表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不幸の檻  作者: みあ
愛された子
25/62

狼狽


ばたんっ


その場に尻もちをついてしまった。まずい、ばれてしまった。


「大丈夫!?…どうしたの、こんな時間に。」


「…ねむれなくて…のどかわいたから、お水飲もうと思って。」


足が少し震える。ずっと座ったままなのも変なので、なんとか起き上がる。


「大丈夫、しばらくすれば眠れるよ。今日も大変だったでしょ、明日もあるんだから。」


さっきの話を何事もなかったかのように私の心配をしてくる。それを見て俯いてしまった。

…多分、さっきの話は聞かれたくないんだと思う。だってこんな話、普通だったらしないよね。


 別に家族が普通とか普通じゃないとか気にしてないし、普通じゃなくたって私はパパもママも大好きだからこれでいいって思ってる。でも、さっきの話は普通じゃないし、大好きな二人がいなくなってしまうなんて話は、冗談でもやめてもらいたい。


「……ごめんなさい。」


「ん?……ああ、聞こえちゃった?」


諦めたようにパパはかがみ込んで私に視線を合わせて聞いてくる。私はうさぎのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめて、さらに俯いてしまう。


「…ごめんなさい。」


怒られると思った。人の話を盗み聞きするのは悪いことだから。話している内容も内容だったから。


「…聞こえちゃったならしょうがないかな。それに、いずれ話しておかなきゃならなかったことだし。恵都ちゃん、賢いからもう話してもいいかも。ね、澪依華?」


横で心配そうに聞いていたママが困ったように笑って答える。…ママの癖だ。しょうがないなぁっていう時の。


「そろそろ無理があるかなぁって思ってたし、その辺は秀に任せるよ。まあ、でも今夜は小学生が起きていい時間ではないので話すのは明日にしようねぇ。」


時計を見ると、10時半をすぎていた。これはママが駄目って言うわけだ。


「よく言うよ。補導時間に夜ほっつき歩いてたくせに。」


「なんで今そんな昔の話してくるの?関係ないのに!」


こんな話をしていても、いつもどおりの会話に戻れる2人に呆気にとられていた。あ、寝ないと!


「…おやすみなさい。」


「うん、おやすみなさい。」



 部屋へ戻って、再び布団に入る。…眠れるわけがない。余計に眠れなくなっただけだった。


 パパとママはどうしてあんなに普通に話しているんだろう、死ぬのがわかっていてなんともないかのように過ごせるものなのかな、パパがたまに辛そうにしているのはそのせい?私はいない方が良かったんじゃ…


起きなきゃ良かった。部屋から出なきゃ良かった…のに…



ジリリリリリッ パコンッ



6時半 眠れたんだ、いつの間に。昨日のこと、夢だったらいいな。うさぎのぬいぐるみを専用の小さな椅子に座らせて、部屋を出る。



「おはよう。昨日はあの後眠れた?」


リビングに行くと、ソファにパパが座っていてた。ママはキッチンで朝ごはんを用意していた。


「おはよう、パパ。いつのまにか寝てたみたい。」


「それは良かった。ところで、今日は習い事何があったっけ?」


「ん〜今日は塾だけだよ。」


「じゃあ、夕飯は一緒に食べれるんだね。」


「うん。」


ママが運んできた朝ごはんをみんなで食べて、支度をして学校に行く。


 いつも通りのはずなのに、この違和感はなんだろう。



 学校でもうわのそらで、めずらしくぼーっとしてるね、と沙那に言われた。


家に帰ってそのあと塾へ行って、帰る途中で、



ああ、このまま家に帰ったら、昨日の話の続きを聞かなきゃならないんだ、



と自覚した。初めて、家に帰りたくないと思えた。



「…ただいま。」


「あ、おかえりなさい!…どうしたの?なんかあった?」


私の不安なんて、昨日の話なんて、なんにもないように接してくるママを見て、いらだったがけど、それよりもただ哀しみの方が勝って、ぼろぼろ涙がこぼれてきた。


「え!?どうしたの!塾でなんかあった?大丈夫だよ。ちょっとずつでも喋ってごらん。」


しゃがみ込んで顔を覗き込んでくる。


「…っだ。やだよ、やだよぅ。うぐっ…ぐ、なんで、ママとパパ死んじゃうの!なにも、わるいことしてないじゃん!うわぁあぁ…」


ママは私を抱きしめて言った。


「そっかぁ、それだったかぁ。よしよし、大丈夫。そんなすぐってわけじゃないよ。それに、どっちにしたって私たちはけいより早く死ぬんだから。それが早いか遅いかの話だよ。」


あまり気にしていないかのようにいつも通りの調子で話すママを見ても、余計怖くなるだけだった。

どうしてそんなに落ち着いているの?どうしてそんなにいつも通りなの?


「でもっ、でもやだよぅ…なんとかならないの?」


「それはあとで、パパとちゃんとお話ししよう。遅かれ早かれ、けいにはこのことは話しておかないといけないことだった。珍しいね、けいがこんなに大泣きするなんて。5年ぶりくらいじゃない!?…大丈夫だよ、けいのことはパパとママが守るから。けいはいつも通り笑ってて欲しいな。」


ママはにっこり笑って言った。私がこれ以上不安がらないように。


ママに抱きしめられながら、そのまましばらく落ち着くまで大泣きしていた。

話進まない…

うちにはお口がばってんになっているうさぎさんのぬいぐるみがあります(わかるかな?)

目覚ましで起きれる優秀な人になりたい…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ