異世界ではあるし、美少女はいた
とくにない
ブーン
俺の目の前に犇めく光のチョウチョ
電車が迫って来ているんだ。
どうして誰も助けてくれないんだろうな?
「…………はっ………」
なにここ暑い……
サウナに放り込まれたみたいだ。
周りはなんだか赤い大地……
空は黒いもくもくした雲
「!? 」
耳の長いボインな金髪のお姉さんが俯きながら岩場に座り込んでいる。服はボロボロで肌が顕になっていた。
あれ……エルフ?
異世界に来ちゃった感じィ!?
すげぇ……まさか夢が叶っちゃうなんてな
能力とかあんのかな?
「ステータスッ!! 」
お姉さんに聞こえないように小さな声で言ってみたものの何も起きる気配はなかった。
「ステータスッ!!レベルッノウリョクッ」
「すてーたッ」ゴッ
頭に激しい痛みを感じる。振り返ると鉄の棒を持った巨体の女がいた。
赤い髪の……角が生えた……肌が赤目のボインボインの女。ギラギラと爬虫類のような金の瞳を輝かせている。
「何言ってるんじゃぁ?おまえ……」
「……あ、ひょっとして女神!? 」
「あ?」
「女神ですよね!?それか別の種族の……」
「何言ってんじゃい……女神なんてもんじゃあないよ」
「あんたここがどこだかわかって言ってんのかね?」
ちらりと女の口元から牙がチラつく。
「それはわかりませんが……」
「ここはな」
『 地獄じゃ 』
「…………あっなるほど〜」
「さ、罪深いあんたは血の池で背中でも流してやろう」
「(なんか辛くはなさそうだな……)」
転生でもなんでもなかったけれども
異世界ではある。
天国だったら女神がいたのだろうか?
とくにない