黎明
第二部…!?
新区間スタートです!よろしくお願いします!
「こわい。…もうねむい。」
「そっか、おやすみ。」
寝てしまった子をしばらく眺めてから、起き上がる。
「こわい…か、逃れられない運命なんてそんなものだよ。」
自分が如何に幸せだったかなんて、不幸になった時に初めて思い知る。
小学校で大切なのは友達を作ること。勉強よりもそれについてはうるさいと思う。同じマンションに住んでいる幼馴染がいる。それが随分人気者だから彼女についていれば問題ない。と小学生のくせにそんなことを考えていた。
「恵都〜!帰ろー。」
「うん。今日は誰と帰るの?」
「えーっとね、みきちゃんと、かなちゃん!」
沙那は友達が多い。人と喋るのが得意だ。反対に私は人と喋るのが苦手で、いつも沙那の後ろにいることが多い。
ランドセルを背負って、教室を出ると既に2人が待っていて、早く早くー、とこちらを急かしてくる。
「恵都ちゃん、今日のお洋服も可愛いよね〜!いつも可愛い服着てるし、ちゃんと似合うし!いいな〜私も恵都ちゃんみたいに可愛かったらな〜!」
「恵都ちゃん、将来モデルさんになれそう!」
私が無口で喋らないから気を使っているのか、一気にそれぞれ褒めてくる。
「そう、かな?ありがとう。私は、みんなの方がかわいいと思うけどな。」
両親以外の大人たちは、私のことを愛想がなくて可愛くない、と言う。外では笑うことが滅多になく、いつも自分の意志を伝えることがないから。
2人と別れて、通学路を歩いていると、同じマンションの子供たちに遭遇してしまった。両親は、無理に付き合わなくても大丈夫だというが、それでも外に出るとなれば会う可能性が高い。だから家で遊ぶことが多い。…まあ、つまるところ仲が悪いのだ。
「うーわ、またいい子ぶってるやつが来たよー。」
「ほんとだ!くんなくんな!」
「何それ!恵都があんたたちに何かしたって言うの!?」
「いい子ぶって先生に気に入られてるからっていい気になんな!」
沙那が庇ってくれるが、この人たちのことはどうでもよくて、そんな言い合いより、一刻も早く家に帰りたかった。
「なんだよ!なんか文句あんなら言えよ!いっつも沙那にくっついて、なんも言わねーじゃねーか、弱虫!」
文句があれば言えばいい、ということらしいので、沙那を通り越して、彼らに近づく。
「……魔。」
「は?聞こえねよー!」
「…邪魔。通れないんだけど。」
「お前の方が邪魔だろ!」
「どうして?後ろからきた私たちより、前を塞いでいるあなたたちの方がよっぽど邪魔じゃない?」
返す言葉がなくなってしまったのか、言い返してこない彼らを通り越して家路へ急ぐ。
「あ、まって〜!」
「恵都、かっこよかった!あいつら馬鹿だから。あんまり気にしなくていいと思う。」
いい子ぶってる、ということか。特段気にしているわけではない。どちらかというと、気にしているのは沙那の方だと思う。
「…ただいま。」
靴を脱いでリビングへ向かうと、ふわっと甘い匂いがする。期待してドアを開く。
ママがおやつを用意しているところだった。
「おかえり〜!遅かったね。でもタイミングはちょうどいい!」
「パウンドケーキ!」
「手、洗っておいで〜。」
ランドセルを部屋に置いて、洗面所へ急ぐ。手洗いうがいを済ませてリビングへ戻る。テーブルに座って、目の前に来るのを待つ。
「あはは。そんなに急がなくてもなくなんないよぉ〜。お疲れ様、召し上がれ。」
パウンドケーキと、ミルクティーを目の前にすると、今日のことを全部無かったことにできるんじゃないかと思えるくらいだった。
「…おいしい。もっと食べたい。」
「駄目です。夕ご飯食べれなくなっちゃうでしょう!というか、パウンドケーキにミルクティーってくどくない?」
「これがおいしいの!」
あはは、と笑いながら、向かいに座る。しかし、一緒に食べるわけでもなく、こちらを眺めているだけだった。
「ママは?食べないの?」
「ママはいい。けいが食べてるの見てたい。」
「え〜、おいしいのに。」
それを嬉しそうに眺めながら、私のミルクティーを作る時に余った紅茶を入れて飲み始める。
ママは、周りの大人に何を言われようと、私を怒らない。愛想がない、とかどうしてあんなに喋らないの、とかそんなに習い事させて大丈夫なの、とか。思い出したらきりがないくらい。
「確かに、大人になったら集団で色々やんなきゃいけないから協調性ってのも大事なんだろうけど、折角子供なんだし、生きやすい方がいいでしょ?人生そんなに長くないよ。大丈夫、ママとパパは何があってもけいの味方だから。それにさぁ、けいはママとパパの自慢の子供だよぉ?その気になれば周りに合わせることだろうが、人と喋ることだろうが、簡単にできるに決まってるでしょ?だってさ、考えてみてよ。けいみたいな可愛い子が愛想よかったら変な人が寄って来ちゃうんだから。愛想ないくらいがちょうどいいの!」
と言っていた。パパの前で。2人とも親バカなので、そんな周りの話なんて聞いちゃいない。パパがいつも口癖のように、
「恵都ちゃんに惚れない男なんていないから。」
と言うのだった。昔から言われてきたのでこれは一生真に受けたままだった。
「嫌なことがあっても、言いたくなければ言わなくてもいいよ。それに、大体想像つくしね。あーやだやだ、明日ゴミの日だからまた悪口言われなきゃなんないのかぁ。まったく、みんなけいの魅力がわかんないなんて可哀想ねぇ。」
「…ごめんなさい。でも私悪く…」
悪くない、と言いかけたところで、わかってる、と言うように笑われる。
「あはは。全然いいよ、そんなの。あーどうしよっかなぁ。いつ行ったら会わないと思う?」
そのあと、宿題をやりながら、ママとずっと喋っていた。
パパはたまに、血の臭いがする。血の臭いというのがわかった、というより、鉄のような臭いがするな、何かに似てるな、と思った時に鼻血が出た時と同じ臭いだと思い出したから。そういう日のパパは決まって疲れた顔をしている。
「恵都ちゃんももう小学校卒業かぁ、早いね。中学校は女子校だけど、いい子がいるといいね。」
夕食を食べながら、そんな話をする。
「うん。…受かるかな?」
「受かるでしょ。大丈夫だよ、恵都ちゃん勉強できるんだから。」
「がんばる。」
ピンポーン
インターホンが鳴る。
「出るよ。」
「ありがと〜!」
宅急便ではなかったらしく、パパはしばらくお客さんと喋っていた。
「誰かな?しってる人?」
「どうだろね。あ、明日本屋さん行く?欲しい本あったでしょ?」
どうしてか、話題を逸らすママを不思議に思ったのも一瞬、本の話しに気を取られてどうでも良くなってしまった。
「行きたい!」
「じゃあ、塾の宿題終わらせなきゃね。」
その夜、布団に入ってもなぜか眠れなくて困ってしまった。寝なくちゃ、と思うと昔パパから聞いた昔話を思い出してしまって余計眠れなくなってしまった。水でも飲んでみようと、思ったが、少し怖かったので横に置いてあったうさぎのぬいぐるみを持って部屋を出る。
…まだ、リビングの明かりはついていて、パパとママが何か喋っていた。気になって少しだけ、と思いながら部屋へ近づく。
「……だと、そろそろかもね。」
「そうかぁ、…のがわかったつもりなのに、もともとし…かったはずなのに、こ…に惜しくなるものかぁ。」
なんだろ…?でも、なんだか嫌な予感がするのは気のせいであってほしい。
「でも、三条に殺されるのは、手を打ってからじゃないと。」
え…?だれが?
第二部みたいな感じだと思います…
よろしくお願いします!
主人公が変わりました〜!小学六年生ですね。小学ってどんな思考回路してんだろ…と5、6年前の記憶をあさります。ちょっとマセガキでもいいかなって思ってますけど、みあもマセガキだった…今もですけど。
焼き菓子は紅茶と食べるのが一番美味しいかと…コーヒー飲めないので…




