プロローグ
パーッパラパーンパパパパパッパラパーン!!
「おめでとうございます!! あなたは最強の剣士として転生なさいました!!」
「……ふえ?」
青野成哉は呆然としていた。
先程不幸にも交通事故で死んだはずの自分が生きている。
そして異世界らしき場所で、最強の剣士として転生した。
誰が聞いても意味がわからない状況に、成哉は立たされているというわけだ。
「最強の剣士として……? なんかつまらない異世界転生ものみたいな設定だな……もっとひねりがほしいんだけど……で、具体的に何が最強なんですか?」
ロングヘアーの魔法使いらしき女に尋ねる。
「物は試し!! 自分の中のLvを覗いてみてください!!」
「どれどれ……おっ、なんか自分の意識の中に数字が見えるな……」
アタック:Lv1
スピード:Lv1
ガード:Lv1
オールLv1。
「ん? これが最強? どういうことだ……?」
「さぁ勇者様!! Lvを読み上げてみてください!! すべてLv100に――」
アタック:Lv1
スピード:Lv1
ガード:Lv1
「これが俺のLvですが」
「……またまた、ご冗談を!! もう、面白い人ですわね。さ、もう一度聞きますよ? Lvは――」
アタック:Lv1
スピード:Lv1
ガード:Lv1
「……もう!! 私が直接確かめちゃいます!! 手を触れれば魔法使いの私なら分かりますから……どれどれ……――っえ?」
アタック:Lv1
スピード:Lv1
ガード:Lv1
ザワザワザワザワ。
ここ、王室らしき場所がザワザワしはじめる。
「そんな……何で……失敗するはずが……」
「え? 失敗? 何言って――」
ガシャン――――!!!
※
体に衝撃が走る。
城から追い出されたようだ。
「……死んだと思ったら最強の剣士として転生したって言われて、失敗って……意味わかんねぇよ!!」
青野成哉は途方に暮れた。
これが、青野成哉の前途多難な異世界生活の始まりである。