視線の主はだれ?
帰り道…
今日もだれかの視線を感じる。やべっちも絹やんもいない。一体誰なんだろう?とある何もない場所で俺はあたりを見回した。しかし、誰もいない。少し向こうへ行くと住宅地があって細い路地が入り組んでいる。俺はその道へ逃げ込むことにした。そして、路地の隙間でしばらく待つことにした。しかし、誰も現れなかった。
くぅーん…
俺の横でペロという白柴の野良犬がやってきた。
くーん
そうだ…ここはこいつの根城だった。俺は、そのまま自宅に向かったのだった。
こうして数日、俺は、この奇妙な現象に惑わされながらソフトボールの練習をしていた。もちろん、天野さん、山田さん、箭内さん、太田さん、森さんまでやってきていた。やがて練習が終わって
「どうしたんだ?ワタル」
やべっちが少し気落ちしている俺を見て
「練習に身が入っていなかったぞ」
「そうだ。キャプテンがそれでどうする?」
するとため息をついた俺をみんながじっと見た
「実は、最近、誰かにつけられているようで、気味が悪いんだ」
すると転校してきた山本元輝が
「それって…バーサレじゃね?」
「ばーされって?」
「俺たちの学校では有名な話でバーサレっていう幽霊がある日突然取り付くらしい。そして、取り付かれた人は、いつも誰かの視線を感じるようになるんだ。それから一週間後、突然、家の玄関を激しくたたくんだ。そして、そのとき、”バーサレ!!バーサレ!!バーサレ!!”と呪文を唱えるんだ。そうしないとバーサレに取り付かれた奴は死ぬと聞いている」
「ふーん…」
「やーだ・・」
「こわい」
女の子たちはみんな怖がって俺に抱き着いてきた。すると山本は
「取り付かれた奴をさわるとバーサレは触ったやつのところにもいくって…」
「ええ!!」
女子たちは俺から離れた。
「でも山本君、それって、おかしいよね」
「なにが?」
「バーサレって幽霊は、君が前いた学校の地区にいたんだよね」
「そうだよ」
「だったら、なぜ、いきなりここへあらわれるんだ?」
「それは…」
「さっきの話だと、取り付かれた奴を触ったら。その人に取り付くって言っていたけど、もし君が取り付かれていたら、さっきの話、もの凄く他人事だったから、君はバーサレに取り付かれていないんだなよね」
「ちがう…俺は取り付かれたんだ。そして、バーサレって言ったんだ」
「だとしたら更におかしいよ」
「なにがだ…」
「バーサレって取り付かれて1週間後に玄関を叩きに来るんだよね。そして、呪文を言ったらいなくなるんだよね」
「そうだけど」
「じゃぁ…君に取り付いたバーサレはすでにいないんじゃないの」
「う…」
山本君はかなり話に行き詰まってしまったので
「実は、バーサレと似たような話はよくあるんだ。だから、みんな気にしなくていいよ」
「ほんとう?」
「だって、幽霊が人を殺すことはないよ」
「どうして、そう言えるの?」
「そうよ。藁人形で人を殺せるって聞いたことあるわよ」
「ハハハ…それは面白い。けど、バーサレはここにはいない。それだったら面白い実験をこれからしようか?」
「実験って何?」
「それは、こっくりさん」
「それってやばい奴でしょ」
「大丈夫だよ」
「うそでしょ。あれって結構危ないわよ」
「そうか?山本君、君もするだろう?そうしたら君が言っていたことが本当かどうかはっきりするけど、もし嘘をついていたらこっくりさんの呪いが来るけどいい?」
すると山本君の顔が少し青ざめていた
「それは…」
「どうしたんだ?」
「ごめん…」
彼はそう言い残すと慌てて逃げて行ってしまった。
「何あれ?」
呆れている彼女たちに
「彼は嘘をついていたんだろう」
「そうなの」
「ま…怪談話であの手の話をするときは、相手に恐怖心を持たすのにああいうことを言うようになってしまうんだ。特に、彼は転校したばかりだから…」
「で?彼はどうするの?」
「別に責めることないよ。よくあることだから」
「そうなんだ…で、恐怖で寒くなった私を温めてほしいんだけど」
そう言って山田さんが俺に抱き着いた
「あ…山田さん、ずるい」
こうしてここに来ていた女子たちを一人ずつハグしてあげたのだった。




