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海とかき氷とブラジャーと

撮影当日。私と桐男は、海に来ていた。

初夏の日差し、磯の匂い、波の音……まさに海って感じ。

お天気にも恵まれて、最高の撮影日和だった。

私達は、おしゃれな洋風コテージみたいな、海の家で、テーブルを挟んで、向かい合って座っていた。

真ん中にドーンって置いてあるのは、でっかいイチゴミルクのかき氷。

スプーンは二つ、差してあって、

これぞ。まさに恋人ってシュチュレーション。

その場で、カメラマンが指示したのは……私がアーンして、桐男に食べさせて、もらってるシーン。

でも、それを見た、海の家の子供に、言われてしまった。


「ねえママ。このお姉ちゃん。小学校高学年にもなって、パパにアーンしてもらってるよ」


また小学校って言われた……全部、このスイムキャップが悪いんじゃ。

可愛いよ。確かにこのスイムキャップ。

ウサギのタレ耳が付いてて、色もカラフルで……でもサイズ120って、どういう事?

これ完全にキッズ用でしょ?

小顔な私でも、さすがにコレはキツくて、頭は痛くなるし、恥ずかしいし……

私のセクシーさを、全て打ち消すなんて、なんて凶悪なアイテムなの?これ。


「はい。OK。最高のシーンいただきました。ナイスです」


また、こないだの、チャペルの時のカメラマンに言われました。

この人、やたら調子いいけど、怪しくて……

私はこの写真が載る、デート東海を見るのが怖くなった。

ウサ耳だし。

水着がまだ、私ので助かったけど……


「じゃ、次の撮影、行きます。今度は二人で泳いでるトコ」


カメラマンに言われて、渡されたのは……でっかいキャラクターの頭が、しっかり付いた浮き輪。

しかも小さい。私でも小さい。ギリギリ入ったけどキツイ。

これも、明らかにキッズ用だよね。

デートにキッズ用って……ジュニア水着の私が言うのも、アレだけど……


「行こ」


そう言って、桐男が私に手を差し伸べてくれた。嬉しい。

その手を私が掴むと、

桐男は、その手を引っ張って、私を抱き抱えて……

お姫様抱っこなの?えっ。こんな、みんなが見てる前で。撮影までされてるのに……

嬉しいけど……

えっ?あれ?高すぎる?

お姫様抱っこって、された事ないけど、こんなに目線が上がるものなの?高っ、怖っ、

私の頭、桐男の頭の上にあるよ。これ、

タカイタカイじゃね?

桐男は、私をタカイタカイしたまま、水辺まで走って行った。凄え体力のあるやつ。

でも、怖え。目線がいつもより、うんと高くて、

上から見る波は……あっと言う間に、間近に

??

手を離すんじゃねえ桐男。

私は波とキスをした。しょっぱいなぁ。

その時、異変が起きた。海の中に、何かがいた。でっかい目玉と、目があった。なんじゃこりゃ?

そいつは、いきなり全体像をあらわした。

デケエ。なんじゃ化け物は?


「ダイオウイカだな」


桐男の指摘。こいつはいつも冷静だ。その点は安心できた。

でも、オイオイオイ。いきなりダイオウイカの足が、私の体に巻き付いてきた。

気持ち悪。ゾゾゾゾゾ。寒気がした。

ゲゲゲゲ。私のブラジャーの下に、触手を入れて来やがった。

こいつ、まさか、そんな事は、やめてよね。

やりやがった。こいつ、私の水着のブラジャー。思いっきり引っ張って、外しやがったよ。このド変態が……


「きゃー」


そう私は叫んだ、胸は、もちろん隠して。


「俺に任せとけ。誠菜は俺が必ず守るから」


そう言って、桐男が来てくれた。

私が困ってた時は、いつも助けてくれた、桐男。頼れるヤツ。

桐男とダイオウイカが、ブラの取り合いを始めた。頑張れ桐男。

でも、客観的に見ると……ダイオウイカと、おっさん顔の桐男が、女の子の水着のブラジャーを取りあってるって……どちらも変態としか、言いようがなかった。


「頑張れ、変態桐男」

「……お前なあ、ガクっとするような事、言うんじないよ」


桐男に、そう言われた。ゴメン。

ブラジャーの取り合いは、桐男が制した。頼りになるヤツ。




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