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Trick or Treat~破滅の女神の暇潰し~

私は彼の背中を追いかける事しか出来なかった。

常に後ろにいた私は貴方の背中ばかりを見ていた。

貴方は後ろを見ないで、前だけを真っ直ぐ向いていた。

私は貴方の影で支え続けて来た。

婚約者になっても私の事を見てくれない。

それでも貴方が前を向いて居るなら幸せだった。


でも……



「アンジェ、一緒に行かないか?」

「レヴィ、抜け駆けは禁止だろ」

「アンジェ、私と一緒に新しい魔法を作りましょう」


「そ、そんな……私なんかが皆さんと一緒に居てしまったら、皆さんの家名に傷が付いてしまいます……」


「そんな事ないさ、アンジェと一緒に居る事に文句を言う奴なんて居ないよ」

「そうです。 貴方は才溢れるお方、そのようなお方の側にいる事に誰も文句を仰りませんよ」



な・ん・な・ん・で・す・か・!!


今まで「恋愛に現を抜かしている場合ではないだろう」とか、仰っていたではないですか!?

何が「君の事を愛してはいるが、それでも執務に手を抜く訳には行かない(キリッ」ですか!?

貴方の机の上にどれだけの書類が溜まっていると!?

宰相様なんて昨日に体を壊して寝込んでいらっしゃるんですよ!?

あの女性が現れてからどれだけの女性が泣いていると思っているのです!?

近衛騎士団団長子息『オルクス・ファーゲン』様に魔道図書館館長『ラディン・ストラム』様、皇太子殿下……私の婚約者である『レヴィ・ディア・スカーレット』様もですよ!?

今はこの御三方しか居りませんが、公爵家次男『アルドヴ・スティーブン』様、隣国王子の『アルサバド・ディッシュ・ファランカル』様も1人の女性に靡いて居られる何て!?

貴方方には婚約者がいらっしゃるでしょう!?

それに、館長様やファランカル王子なんて婚約までしていらっしゃいますよね!?


「そ、それに皆様には婚約者がいらっしゃいます!!」

「ふんっ、あんな者は私の雑用をしていれば良いのだよ」



っ~~~~!?


もうっ限界です!!


「コード復讐発動、復讐発動!!」


念話魔法を使い遠くに居られるある方々に予め決められた合言葉を告げるとすぐ様、行動を開始しました。

さぁ、この帝国、一体いつまで持つのかしら?



━━帝国皇帝━━


な、何だコレは!?

宰相の辞任届けに近衛騎士団団長の辞任届け、魔道図書館管理長の辞任届け、帝国国立学院学院長の辞任届け、皇族一族御用達商会の帝国本店解体届け、冒険者ギルドの廃業届け!?

い、一体何が起こっている!?


……………っ!?


「エルドヴ、エルドヴ!!!!」


「何で御座いましょう皇帝陛下」


「今すぐレヴィを呼び戻せ!!!!!!」


「ハッ!!」


これらの元締めはディセンド公爵家の長女『アリュン・メル・ディセンド』の管轄だったはず!!!!

かの者をと問い正せば!!!!?


「皇帝陛下、それは不可能で御座います」


「は?」


「恐らくレヴィ様を介してアリュン様を呼び戻そうとしていらっしゃる様ですがアリュン様は昨日、第一婦人様方を連れて、聖法国へ向かわれました。

今から追いかけても手遅れで御座います」


その言葉は私の心に深く突き刺さり根づいて行った。

私の妻を連れて……?

いや、第一婦人様と言っていたつまり……この状況を……作り出したのは……


「それと、私もアリュン様方に勧誘されまして聖法国教皇様にお使えする事となりました。

大変お心苦しいのですがコチラにご子息様方の成された事をまとめた報告書で御座います。

こちらをご覧頂ければ何故私達が帝国に反旗を翻したのか聡明な皇帝陛下ならばご理解頂けるかと……

それでは、私は之にて失礼したします」


私は恐る恐る報告書に目を通すととんでもない事が書かれていた。


一、皇帝陛下御子息様(以下乙方様)の教師に対する脅迫行為

一、乙方様の婚約者を道具のように扱っていた事実

一、乙方様の理不尽な暴力行為

一、乙方様方の女性陣に対する見下した言動

一、一部の公共施設の破壊(その中に魔道図書館有り)

一、学園にて身分を使い暴力行為の正当化

                     etc……


…………首を吊ろう





過去にて恋心一つで壊滅した国が存在する。

その国の重要人物は愛にて自らを壊し殺してしまった。

その事実を知った各国は自らの子の交友関係を徹底的に調べ上げ幾人もの貴族の子息女が処刑され、この出来事は『血塗れた愛の末路』と呼ばれ後世まで残されたのだった……。



「ふーん……ウフフ、魅了の魔法を使って男共を誑かしたり精神を壊したりして来たけどこう言う結末になったんだぁ……

なかなか面白かったわぁ……♡

さて、次は何処の世界の国を潰そうかしら♪」


黒いコートを着たアンジェと呼ばれていた少女が右手の人差し指を立てて一振りするとその姿が絶世の美女と呼ばれる程に美しい女の姿に変わった。


「あ……ん……っ……♪  おいひぃ……♪」


ポケットの中に入っていた飴を一粒口の中に放り込むと彷彿とした表情を浮かべ薄いピンクの可愛らしい唇を小さく舌なめずりした。


TrickいたずらされるorTreatおもてなしをするか……。

悪戯ならば国の破滅を……

おもてなしなら世界の破滅をプレゼントするわぁ……♡

さぁて次は貴方の世界にお伺いしようかしらぁ?

うふふふふふふ……」

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