モデル
アイリス恋愛F大賞に応募します。よろしくお願いします。
桐男が大好き。
学校が終わって、私と桐男は、いつもの道を並んで歩いてた。
「ちょっと、いいですか?」
変なおじさんに声を掛けられた。
一応スーツは着てるけど、キッチリしてないし、
髪は茶色に染めてて、長いし、なんか怪しい人だ。
「モデルになりませんか?」
えっAV?私が?いくらセクシーだからって、私はまだ、JCなの。ありえないでしょ?
あれ?声を掛けてきた男は、私の方を見てない。
桐男を、舐め回すように、見つめてた。
これは?まさか?BLモデル?
桐男は190センチの身長で、カッコいいし、顔もイケてるし、空手やってるので、ガチムチだし、
ヤバい。桐男の初めてが、男に奪われてしまう。
「いいですよ」
えっ、こいつ何て事を言うんだ。
私は思わず桐男に、詰め寄って言った。
「ちょっと待った……いいのか?桐男……男に、アレされたり、コレされたりするんだぞ……」
「はぁ?誠菜。何を言ってるんだよ。普通にモデルの話だろ?」
「そうかなあ?声を掛けて来た人、いかにもBL系だし、怪しいよ」
「BL扱いは酷いなぁ、お嬢ちゃん」
桐男に声を掛けて来たスカウト?が、今度は私に声を掛けて来た。
やっぱりAVなの?
そのスカウトは、桐男と私をジロジロ見て、変な事を言ってきた。
「桐男君だっけ?隣の女の子は、いかにもヤバいですね。いくらなんでも、小学生の女の子と付き合うのは、ロリコンすぎでしょ?」
ガーン、また小学生って言われた。
確かに私は、中3なのに、身長が150しかなくて、童顔だけど……
「スカウトさん、誠菜は、こう見えて中学生なんですよ。しかも3年」
「え、びっくり……でも桐男君。相手が中3女子でも……やっぱり……いい大人が、マズイよ」
「はぁ?俺も中3ですけど」
「えっ、さらにびっくり。こんな大人っぽいのに中3……いや、これは逆に、イケる」
スカウトの人は、拳を握りしめて、なんだか気合いの入った表情に変わりました。何。この人?
「とりあえず名刺を渡しとくから。後、君の電話番号も教えてね」
そう言ってスカウトは桐男に名刺を渡したり、番号交換したり、してました。
男同士で番号交換。やっぱりBL?
数日後。
桐男に電話が掛かってきて……モデルの仕事が、さっそく入ったみたい。
スカウトのBL疑惑が残る私は、桐男の事が心配で、撮影についていきました。
撮影スタジオは本格的で、ライトやら、背景やら、なんじゃら、かんじゃらが、いっぱいあって、びっくりした。
私は、撮影の邪魔にならないように、隅っこの方で見てたけど、
スーツ姿の桐男は、なんだか凄くカッコ良くて、まるでモデルみたい……モデルだった。
紳士服の広告の撮影が終わって、その数日後。
家の新聞の折り込みチラシに、桐男が載っていた。
その日の学校では、その話題だらけで、私の事じゃないんだけど、少し自慢したくなった。
一度、桐男の撮影現場を見て、安心した私は、それ以降は、現場に行く事はなかった。
そして桐男の撮影は、順調に回を重ね、桐男はモデルとしての階段を、確実に上がって行った。
そんなある日。桐男が私に言ってきました。
「次の撮影。誠菜に見に来て欲しい」
私はやっぱり桐男が大好きで、その誘いが嬉しくて、こう答えた。
「いいよ。いくね桐男」
桐男が何で撮影見学に誘ったのか、現場に行って、すぐにわかった。
そこはチャペルだった。
着替えて来た桐男は、白のタキシードだった。似合ってた。輝いてた。最高にカッコ良かった。
私は桐男と結婚したくなった。