これからの異世界ライフ
間空いてしまいました。
「……ハク、お前チートキャラだったのかよ」
閑静な街で起きた騒動にざわめきの声が広がる。
しかし、騒動はハク・エルゲトというチートキャラによって解決した。
「チートキャラ? セイヤ、君の言ってることはよくわからないけど、とにかく解決してよかった」
「まぁ、そうだな。で、この食い逃げ犯はどうする? 警察に引き渡すか?」
「ケイサツ? 何だいそれは。ローズウォールに引き渡すよ」
「ローズウォール? 何だそれ」
「え……セイヤ、ローズウォールを知らないのかい? 本当に?」
ローズウォール。
全く聞き覚えの無い言葉だが、ハクの反応を見るに、この世界では常識の言葉のようだ。
己の無知を晒したことに、青野成哉は少し恥ずかしくなった。
「ローズウォールは、簡潔に言えば罪を犯した者を取り締まる組織のことさ」
「あー、なるほど。こっちの世界の警察みたいなものか」
「エルゲトの末っ子さん!! ありがとな。もうローズウォールは呼んだよ。助かった、ありがとう」
店の店主がハクにペコペコ頭を下げて、お礼をしている。
――さっきから気になっていること。
エルゲト家、という言葉だ。
「ハク。エルゲト家ってなんだ? お前の家柄なんだよな? そんなすごい家なのか」
食い逃げ犯もエルゲトという言葉に恐れ慄いていたように見えた。
何か秘密を持っていることは間違いない。
「ん? あぁ、そんな大層なものでもないさ。ただ、エルゲト家は代々剣士の家柄でね。僕の父がローズウォールの精鋭部隊、輝聖隊の隊長なんだ」
「大層なものではない……か」
「おいおい兄ちゃんっ!! 大層なものなんだよエルゲト家は!! 本当に知らないのか?」
大層なものではないと発言した成哉に対して、店の店主が口を挟んできた。
「輝聖隊に入るのがどれだけ難しいか!! そしてそれの隊長にハイルノガドレダケノ……※。・・・」
青野成哉の耳から耳へ、店主の声が抜けて出ていく。
まずいかも、とは青野成哉自身思っていた。
一晩寒さに耐えながら、眠れないまま異世界で野宿。
そしてこの奇想天外な騒動。
「……わり、ハク、おっちゃん。俺やべぇかも」
青野成哉の体は限界を迎えていたようだ。
体が言うことを聞かない。
視界が朦朧とする。
ドサリッ――!!
青野成哉の体は、突如として地面に叩きつけられた。
「……イヤ……セイヤ!! ……ゲト家の……に運んで……」
ハク・エルゲトの叫ぶ声が聞こえる。
異世界生活2日目にしてぶっ倒れてしまった青野成哉。
――ああ、これから俺の異世界ライフ、どうなるんだよ。
そんな不安を抱きながら、青野成哉の意識は途切れた。




