第九話:トナカイ料理
三日目の朝は気持ちよく迎えることが出した。
やはりベッドで眠るというものは気持ちよいものだ。二度寝したくなる気持ちを抑え、寝室から出る。
「おはようございます。マスター様。」
やはり今日もルナが待ち構えていた。僕もルナに「おはよう。」と挨拶し、さっそく朝飯にする。
朝食といってもいつも通りのから揚げ弁当を食べ終わった後、僕は闘技場部屋に引きこもった。
ダンジョンポイントは92P残っているが、どのモンスターを召喚するのが効率良いかを調べることが先決だ。
「闘技場部屋にいるすべてのモンスターを殺せ。」
そう命令し、僕は部屋の隅に座り戦闘を観戦した。
開始早々、オークの力任せの一撃がゴブリンをつぶし殺す。それに続いてコボルトは鋭い爪をスライム向けてひっかき殺す。
その瞬間コボルトに向けてベビーサタンがファイアを放つ。
コボルトはスライムに気を取られていたせいでファイアをよけることができずに燃え尽きる。
同時にベビーサタンはウルフに向けてファイアを放つが、ぎりぎりで交わされる。
そのやりとりの中オークは次の獲物をバブルスライムだと定め、バブルスライムを余りある力で握りつぶす。
しかし、バブルスライムは死ぬ間際にスキルの毒攻撃を放っており、オークは毒を負ってしまった。
これで残りはオークとベビーサタン、ウルフの3匹である。三匹はお互いをけん制し合っていたが、最初にオークが仕掛けた。
オークはベビーサタンに向けて殴りかかろうとしたが、殴りかかる直前にファイアを撃たれてしまった。
しかしオークは一撃では倒れず、天高く上げられた右手が振り下ろされ、渾身の一撃がベビーサタンに当たり、ベビーサタンは死んでしまった。
これで残りは2匹。間髪入れずにオークはウルフに向かって殴りかかるが、一撃も当らない。
ウルフはオークの攻撃を簡単によけ、よける最中に噛みつきや爪のひっかきを行っているが、致命傷にはなっていない。
こう着状態の中しばらくこのやりとりが続いていたが、バブルスライム受けた毒がきいてきたせいか、次第にオークは震えだし、倒れてしまった。
倒れてからもしばらくはもがき続けていたが、5分ほどたった後にオークは光の粒子となり、最後まで生き残っていたのはウルフだった。
Totalステータスが低いウルフが優勝するのは意外な結果になったが、昨日今日合わせて10回戦闘を行った結果を総評すると、コボルト4回、ベビーサタン2回、オーク2回、バブルスライム1回、ウルフ1回という結果だった。
最初に見ていた結果が例外だっただけで、順当にTotalステータスが高い3匹が上位になっていた。
その中でもコボルトが優勝した理由はベビーサタンの魔法切れとオークの素早さの低さにあった。
今回は総当たり戦なのでこのような結果になったが、単体ではどのような結果になるのだろう。
また、チーム戦にした場合はどうなるのだろうかは明日以降、実験していかなくてはならない。
四日目。
昨日の続きで闘技場部屋にて観戦をしていると、トナカイ狩りに出していたウルフ6匹とコボルト2匹が返ってきた。
狩りは成功でコボルト2匹が1匹のトナカイを担いでいた。
これで食料問題が少しだけ解決しそうだ。僕はウルフとコボルトの狩り部隊に「よくやった。」と声をかけたが、狩り部隊は少しだけ痩せ細っていた。
本に書いてあったことだが『モンスターはダンジョン内にいる限り食料が必要ない。』つまり、ダンジョンの外では食料が必要だということである。
農場部屋への土運び部隊がダンジョンの外にいるに、食料を必要としていなかったので、こうなることを考えていなかった。
おそらく、土運び部隊は農場部屋に土を入れるためにちょこちょこ戻ってきているし、外が暗くなるとダンジョン内で休息を取らせているので、ダンジョン内にいる扱いになっているのだろう。
すぐさま僕は狩ってきたトナカイを狩り部隊に与える。やはり腹が減っていたのだろう、2日ぶりの食事にむさぼりついていた。
トナカイを食べ終わった後、命令を「腹が減っている場合は狩ったトナカイを食べてよい」と追加し、トナカイ肉をキッチンで切り分けて狩り部隊に持たせ、再び狩りに戻らせた。
余った肉は二人で6食分くらいあるだろうか。
さっそくトナカイの肉を使って昼飯にすることにする。キッチンにてトナカイ肉を見ながら何を作ろうか考えていると、
「私が作ってもよろしいでしょうか?」
とルナが駆け寄ってきた。
昼飯はルナに任せることにして、できるまで王座の間で待つことにする。
20分くらいたったあたりで、おいしそうな香りがしてくる。キッチンをのぞいてみると、下ごしらえが終わった肉をフライパンで焼いている最中だった。
今日はトナカイ肉のステーキのようだ。
今までは弁当だったので地べたに座って食べていたが、今日は豪華なランチになりそうだったので道具召喚より10P消費し、テーブルと2つのイスを召喚した。
ちょうどルナの料理も完成したみたいなので、皿に盛られたトナカイ肉のステーキとテールスープをテーブルに並べた。
肉の焼けた香ばしい香りと香草の香りが食欲を誘う。すぐさま僕はステーキにかぶりついた。
味付けはシンプルに塩コショウだが、下ごしらえがうまいのか、肉に筋がなくとてもやわらかい。
「マスター様のお口に合いましたでしょうか?」
「とってもおいしいよ。」
ルナの料理は自信があっただけあって、とてもおいしかった。それよりも、から揚げ弁当から解放されたことが何よりうれしかった。
これなら毎日でも作ってほしいので、今後の料理もお願いすることにした。
ちなみに、晩飯はトナカイ肉のカルパッチョなど材料がトナカイ肉だけなので工夫した味付けになっていたが、朝昼晩トナカイ料理だけでは飽きてしまうし、トナカイ肉もいつ補充されるかわからないので、朝昼は弁当を夜はルナのトナカイ料理を食べることに決めた。
一日一回のポイント節約だとしても、トナカイ狩り計画で消費したポイントはキッチンを含めても約100P。これだけでも13日で回収できる。あとは、農場がうまくいけばよいのだが。