メガネ
「……んあ……あれ、ここは……?」
混濁した意識の中、成哉は周りを見渡した。
成哉が目を覚ますと、まるで海外の王様が使用するような豪華なベッドに寝かされていた。
煌びやかなフリルの付いた、天蓋付きベッドだ。
豪華なのはベッドだけでなく、壁や床も同様だった。
ダイヤマークが描かれた城の壁に、金と赤のタイルが敷かれた床。
どれも見慣れないもので、成哉にとっては違和感しかない。
「なんじゃこりゃ……これが異世界ファンタジー……ってうおおっ!?」
成哉が寝ているベッドのすぐ横。
見知らぬ少女が、成哉を凝視して椅子に座っていた。
「目が覚めましたか。私はローズウォール輝聖隊5部隊隊員のソフィーですわ」
ライトブルーのロングヘアに、キリッとした綺麗なグリーンの瞳をした少女。
凛とした雰囲気を醸しつつ、どこか幼く見える。年は17~18くらいと予測できる。
コスプレでしか見たことないような、青と白で成されたフリフリの衣装を身に纏っている。
かろうじて、なにがしかの戦士なのだろうとは判別できた。
「えっと……ソフィー、さん? 色々聞きたいことがあるんですが、ここは?」
「ハクさんが食い逃げ犯を捕えた直後、あなたが倒れてしまったとハクさんから聞いています。なので、ハクさんがあなたをエルゲト家の敷地に仕方なく運んだというわけです」
し、仕方なく?
少し、いや結構グサッと来る言い方である。
「あ、そうか……俺倒れて……ハクが運んでくれたんだな」
「はい仕方なく」
グサリ。
リアンはまるでエルゲト家に相応しくない人物が入り込んでしまった、とでも言いたげな言葉遣いで成哉に状況を説明した。
「今日、ハクさんは本来休暇でした。しかし、食い逃げ犯と遭遇したり倒れた男を運ぶはめになったり……少しは休ませてほしいものですわね全く……」
「俺ってもしかしてこの子に嫌われてるのか……? 異世界転生って大体ハーレム人生送れるんじゃなかったっけ……話と違うぞ全ての異世界系の作家たち……」
「何をブツブツと言ってるんですの? 怖いしほんの少々気持ち悪いのでやめてくださるかしら?」
ボソボソと自分の異世界生活に対して不満を言う成哉に、ソフィーは容赦なく罵倒を浴びせてくる。
「いや、これはこれで悪い気はしないな……うん、毒舌ドSキャラか……うん、いいな。これはこれで」
「はい?」
「いや、君みたいな可愛い子に罵られるのも悪くないなと思って」
言い終えた後で自分でも少し気持ち悪い台詞だなと反省した。
しかし、ソフィーは顔をひきつらせている。少し、なんてレベルじゃなかったようだ。
「……とりあえず起きよう。そういや、俺メガネも持ってきてたっけ。昨日コンタクトを外してから裸眼だったから、正直見えにくいんだよな。一気にオタク感マシマシになるけど、かけるか」
どうやらカバンも運んでくれたようで、丁寧にベッドの横に置かれてあった。
ハク・エルゲトという人物は根っからの聖人らしい。
ガサゴソとカバンを漁り、メガネケースを取り出す。
そして、いつものようにメガネをスチャリとかけた瞬間――
アタック:Lv60+覚醒0
スピード:Lv60+覚醒0
ガード:Lv60+覚醒0
不可解な数字が成哉の脳内に浮かんだ。
「え……なんだこれ?」
突如として現れた意味不明な数字に、ただ成哉は困惑するのであった。




