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お金持ちの神さま  作者: 宗園やや
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プロローグ

「それでは次に、理事長の挨拶です」


広い講堂に、マイクを通した男性教諭の声が響き渡った。

入学式は、お偉いさんの話が長い。

分かり切っている事なので覚悟はしていた男子生徒達だったが、さすがにうんざりして来た。

かれこれ一時間、立ちっ放しで小難しい話を聞かされ続けているから。

どうせ誰も聞いていないんだからさっさと済ませろよ、と口の中で呟いている者も居る。

しかしこの学園は伝統ある名門校なので、表立って不満を表す者は居ない。

中等部高等部合せて六百人が背筋を伸ばして整列している。

来賓の方達がさすがだと感心するくらい、全員の行儀が良い。

だが次の瞬間、静かだった講堂がざわめいた。

理事長だと紹介されて講堂正面に登場したのが、小学生くらいの女の子だったからだ。

自分達と同じ詰襟の制服を着ているが、下はキュロットスカート。

真っ直ぐ長い黒髪はパッツンに揃えられており、まるで日本人形の様だ。


「えー。本年度からこの風紅学園の理事長になりました、甘衣――」


裏方によって目一杯下げられたマイクを前にして書類を読むその声も可愛らしく、幼い。

少女は不意に顔を上げ、戸惑っている男子生徒達を見渡した。

その顔は整っていて、いわゆる美少女の類だ。

少女は大量の視線を受けている事に怯み、頬を染めた。

意を決した表情の後、緊張が籠った声を発する。


「えー、私は、甘衣……神です。宜しくお願いします」


つっかえながらも言い切った後にペコリと頭を下げた少女は、そそくさと舞台裏に引っ込んで行った。

茫然とそれを見送る男子生徒達。

進行役の男性教諭が入学式を続けているが、最早誰もそれを聞いてはいなかった。


「今の誰?」


「理事長だって……? あの子が?」


「え? 神? 今の、名前?」


そんなざわめきは、体育教師の一喝が講堂中に響き渡るまで続いた。

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