒を見せると、あとでね、と言って先に夕飯を作ってくれた。遅くなったからと言って急いでいた。私はそんなことは気にしないのに。課題を片付けて手伝うことにした。夕飯はたらこパスタだった。紫蘇と海苔をかけると美味しい。冷蔵庫にあった食材たちですぐにできた。


 夕飯はもちろん美味しかったのだが、何をそんなに急ぐ必要があったのかと気になっていた。


「ご馳走様でした。お皿はシンクに水つけて置いといて。」


「私洗おうか?」


「いや、いいよ。」


さっきから少し、焦っているような、怒っているような。私何かしたかな。

 

 皿を片付けてテーブルが空くと、ママは立ち上がって棚の上にあった封筒を取った。私が受け取った、差し出し人のない封筒。テーブルに座りながらそれを眺める。それからその封筒の端を持ってビリビリと雑に破いた。封筒をその辺に放り投げて中に入っていた紙を広げて、しばらく見つめてから、その紙の真ん中を両手で指先で持った。


まさか、とは思った。


縦に丁寧に破いてから横向きにして破いて、それを二回繰り返した。ビリビリと破かれていき、葉書の半分の大きさくらいになった。


どうするんだろう、と思っていていると、その持っていた紙を手から離した。


はらはらと辺りに散らばった紙を呆然と眺めていると、はぁ、とため息が聞こえた。


「来週の土曜日、空けといて。」

久しぶりに納得のいく終わり方ができました!

ポストに自分宛ての手紙が入っているとちょっと嬉しいですよね…!残念ながらこの話はそうではないのですが…

この話で一番迷ったのがご飯何しよう…でした。

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