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不幸の檻  作者: みあ
愛された子
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約束

今なら、あの子猫を()()したのはパパで、でもそれはパパがやりたくてやったわけではないのがわかる。だから今さらパパを責めようなんて思っているわけでもない。


 全て私たちがやっていることは三条家に見られている、ということ。それだけはよくわかる。だから常に付け入れられないようにしないといけない。


 そんなことを考えていると、いつのまにか眠りについていた。






「守ってほしいことがいくつかある。」


「どういうこと? 」


「恵都ちゃんが一人になった時に、絶対に守ってほしいこと。逆にこれらさえ守れば何をしてもいいよ。」


私が一人になった時…つまりパパとママが死んでしまった後のこと。そんなこと、今考えたくないのに。


「その守ってほしいことって何? 」


「…一つ目、人を殺さないこと。二つ目、自殺しないこと。三つ目、この実験のことは信用できる人にしか話さないこと。……あとは、これが一番大事かな。四つ目、絶対に幸せになること。四つ目は何があっても守ってね。」


四つ、でもどれも重い約束だ。あまり先のことは考えたくないけど、二人は自分達が死んだ後のことの方が心配みたいだし、私も考えなくちゃいけないんだろうな。


「ねぇ、パパとママが殺されちゃうのにどうして私は三条の人たちを殺しちゃいけないの?」


多分だけど、二人が死んじゃったら悲しいのもあるんだろうけどそれよりも三条家への怒りで我を忘れそう。復讐できないってことなのかな。確かに無謀なことかもしれないけど。


「人を殺した後のあの罪悪感を恵都ちゃんに負ってほしくないから。でもだからといって悲観して自殺なんてして欲しくない。小野寺の先祖は同じことをされてきたけど、生き残った人は誰一人として自殺してないから。そのしぶとさがささやかな復讐だったと思うよ。」


…どちらかと言うと、私個人の話というより、小野寺家の話ってとこかな。でも私のことを全く考えてないわけでもない。


「あと、三つ目はわかるけど四つ目はどういうこと?幸せになったらまた不幸にされちゃうのに。」


「そう。でなければこの血を繋いでいる意味がない。不幸なまま人生を終わらせればそれこそあちらの思う壺だからね。」


不幸になる、ということはそれまで幸せだったということだ。不幸にされるのが目に見えているのに幸せになりたいとは思わない。それに…


「パパとママがいないのに幸せになんかなれるわけがない! 」


珍しく強めに叫んで言ったので、話していたパパも、仕事をしていたママも驚いた顔で私を見ていた。


 私は普段、我儘を言うことがあまりない。言う必要がないからだ。学校は嫌いだけど、二人を困らせるのはもっと嫌だから行きたくないなんて言ったことはない。そもそも私は一人っ子なので我慢することも殆どなく、最初から思い通りになっていることが多い。それが当たり前だから。


 それが、今回悉くずれる。全く思い通りにならない。理解できないことも多い。二人を困らせると分かっていても、いなくなってしまうよりずっとマシだ。


少し困ったように微笑んでからパパはまた話し出した。


「……それでも、それは親という生き物である限り、自分の子供にそう思ってしまうんだよ。もうそれはエゴでしかないけど。さっきから家の話だとか意味がどうとかそんな話ばっかりしてたけど、でも結局はパパもママも死んだ後に恵都ちゃんがどうなるかが一番心配なんだよ。それだけは覚えていてね。……でもびっくりしたなぁ。恵都ちゃんあんまり我儘言うことないもんね。」


…そんなことは、わかっている。昔から私のこと中心でいろんなことをやってくれたんだから。でも、私は二人がいないならいっそ…


「…ごめんなさい。約束を守らないなんてことはないよ。もちろん、パパとママが私のことちゃんと考えてるって知ってるし。」


それで自分を納得させた。パパもそれを聞いて安心したようだった。




 夜、ママと二人でリビングでテレビを見ていた。あまり面白いとも思わなかったし、隣で見てたママもあまり面白そうにはしていなかった。


「ねぇ、ママは? 最近パパが色々お話ししてくれるけど、ママは何も言わないよね? どうして? 」


しばらく反応がなく、聞こえなかったはずはないから無視されたのかと思っていると、ママは側にあったリモコンをとってパチン、とテレビを消してしまった。


「…別にいいと思っているの…死んでも。私のの母は私が高校生の時に自殺してて、その時もういいやって思った時に秀に出会って救ってもらった。だから私は秀のやってることとか言ってることにあまり口出ししたいとは思わない。死んでもいいってずっと思ってたから、そこまで生に執着はない。復讐も自分ではできないってわかったし。」


 ママの話をちゃんと聞くのは初めてかもしれない。いつも明るくて優しいママだったから。いつもの笑顔の裏ではそんなことを思っていたのか。ショックが割と大きい。怖いくらいに無表情だった。そのせいでしばらく黙ってしまった。そんな私に構わず、また話し始めた。


「まあ、そんなことは思いつつも、なんだかんだ家族は大事だし、考えてることは秀と変わらないよ。そこは安心して。だって今までやってきたこと全て私が死んだ後のためにやってることなんだから。…そんな顔しなくても、大丈夫だよ。だって私の、私と秀の娘でしょ。上手くいかないわけがない! 」


次の瞬間にはいつものママに戻っていて、安心しだけど、それが少し怖かった。





 家の呪いと、約束、二人の本心がわかって、怖いけれど、少し嬉しいような気がした。全くいいことは何もないけれど。このまま、ずっと三人で暮らしていければいいのに。



 そんなことを願っていたこの時の自分はなんて無知だったんだろう、と数年後呆れながら思う羽目になるのに。

 ひ、引き…ちょっと弱いなぁ…と最近思います。

でも、この辺の話はないと多分後々チグハグになってしまいそう…

 次回は動きがあるかな…?面白いかも!と思ってもらえるような場面を是非是非読んでいただきたいので、今はちょっと説明っぽい感じになっていますが、お付き合いいただければ幸いです!

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