地中の街
地中深く環状のからだ蠢いて、僕は夜風を享けた。
月は頭上に液状の黄金灌ぎ、蟲の児は其処此処ですやすやと。
囮…
新世界を夢枕、破る屍は暁と転じ。
特命に躍る、同族の想い抱えて…
三途の河は永遠の夜宴。
風蒸す熱帯の闇、旧い街並流れゆき、愛や理想を帆船に掲げて…
海へ。
計画、先頭の僕は砦にて、真正面に立てば唯の人間で、新世界番人の隙を突く。
天高く飛び騰り、仲間らは僕を伝って要塞を超えるのだ。
孤島の頂、門。
無念…次々と、屍の山。
意表を突いた僕だけが。
遂に昇る、離魂した亡者達未だ背負いて。
境界線!見上げる空はまだ闇で。
深呼吸…こころ暁を待つ。
今!
地面を破り。
空…
灼熱!
太陽に燃え立つ世界、忽ち僕は熔けゆく運命だ……