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prologue
『優しい笑い方をする人だな』
これが彼の第一印象だった。
彼と出会ったのは私が別の男と初めてサシで飲んだ日だった。
別の男のことはエセとでも呼んでおこう。エセ方言をよく使う男だったからだ。
方言に憧れていたのか何なのかは知らないが、
あたかも自分がその地方出身者であるかのような使いぶりだった。
関西弁や福岡弁色んな方言が混ざっていて、お前はいったい何なんだと
問いたくなるほどだった。この辺でこの男の話は置いておこう。
と言いたい所だが、エセとの出会いを多少説明しなければ、
彼との出会いは説明ができないので、そういうわけにもいかない。