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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

作者: がの
掲載日:2019/09/16

車の扉を開けて、窓越しに私を横目で見ながら父は電話で私を誘拐してほしいと誰かに頼んでいる。母は昨日死んだ愛犬そっくりの子犬を抱いて家に入っていく。


酷く心が抉られるような光景だ。


自分の意志とは変わって体は定められた物語のように道路へ歩き出した。隣の犬がいる家に着くとそこに親友が立っていた。


久しぶりに会った親友に私は父親の事を話し親に捨てられると泣きすがると、親友は困ったような顔でこう言った。「そうだろうね」


悪意があるわけではないのはなんとなく理解してしまった。ただ、唯一の希望だった親友があっけなく私を見捨てたように思えて呆然とその場に座り込んだ。


親友は逃げるわけでも慰めるわけでもなく、変わらず困った表情のまま私を見ていた。


しばらくして、はっと真っ白だった意識が呼び戻された。考えるより先に勝手に身体は動いていて、友達の事も忘れダッシュしていた。

私を呼んだのは、悲鳴だった。


悲鳴を聞いて戻ってみると父が棒で何度も妹を殴っていた。妹は泣きじゃくり過呼吸のように不規則な嗚咽をあげていた。


私は父の名前を叫びながら父から棒を取り上げた。子供から玩具を取り上げるように簡単に奪えてしまって身体が拍子抜けして後ろに数歩よろめいた。


前をみると父は私をにらんでいた。


そこで、目が覚めた。


ひどく疲れた夢だった。一昨日、愛犬がなくなったばかりで精神的に落ち込んでいるときにそんな夢を見た。


過去の嫌な記憶が一気に押し寄せてきたみたいだ。


妹が殴られているのはフラッシュバックに近かった。父が私を見下しながら電話をかけるのも見覚えがあった。母は子供よりも別の何かをいつも優先していた。


悪い人は、存在しなかった。きっかけはいつも自分で、不幸を呼び込むのも私だった。みんな大事なものがあって、それを守ろうとしてるだけ。大事なものに私が入っていないだけで。


私は大事なものを守れない。兄弟も、愛犬も、親も、友達も、、、、

全部が大切だった。全部、壊れてしまった。


もう育てられないといわれた時も、お前のせいだと蹴られた時も、兄弟から笑顔が消えた時も、男の人に体を触られた時も、友達に何も言わずに逃げたことも、自分は世話すらしていなかった愛犬が死んだときも、


私は、何もしていなかった。ただ受け入れて。考えないようにして。初めから何もなかったみたいに生きてきた。はっきりと残っている記憶を夢だと信じて生きてきた。


今更、どう受け入れたらいいのか分かるはずもない。壊れるたびに自分を作っていく。招いた不幸は、招いた本人が引き受けなきゃいけない。大好きな家族のために、友達のために、自分のために、笑って笑って笑って笑って誰にも知られないように壊れる。それが私にとって一番、誰にも嫌われずに生きてく方法。


成功しても失敗しても、最後は幸せに死ねる






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