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不幸の檻  作者: みあ
愛された子
32/62

入学式

 月日は変わらず過ぎていく。残酷なほど何もなかったかのように。


「どう? 似合うでしょ? 」


「もちろん! けいに似合わない服なんてないでしょ? 」


 白いブラウスに紺というよりも鮮やかな青色のシフォン素材のリボン、リボンと同じ色のスカート。

 私立中学の制服は公立の学校よりもずっと可愛い。ちゃんと私に似合う。髪は丁寧に梳かして結ばない。鞄を持って、ローファーを履いたら準備ができた。


 中学受験をしたけれど、やはり両親の言う通りでなんの心配もなく受かった。次の心配は友達ができるかどうかだった。人付き合いが壊滅的に苦手な為、小学生の頃はあまり友達はいなかった。苦手、というか恐ろしく消極的なんだろう。できなくてもいいんだけど…




 「では、新入生の名前を呼んでいくので、呼ばれた人は返事をしてその場に立ってください。首席、一年一組、小野寺 恵都さん。」


「…はい。」


 入学式て恒例の点呼ではあるが、一番最初に呼ばれるとは思わなかった。この学校成績順で番号が決まるのか……そう、私は首席なのだ。つまり、一年一組一番。もうそれを知った時ママがすごい喜び様だった。「さすが、私のかわいい娘だもんねぇ!」って自分が勉強出来たことは認めるらしい。




 入学式が終わり、教師に連れ立って教室へ入る。一同席に座ると、初めてのHRが始まる。担任は40代くらいの女教師。温和な見た目ではあるが、言っていることはまあまあ厳しい。

HRが終わり、それぞれ帰る支度をしていると、横にいた子が声をかけてきた。


「…し、首席なんてすごいね…あ、はじめまして。私、中西 燈子。よ、よかったら仲良くしてね。」


「……あ、ありがとう。小野寺 恵都です。知ってるかもしれないけど。燈子さん、よろしく。」


そう言うと、彼女は頬を赤くして、嬉しそうに笑った。隣…出席番号六番。六位の子だ。




 「ただいま〜。あ、ねぇママ! 私ね、友達できたよ。」


「お! どんな子どんな子!? 」


「えっとねぇ、中西さんっていうんだけど…」


その話をしばらくしていた。自分の行動範囲でできた友達は初めてだったから。沙那は幼馴染だから親同士が…という感じだったからだ。


「あ! パパに言わなきゃ! 友達できたよって! 」


急に思い出して立ち上がる。パパの部屋だったところに入って、遺影に向かって話す。こんな話をするのは初めてだったかもしれない。


「これなら学校行くの嫌じゃないかも。」


「ほんと!? それは嬉しいねぇ。」


当事者は私であり、ママではない。どう嬉しいのかよくわからない。


「なんで?ママはあんまり関係ないでしょ?」


「関係あるよぉ。だって毎日けいが笑顔でいてくれるもんね。」


そうなのか…わからないけど、ママがそう言うのならそうなんだろう。



 「おはよう、恵都ちゃん。」


初めてかもしれない。いや初めてではないんだろうけど、こんなに意識したのは初めてだ。自分に向けて声をかけてくれることが。


「おはよう、燈子ちゃん。…今日は、係決めがあるんだね。」


「そうだね。恵都ちゃんなら学級委員とかでも良さそうだと思うけど… 」


そうかな…そうでもないかもよ。などと返しながら他愛もない会話が続くことに喜んでいる自分がいる。全く嫌じゃない。むしろ好きだ。この時間がずっと続けばいいのに。と、そう思える。





 女子校という場所が良くも悪くも閉鎖的であることに気がつくのはまた先の話。

平和な平和な回。Twitterの制服アンケートに回答してくださった方ありがとうございました!多分色はロイヤルブルーです。リボンはヒモタイとか、リボン型とかではなく、シフォンっぽい質感かな…幅広のやつ…もうちょい制服のこと書けばよかったかな…

でもその少ない情報量で皆さんがどんな制服を想像されるか…というのもまた面白そうではありますね!

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